挽歌
真希ナルセ
00:00 | 00:00
漫画やイラストだけでなく音楽も作っています。毎週末に一曲ずつ上げています。
YouTubeの「井戸端レディオ」をやっているチャンネルで古い日本の歌を弾き語りカバーを、SoundCloudとnoteではオリジナル曲を、隔週交互に公開しようと考えています。
【マキナルの井戸端レディオ】 https://www.youtube.com/channel/UCGRgxIzgpUwLHox-7IDgQLQ
ずっと「ペットミュージック」と名付けた、順番からすると3枚めのポップ色が強いアルバムになる予定のものから紹介していますが、今回はちょっと中断して出来たばかりの新しいナンバーを紹介したいと思います。
2018年は6月現在で計7曲作りました。その中でロックテイストのものが3曲あります。これはその中のひとつです。
「歩くくらいのテンポの力強いブルース・ロックを書きたい」というアイデアがありました。
その構想を持ったのは昨秋でした。
それは「賛歌」と「挽歌」というタイトルで、2曲が対になって意味を補完し合うようにしたいというものでした。
「賛歌」を敢えてマイナー・コードで低いキーで歌って、「挽歌」をメジャー・コードで高いキーで歌ったら、額面通りにならず随分皮肉めいて面白いんじゃないか、そう考えていました。
こんなアイデアを持ったある日、実家の留守番を頼まれました。
それで作曲のツールと愛犬グミだけ連れ、泊まり込みをすることにしました。9月のことです。
実家のクーラーを掃除してやろうとした朝、急に体調に違和感を覚え、予定を変更し実家近くの病院で検査をしてもらいました。
その結果がかなり深刻なもので、その日から投薬、さらなる検査がはじまりました。
生活の制限や余命すら視野に入れなさいという指導、そして失明の危機でした。
安静期間を経てOKが出たので、レディオで明かしているようなハードなジム通いもしました。9か月かけて体調を戻していきました。
機能の落ちた内臓はもう戻りませんが、かつてない程に体力を有することが出来ました。あの時検査をしてよかったと思っています。
こんな経緯で「挽歌」を作るのがストップし、対になる「賛歌」と共に何となく縁起が悪いような気持ちで放置し、違う曲作りに励んでいました。
今年春、矢継ぎ早に曲作りが捗っていったので「もうやってもいいかな」と自分でGOを出しました。
そして「賛歌」から作りはじめたという訳です。
「挽歌」とは悼み弔う歌です。
詞は具体的な様で曖昧で抽象的、弔う対象すらはっきりしません。
忌々しいことを朗々と歌う、これは自分ではボブ・ディラン的手法だと思っています。
「賛歌」は内面を歌い「挽歌」は外の世界を歌っています。
「賛歌」でマイナー調だったものがここではメジャー調になり、「賛歌」のサビが沈み込むものだったのに対しこちらは高らかに歌い上げるものになっています。
意図的にことごとく対比するものにし、2曲でひとつの形にしようとしました。
そういう手法が好きで、これまでも「兆し」と「マナザシ」、「過ぎた日」と「来たる日」というセットアップをしてきました。
物事の真理に近づこうとするなら、一元的に考えず多角的に事象を見つめるべきではないか、いつもそう自分を戒めています。
むしろ「賛歌」と「挽歌」の詞のような物言いは表裏一体であって、それこそが物の道理ではないのかとさえ思います。
ある時は恐ろしく前向きに、ある時は憐憫や後悔や怒りに支配されつつ、その揺らぎの中で生きていると実感します。そのどちらもが確かに自分なのだと。
曲調自体は二年前に仕上げた「ダダイズム」という曲に近いものになりました。
レッド・ツェッペリンのような重いグルーヴ、シンプルなギターリフは憧れるところです。
ギターリフとリードボーカルが隙間なく勝手にぶつかり合うのは禁じ手なのかもしれませんが、この曲の混沌を表現するにはいいのかもと思えました。
ちょっとした味付けのサウンドは今年から導入したKOMPLETE 11が活躍してくれています。
ただ音の分離はまだそれほど追い込んでおらず、音圧だけ何とか出ている状態です。
ジャケットは詞にも出てくるフリージアの写真です。Photoshopでモノクロ加工しました。
隔週でアップしたいと考え何年も続けてきたんですが、お陰様で今本業も忙しくなって、なかなかスケジュールを切れなくなってきました。
さらにここにきて音楽の実力を上げたいという気持ちが強くなってきて、師事しながら学ぶという選択をしてみようと考えています。
これは身体を壊してから強くなった思いです。正にこの「挽歌」を書いている当時に痛感していたことでもあります。
そうしてやっと現在着々と歩を進めています。
そんな訳でどんどん曲を書くとか、毎週定刻でアップするとか、そんなルーティンから外れたことも追求していきたいと考える今日この頃です。
