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ユーミンを聴きながら

ユーミンを聴きながら書いています。

「冬の終わり」

中学のとき、クラスの男子はRCサクセション、女子はユーミンという
緩い派閥論争のようなことがあった。

僕は、と言うと本当は達郎が神様で、大瀧さんが師匠だった。
もちろんユーミンは憧れの存在でした(今でも)。

それでもお年玉で買ったギターを持って、友達とハードロックバンドを組んでいたので「ユーミンが好き」なんて誰にも言えなかった。
ギターを持つだけで「これで俺もモテる」そんなことしか考えてなかった。
※元春兄貴は初めてギターを手にした時に「とても強力な味方ができた」
 って言ってた、このあたりが凡人との違い。

それでも中三になると、クラスの男女でカジュアルにレコードの貸し借りをするようになっていて、ニューアルバムを学校に持ってくると人気者になれた。

転校生の娘がREINCARNAITIONというアルバムを持ってきた時だった。
思い切って話かけて、貸してもらったんだ。

家に帰ってくると、僕の部屋にも同じジャケットのレコートがあった。

一回だけ針を落として、ナガオカのレコパックという最強のほこり取りで
レコードを綺麗にした。

「NIGHT WALKERが良かったね」
そう言ってカッコつけて返した。

彼女はイメージ通りにカトリック系の女子高に進学し
僕は正反対のイメージの高校に進んだ。

雨が降ると高校にはバスで通学。
彼女も近所に住んでいたので時々一緒になった。

部活の練習でエレファントになる僕とは対照的に
エレガントでエレガンスに彼女は会うたびにキレイになっていた。

先にバスのシートに座っていた彼女の横に僕は立った。

彼女は参考書を閉じて

「おはよう、知ってる? 今度クラス会やるんだって!」

「仙台に行っちゃうんだね」

「うん」

笑顔を曇らせてしまった。

当時の僕は、知らないふりをするほど賢くなかったのかもしれない。
そのクラス会、俺が幹事だったし。

三月の晴れた日、駅に見送りに行くと、みんな何かしらプレゼンントを渡していた。

手ぶらの僕は、ポケットから100円を取り出し
「ご自由にお使いください」
と言って渡した。

泣いていた彼女が笑ってくれた。

私の好きだった糸井さんのコピーを言ってくれて
嬉しかった、と5月に届いた手紙に書いてあった。

ユーミンを聞くと思い出す出来事の一つ。


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