![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116983706/rectangle_large_type_2_a9463fa648e29bd12517efd328d2e8f7.png?width=800)
いざこざを溶かす笑顔
こんなにも父に会いたいと思ったことは、これまでにあったでしょうか。
およそ1年前から糖尿病で入院、2023年8月には末期のガンが見つかり余命1ヶ月を宣告された父。
面倒な家庭環境であるため、そこは端折りますが久しぶりに再会した父は弱々しく、認知症も進んで本人だとは分からないほどでした。
面会を繰り返すうちに、私のことをぼんやり思い出したようです。
私に気づくと小さな子供のようにうれしそうな顔をし、「○○○ちゃーん、○○○ちゃーん」と呼んでくれるようになりました。
澄んだ瞳に、私は何歳の姿で写っているのでしょう。
会話にならないことは寂しいですが、穏やかにほほ笑む父の表情は美しく、いつまでも眺めていたいと思うのです。
補導されては父に引っぱたかれていた妹でさえ「嫌な思い出なんてもうどうでもいいし、今のお父さんで上書きされちゃうよね」と言うくらいなのですから、相当な癒し効果があるのは確かなよう。
週に何度でも会いたいのですが、ご時世柄仕方ないとはいえ娘である私も9月19日から面会が出来なくなってしまいました。
どうやら面会解除になる前にお別れになりそうです。
心だけでも病室に飛んでいけたらいいのに。
来年の夏には面会に向かうときの暑さを、父を思い出すのだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?