質や実力を今一度見つめ直し、出来ることならもう一段高みへ。その夢を捨てないでいようと思います。
身体のことに取り組んだように、それには何か月もかかると思いますが、これからもどうぞよろしくお願いします。
「挽歌」
詞・曲・演奏・歌 真希ナルセ
この歌はある種の感情を葬る為の歌だ
或いは行列の後ろに並ぶ善人へのラメントでもある
運の悪い巡り合わせでモノクロームの世界を過ごす人生
或いは書き換えられない生まれを忌み嫌い謗(そし)る人々
出来合いの思想
溺愛の宗教
灰色の空の下 突き付けるファクト
想像の翼を 使おうとすること
懸命に真実に近付こうとする者達を嘲笑い
或いは全てを煙に巻こうと画策し混乱を深め
核心に触れさせないよう少しでも悪足掻きをする
そんな勢力に対し異議を申し立てる闘いを支持する
舐め合いの傷の意味
せめぎ合いの歴史
壁をこさえて 分断しようとするなら
最後まで抗う 心捨てない
汗にまみれて 勤め上げる人へ
捧げよう 早春のフリージアを
灰色の空の下 突き付けるファクト
想像の翼を 強く羽ばたかせ
Key = F
BPM = 78
ドラム = FXpansion BFD 3
ベース = Native Instruments KOMPLETE 11 SCARBEE MM-BASS AMPED
エレキ・ギター = Gibson Memphis ES-355 Bigsby VOS 2015 Limited Run Antique Ebony
アコースティック・ギター = K.Yairi JY-45BE BK CTM
ストリングス = Native Instruments KOMPLETE 11 SESSION STRINGS PRO
ホーン = Native Instruments KOMPLETE 11 SYMPHONY ESSENTIALS - WOODWINDS ENSEMBLE
効果音 = Native Instruments KOMPLETE 11 RISE & HIT
キーボード = Native Instruments KOMPLETE KONTROL S49
マイク= NEUMANN TLM49
DAW = Avid ProTools 2018
オーディオインターフェイス = Focusrite Clarett 2Pre
ジャケット・デザイン = Canon EOS 60D /Adobe Photoshop CC
YouTubeの「井戸端レディオ」をやっているチャンネルで古い日本の歌を弾き語りカバーを、SoundCloudとnoteではオリジナル曲を、隔週交互に公開しようと考えています。
【マキナルの井戸端レディオ】 https://www.youtube.com/channel/UCGRgxIzgpUwLHox-7IDgQLQ
ずっと「ペットミュージック」と名付けた、順番からすると3枚めのポップ色が強いアルバムになる予定のものから紹介していますが、今回はちょっと中断して出来たばかりの新しいナンバーを紹介したいと思います。
2018年は6月現在で計7曲作りました。その中でロックテイストのものが3曲あります。これはその中のひとつです。
「歩くくらいのテンポの力強いブルース・ロックを書きたい」というアイデアがありました。
その構想を持ったのは昨秋でした。
それは「賛歌」と「挽歌」というタイトルで、2曲が対になって意味を補完し合うようにしたいというものでした。
「賛歌」を敢えてマイナー・コードで低いキーで歌って、「挽歌」をメジャー・コードで高いキーで歌ったら、額面通りにならず随分皮肉めいて面白いんじゃないか、そう考えていました。
こんなアイデアを持ったある日、実家の留守番を頼まれました。
それで作曲のツールと愛犬グミだけ連れ、泊まり込みをすることにしました。9月のことです。
実家のクーラーを掃除してやろうとした朝、急に体調に違和感を覚え、予定を変更し実家近くの病院で検査をしてもらいました。
その結果がかなり深刻なもので、その日から投薬、さらなる検査がはじまりました。
生活の制限や余命すら視野に入れなさいという指導、そして失明の危機でした。
安静期間を経てOKが出たので、レディオで明かしているようなハードなジム通いもしました。9か月かけて体調を戻していきました。
機能の落ちた内臓はもう戻りませんが、かつてない程に体力を有することが出来ました。あの時検査をしてよかったと思っています。
こんな経緯で「挽歌」を作るのがストップし、対になる「賛歌」と共に何となく縁起が悪いような気持ちで放置し、違う曲作りに励んでいました。
今年春、矢継ぎ早に曲作りが捗っていったので「もうやってもいいかな」と自分でGOを出しました。
そして「賛歌」から作りはじめたという訳です。
「挽歌」とは悼み弔う歌です。
詞は具体的な様で曖昧で抽象的、弔う対象すらはっきりしません。
