「明日を見つめる」をイカします！ ＃100日間連続投稿マラソン

　今日はおもちさんからいただいたお題をイカします(*´▽｀*)おもちさん、ありがとうございます！

「明日を見つめる」

くコ:彡　くコ:彡　くコ:彡💦ﾋﾟｭｰﾝ

　考えても考えても答えが出せないことを考えて、休日をまるまる使ってしまった。日曜の夜になっても答えは出ない。誰がどんな言葉を利用しようと、どんなに細かく過去を振り返ってみようと、本当のことは僕たちには絶対分からない。分かったつもりでなにか言ってしまうのが怖い。でも言わないと僕が壊れてしまいそうで、発話のために息を吸っては、空っぽで吐き出している。

　何がそんなに悲しいのか、名詞と形容詞で作文ができたら楽になりそうだった。ノートを開いてボールペンを持つ。けれど一文字も書けない。ただこの喉の、もっとずっとずっと奥のほうにしこりができて、つばを飲んでも叩いてみても潰れない。ただただずっとそこにいて、彼の名前を聞くたびにひどく熱く、振動する。そうだ、その絵を描いてみたら？ボールペンを握り直して、でも、そのかたちが分からなかった。尖っているの、なめらかなの、大きいの、ひとつなの、どんな色、どんな触り心地、ただただ、ただそこにある何かだった。僕もつられて行ってしまいそうになる。彼が、いや、彼の名前が、いや、彼の写真が、彼の名前を声に出す人々が、僕の胸ぐらを掴んで、脳味噌を包んで、揺さぶって、揺さぶって、揺さぶって、僕はいま平均台の上に立っているみたいだ、揺さぶって、揺さぶって、揺さぶって、そんなにしたんじゃ、息ができないよ。

　僕が立ち上がると、犬がしっぽを振った。「もう散歩は行ったじゃないか。次は明日だよ」ひと吠え、もうひと吠え。暑苦しい毛並みだ。しまりのない口からよだれが垂れる。僕は明日の朝、こいつを散歩に連れて行かなければいけない。明日はそれから病院に行ってダニ予防の薬をもらってこなくちゃいけない。明日は銀行に寄って、明日はそのあと姪っ子に電話をして、それから明日コンビニで支払いをしないと本を届けてもらえないんだった。

　今夜が晴れだったことを彼は知らない。

　明日が晴れの予報だということも彼は知らない。

　僕はまだ、それを知っている。あるのはそれだけだ。それだけだ。僕は動物病院の診察券を探して財布に挟んだ。手を洗い、麦茶を一口飲み、電気を消して毛布にくるまった。

 ＃100日間連続投稿マラソン 17日目でした。お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)