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ローカル美容院で髪を切る代償

髪が伸びてきた。

これまでは、ショッピングモールに入っているチェーン店、QBハウスやECハウスで髪を切ってもらってきた(値段はS$12)。

今回は、わざわざショッピングモールに行くのが億劫だったので、最寄りの美容院にふらりと近寄ってみる。

先客がいるようで、入店を躊躇していると、おでこにヘッドライトを光らせた女性店員が入れ入れと手招きしていた。

「この人の耳かきが終わったら、あなたの番だから、座って待ってて」と促される。

小さな店内では、中華系の太ったおじさんが、カット用の椅子をフルリクライニングして、寝息を立てながら耳かきされている。

おじさんと私の距離は60cmぐらい。おじさんのお腹の上にはティッシュが1枚乗せられ、右耳から出たと思われる耳垢が寝息で上下している・・・。

ヘッドライトの女性店員は、おじさんと私の間に回り込み、左耳の耳かきを始めた。女性店員と私の距離は10cmぐらい。例のティッシュが見えなくなっただけ、まだ我慢できる。

合計15分、おじさんの耳かきをじっと待たされた。

おじさんは、散髪・髭剃り・耳かきの3点セットでサッパリしたようで、S$40払って満足そうに帰っていった。

ようやく私の散髪の番。
ハサミの切れ味もよく、会話も最小限で、さくっと10分で終わった。
途中、切った髪が、顔やマスクの間にバサバサ落ちてくるのは、シンガポールあるあるなので、まだ我慢できる。

「落ちた髪を払うね〜」
と女性店員がおもむろに取り出したのは、髭剃りに使っているであろう、しっとりと湿ったシェービングブラシ。

これは我慢ならん。

「敏感肌なんで!家に帰って、自分で払うから大丈夫!」
と、なんとか断ったが、女性店員が
「マスクの中の髪だけ払わせて」
と、私のマスクの内側をシェービングブラシでさささーと掃除してしまった。

当時はまだ、室内ではマスク着用が必要だったので、しかたなくマスクをすると、、、

私のマスクから加齢臭の塊のような、おっちゃんの枕が100個ぐらいあるような臭いがダイレクトに嗅覚を刺激してきた。

急いでS$12払って、外に出て、
「こんなマスク、つけてられるか〜!」
と、地面に叩きつける勢いでマスクを外して空を見上げたら、キラキラ光る太陽に、真っ青な空、心地よい風がさーっと吹きぬけたけど、なんの慰めにもならなかった。

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