母親の虚偽申告

2/23.Fri.
 朝からインスタントラーメンを食べる。チャルメラバリカタの豚骨味。妹にドン引きされたが、私は絶対にこれを食べるんだという強い意志をもって目の前で麺を啜ってやった。
 最近、就労支援施設からの帰り道が寒すぎて必ず下顎がガチガチに固まって痛くなるため、今日は白いもふもふのマフラーを首に巻いていったら顎が痛くならなかった。これから寒い日に自転車を使うときは、必ず首にマフラーを巻いていこうと思う。
 就労施設から帰って夕食を食べた後、母と妹と一緒にこたつであたたまりながら、昔母がヨーロッパを旅行した話を聞いた。「私、生のゲルニカ見たことあるよ。あとモナリザも最後の晩餐も。ヨーロッパはけっこうあちこち行ったからね。ルーブルもオルセーも行ったし」と、母は自慢げにそう語ったが、母が「スペインにあるんだっけ? バルセロナでしょ?」と得意げに言ったゲルニカはバルセロナではなくマドリードのレイナ・ソフィア芸術センターという場所にあったし(しかもゲルニカの展示場所が移動することは絶対にないという)、最後の晩餐はイタリアのミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の壁画だという話をしたら「そんな場所行ってない……」とにわかに自信を失くしはじめたため、よくよく調べてみたら、母が見たという絵画に関する記憶はほとんど徳島にある大塚美術館のレプリカ品であることが判明した。私と妹は大爆笑。ついでに母も大爆笑。自分の記憶の中の絵画の八割以上がレプリカにすり替わっていてよくこんなに笑えるなと感動する。もし私が同じ立場だったら、「若い頃、あんな大金はたいて旅行したのに……」と悔しさのあまりフリーズし、確実に一週間は引きずってしまうと思った。

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