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劇場が生活に波及してきた。

5月6日、ゴールデンウィーク最終日に、「12人の優しい日本人 を読む会」のライブ配信を観ました。楽しみで楽しみで、幕が開く前からログインして待っていました。

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12人の優しい日本人 を読む会(前編)

12人の優しい日本人 を読む会(後編)

(2020年5月末までアーカイブが残るそうなので、間に合えばぜひ。)

幕開きからカーテンコールまで、擬似ではあるけれど、劇場にいるみたいに感じました。

終演後、一緒に観劇していた人たちがSNSに投稿を始めたのも、「あれ、〇〇さんも来てたんだ!」という劇場の客電がついた後の感じが味わえて、とても嬉しかったです。

観劇後にAmazonプライムで三谷映画を何本か観直したりしたのも、余韻というやつでしょうか。

映画『ラヂオの時間』は、劇団東京サンシャインボーイズの演劇で、1997年に三谷幸喜さん初の映画監督作として上映された作品です。

初めて書いたシナリオがラジオドラマに採用され、脚本家としてデビューすることになった主婦の鈴木みやこ(鈴木京香)。準備が整い、あとは生放送の本番を待つばかりのところで、主役女優の千本のっこ(戸田恵子)が、役名が嫌だと言い始めます。役名を変えたことで辻褄が合わなくなる脚本。辻褄を合わせようとする現場。

脚本をめちゃくちゃにされ、ラジオドラマの放送で自分の名前を出さないでほしいと訴えるみやこに対し、プロデューサーの牛島龍彦(西村雅彦)が「あんたはなにも分かっていない。我々がいつも自分の名前が呼ばれるのを満足して聞いていると思っているんですか。」と語りかける台詞が、四半世紀働いてきた私の胸を打ちます。

そして「ああ、早く仕事がしたいな」と思いました。Zoom劇場をきっかけに、生活に力がみなぎってきました。

これこそが文化芸術の力なんじゃないかと思って文化庁のホームページに「文化芸術振興の意義」とは何かを見に行ったら、「文化芸術は,創造的な経済活動の源泉であるとともに,人々を惹き付ける魅力や社会への影響力をもつ『ソフトパワー』であり,持続的な経済発展や国際協力の円滑化の基盤ともなることから,我が国の国力を高めるものとして位置付けておかなければならない。」と書いてありましたよ。


「妥協して、妥協して、自分を殺して作品を作り上げるんです。でも、いいですか。我々は信じている。いつかはそれでも満足いくものができるはずだ。その作品にかかわったすべての人と、それを聞いたすべての人が満足できるものが。ただ、今回はそうじゃなかった。それだけのことです。」(三谷幸喜/『ラヂオの時間』)

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