忌々しいことを朗々と歌う、これは自分ではボブ・ディラン的手法だと思っています。
「賛歌」は内面を歌い「挽歌」は外の世界を歌っています。
「賛歌」でマイナー調だったものがここではメジャー調になり、「賛歌」のサビが沈み込むものだったのに対しこちらは高らかに歌い上げるものになっています。
意図的にことごとく対比するものにし、2曲でひとつの形にしようとしました。
そういう手法が好きで、これまでも「兆し」と「マナザシ」、「過ぎた日」と「来たる日」というセットアップをしてきました。
物事の真理に近づこうとするなら、一元的に考えず多角的に事象を見つめるべきではないか、いつもそう自分を戒めています。
むしろ「賛歌」と「挽歌」の詞のような物言いは表裏一体であって、それこそが物の道理ではないのかとさえ思います。
ある時は恐ろしく前向きに、ある時は憐憫や後悔や怒りに支配されつつ、その揺らぎの中で生きていると実感します。そのどちらもが確かに自分なのだと。
曲調自体は二年前に仕上げた「ダダイズム」という曲に近いものになりました。
レッド・ツェッペリンのような重いグルーヴ、シンプルなギターリフは憧れるところです。
ギターリフとリードボーカルが隙間なく勝手にぶつかり合うのは禁じ手なのかもしれませんが、この曲の混沌を表現するにはいいのかもと思えました。
ちょっとした味付けのサウンドは今年から導入したKOMPLETE 11が活躍してくれています。
ただ音の分離はまだそれほど追い込んでおらず、音圧だけ何とか出ている状態です。
ジャケットは詞にも出てくるフリージアの写真です。Photoshopでモノクロ加工しました。
隔週でアップしたいと考え何年も続けてきたんですが、お陰様で今本業も忙しくなって、なかなかスケジュールを切れなくなってきました。
さらにここにきて音楽の実力を上げたいという気持ちが強くなってきて、師事しながら学ぶという選択をしてみようと考えています。
これは身体を壊してから強くなった思いです。正にこの「挽歌」を書いている当時に痛感していたことでもあります。
そうしてやっと現在着々と歩を進めています。
そんな訳でどんどん曲を書くとか、毎週定刻でアップするとか、そんなルーティンから外れたことも追求していきたいと考える今日この頃です。
質や実力を今一度見つめ直し、出来ることならもう一段高みへ。その夢を捨てないでいようと思います。
身体のことに取り組んだように、それには何か月もかかると思いますが、これからもどうぞよろしくお願いします。
「挽歌」
詞・曲・演奏・歌 真希ナルセ
この歌はある種の感情を葬る為の歌だ
或いは行列の後ろに並ぶ善人へのラメントでもある
運の悪い巡り合わせでモノクロームの世界を過ごす人生
或いは書き換えられない生まれを忌み嫌い謗(そし)る人々
出来合いの思想
溺愛の宗教
灰色の空の下 突き付けるファクト
想像の翼を 使おうとすること
懸命に真実に近付こうとする者達を嘲笑い
或いは全てを煙に巻こうと画策し混乱を深め
核心に触れさせないよう少しでも悪足掻きをする
そんな勢力に対し異議を申し立てる闘いを支持する
舐め合いの傷の意味
せめぎ合いの歴史
壁をこさえて 分断しようとするなら
最後まで抗う 心捨てない
汗にまみれて 勤め上げる人へ
捧げよう 早春のフリージアを
灰色の空の下 突き付けるファクト
想像の翼を 強く羽ばたかせ
Key = F
BPM = 78
ドラム = FXpansion BFD 3
ベース = Native Instruments KOMPLETE 11 SCARBEE MM-BASS AMPED
エレキ・ギター = Gibson Memphis ES-355 Bigsby VOS 2015 Limited Run Antique Ebony
アコースティック・ギター = K.Yairi JY-45BE BK CTM
ストリングス = Native Instruments KOMPLETE 11 SESSION STRINGS PRO
ホーン = Native Instruments KOMPLETE 11 SYMPHONY ESSENTIALS - WOODWINDS ENSEMBLE
効果音 = Native Instruments KOMPLETE 11 RISE & HIT
キーボード = Native Instruments KOMPLETE KONTROL S49
マイク= NEUMANN TLM49
DAW = Avid ProTools 2018
オーディオインターフェイス = Focusrite Clarett 2Pre
ジャケット・デザイン = Canon EOS 60D /Adobe Photoshop CC
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?