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いざこざを溶かす笑顔

こんなにも父に会いたいと思ったことは、これまでにあったでしょうか。

およそ1年前から糖尿病で入院、2023年8月には末期のガンが見つかり余命1ヶ月を宣告された父。

面倒な家庭環境であるため、そこは端折りますが久しぶりに再会した父は弱々しく、認知症も進んで本人だとは分からないほどでした。

面会を繰り返すうちに、私のことをぼんやり思い出したようです。

私に気づくと小さな子供のようにうれしそうな顔をし、「○○○ちゃーん、○○○ちゃーん」と呼んでくれるようになりました。

澄んだ瞳に、私は何歳の姿で写っているのでしょう。

会話にならないことは寂しいですが、穏やかにほほ笑む父の表情は美しく、いつまでも眺めていたいと思うのです。

補導されては父に引っぱたかれていた妹でさえ「嫌な思い出なんてもうどうでもいいし、今のお父さんで上書きされちゃうよね」と言うくらいなのですから、相当な癒し効果があるのは確かなよう。

週に何度でも会いたいのですが、ご時世柄仕方ないとはいえ娘である私も9月19日から面会が出来なくなってしまいました。

どうやら面会解除になる前にお別れになりそうです。

心だけでも病室に飛んでいけたらいいのに。



来年の夏には面会に向かうときの暑さを、父を思い出すのだろうか。



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