駄イズム宣言

駄運動――いわゆる駄イズムをここに宣言する。

　ダダイズムは人を不快にすることを目的としているが、駄イズムは「どうやら人に不快におもわれているみたいですよ」と囁き合う運動だ。
　伝統的な芸術に拒絶されても足元に縋り付いてみる運動だ。で、足蹴にされ「ちぇ」と舌打ちしながら去っていく運動だ。
　安っぽくて下らなくて馬鹿馬鹿しい運動だ。あってもなくてもどうでもいい運動だ。運動だかどうだかよくわからない運動だ。矛盾があるよと指摘されたらすみませんと頭を下げる運動だ。
　ダダイズムのパロディですかと訊ねられたら、恥ずかしそうにうつむく運動だ。
　一度もくだらないことをしたことのない人間だけが石を投げなさいと言ってみんなに石を投げられる運動だ。

そんなものいらねぇや、とお思いのことだろう。わたしだってそう思う。そういうたぐいの運動なのだ。

駄文藝、駄記憶、と続けてきたがおそらく誰も知らない運動である。健康にいいんですかと訊かれるかもしれないが、だからそういう運動とは違うんですよ英語ではムーブメントと言ってと説明しかけて途中であきらめて溜息をつく運動である。ついでにいっておくと健康にはあまりよくない。

ところで宣言ってどうやって終わったらいいんだろうか。
仕方ないから超現実主義宣言をまんま引用しておわることにしますね。

生きるのも、生きるのを止めるのも、想像上の解決である。人生は別のところにある。
（とうとうダダでもなくなっちゃったよ）