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都立校の英語スピーキングテスト…現場の混乱が目に浮かびます

10年間、公立高校で英語教員をしました。
公立高校って全国のどこの自治体だか明かさずぼやかしていたのには
特に大きな理由はありません。

私は東京都の教員でした。
正規採用で、計3校の都立高に勤めました。

私は今、日本を離れて暮らしていますが、
昨日、教員時代の知り合いからの連絡で、
都立高入試で英語のスピーキングテストが実施されたと知りました。
そんな計画があることは、なんとなく知っていましたが、
あまり現実的じゃなさそうだし、多分、流れるだろうなと勝手に思っていたので、
めちゃめちゃ驚きました。
え、本当にやったんだ!と。

色々問題のあるテストを強行突破したようですが、
試験の詳細についてはさておき、
元英語教員として思うことを書きます。

過去問(プレテスト)みました。
「難しすぎー!」
が私の感想です。
中学生で、これ、どれくらいできるんだろう。
進学校ねらいの偏差値高めの生徒以外は、捨ててかかるんじゃないかと思います。
都立入試の英語(筆記)でも、たった3文書くだけの英作文も、
中堅レベルの高校だと無記入の受験生は多いです。
英作文が0点でも、即不合格になるような配点ではないので、1点を争うような進学校狙いでない生徒にとっては、「苦手だから捨てる」もアリらしいです。私はそういう考え方は好きではないけど、戦略としてはアリだと思います。
そんなわけで、こんな難しいスピーキングテストの対策に時間取られるのは割に合わないと考える生徒は多いんじゃないかな。

理想的には、
多くの生徒が、これくらいのスピーキング力を中学卒業の段階で身につけられたら素晴らしいと思います。そしてそれを目指す今の流れも悪いとは思わない。
ただ、何か色々と実態に即してないし無駄が多いような気はします。

そんで、採点方法が大問題です。
「録音された生徒の解答は、フィリピン(英語が公用語の一つ)に送られ、大学学位などを持つ現地スタッフが2人1組で採点する。」らしいです。

無理無理!!
そんなの公平にできるわけないです。

フィリピンがダメなのではありません。
人間がやるのがダメです。
こういう採点をするAIはいないのでしょうか?
こういう時のためのAIなのではないでしょうか?

2人1組だろうと5人1組だろうと、人間がやる限り、
だんだん採点の仕方はズレていくものです。
はっきり言って、高校入試の英作文の採点だって、
やってるうちに採点基準がズレて、教員たち自身もわけわからなくなります。でも、高校入試はせいぜい数百人の答案を見るだけだし、見直しも3回か4回します。
それでも結構危ういです。あまり大きな声では言えませんが。これについてはまた別の機会に。

こういう、不公平感が生じそうな場面で、
私が教員として生徒によく言っていたのは、
「誰が採点しても間違いなく満点だ、というレベルを目指しなさい。
それくらい、圧倒的になりなさい。
採点者によって点数が変わる程度の答案は、まだまだです。」

という、やたらエラそうで、もっともらしいけれども、なんか責任逃れの匂いがする言葉でした。笑
でも、この言葉を聞いてモチベーションが上がるのは、
満点に近いレベルの生徒だけでしょうね。

公平性は重要です。
教育現場では、それが一番大事だと、
教育現場を離れた今こそ、私は思います。

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