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#48 Fatuma 〜妹〜

※この文章は2013年〜2015年の770日間の旅の記憶を綴ったものです

マイの妹で大学生のファトゥマは家族の食事係り。いつも美味しいご飯を作ってくれた。毎回わたしにの分を大量に盛りつけてくれるため、しばしば食べきれずに残してしまったけれど、ある日彼女がご飯を作るところを見せてもらうと、使っていたのは小さな七輪のようなもの一つだけ。そこで、マトウケ(緑色の甘くないバナナを蒸したもの)や、ポショ(トウモロコシを乾燥させた粉を熱湯の中で煮立てたもの)や、肉や魚の鍋を代わる代わる火にかけて、時間をかけて作っていた。
テレビやパソコンを持っている彼女たちの家で、そんな風に原始的にも見える方法で料理をしていたことに驚くと同時に、それを知らずに食べ残していたことを、わたしは恥ずかしく思った。

ファトゥマの服装がわたしは大好きで、よく「その服カワイイ! オシャレ!」と言うと、彼女は照れくさそうにしていたけれど、実は自分のブティックを開く計画があることを、後から打ち明けてくれた。それはわたし自身が子供の頃に抱いていた夢に通じる気がして、彼女を応援したいと強く思った。彼女とわたしの間には10歳以上の年齢差。けれども、姉妹の間でもめったに話題にしないというカレ氏や元カレの話をしてくれたのを聞いていると、まるで仲の良い女友達と一緒にいるようでうれしかった。

彼女たちの一族はみなイスラム教徒。親族が近くに大勢住んでいるため、家の敷地の中に自分達の小さなモスクを持っていた。日に数回、時間がくると、彼女たちはスカーフをまとい、地にひざまずき、アラーに祈りを奉げていた。
この旅に出てから何度めだろう、わたしとは異なり宗教が生活のごく身近にある人達に触れて、厳かな気持ちになった。

わたしがウガンダを去る日、彼女たちは空港まで見送りに来てくれた。
チェックインの時間が来て、ひとりひとりとHug。
みんなが去ってしまうと、ぽっかりと喪失感だけが残った。

マイがFacebook上でくれたメッセージ “Tnaks for being part of my life”
日本語だとなかなか言えないこんな言葉が、スッとわたしの心に染み入った。

ジャックフルーツ!
朝食はいつもパンとフルーツが盛り沢山だった
ジャガイモが主食で魚のお頭の煮つけがおかずの夕食
ビクトリア湖の漁場でわたしが買った魚をさっそくファトゥマが調理してくれた。主食のポショ(ウガリのようなもの)と一緒に
ホクホクに蒸したお芋
牛肉のトマト煮込みスープと一緒に
豆のスープがおかずの日。ホクホクの柔らかく煮られた豆が美味しかった
調理するところを珍しそうに眺めていたら、よっぽどお腹をすかしていると思われたのか、調理場で出来立てをいただいた


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