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私は夫を助けられない~AED講習を受講して~

先日、近所の防災訓練に参加しました。例年は消火器の使用方法を学んだあと、地震体験車に乗ります。しかし今回は初めてのAED講習でした。

受講した結果「私には夫を助けられない」という衝撃?の事実が発覚。
その経緯とAED講習について振り返りました。

消火器訓練のあと、屋内に入ってAEDの簡易な使用方法を教えていただきました。訓練では、胸部圧迫を体験するというものです。

人間の上半身を模した人形の胸を押します。消防の方が押すと「べこっ」という音。きちんと押せている証拠なんだそう。それをリズミカルに繰り返します。30回押したあと、人工呼吸。

ポイントは脇をしめて両腕で逆三角形を作り、胸の中央に手の付け根を重ねて当てること。自分の頭は手より前に出し、体重をかけて圧迫する。
見ているだけだと簡単そう。

「そこの奥さん!やってみて」

指名された私は張り切って前へ行く。ちゃんと見ていたし、押す場所も分かっている。

しかし、そこで思い出した。私の運動神経はギャグマンガレベルである。小学校では跳び箱、中学校ではバレーボール、高校でテニス、大学でバトミントンの居残りをさせられた。もちろん体育大学ではない。

中学校では、居残りにはならなかったものの「台上前転」という跳び箱の上で前回りをする授業があった。運動神経はないが無駄に身体が柔らかい。緊張でカチコチに固まったまま、跳び箱に向かって走った。

どよめきと笑い声。一瞬、いやそれ以上何が起こったのか分からなかった。
なんと、私は跳び箱の上で逆立ちからのブリッジを決めてしまっていた。あだ名はしばらく「ブリッジマン」だった。

胸部圧迫の話に戻る。

音は鳴らず「ぼよん」と弾き飛ばされた。何度チャレンジしても、ベストな力加減であることを示す「べこっ」という音(実際の人間では鳴りません)は聞こえてこない。

くすっという笑い声、夫に対する同情の目。そう、つまり夫が家で心肺停止したら助けられないのだ。

「はい、じゃあ次は旦那さん」

会社できちんとした講習を受けたという夫は、完璧だった。
「おぉー、奥さんは助かるね」
良かったのかは分からないが、もし私が夫を助けられなくても「あの奥さんだし」で済まされそうであるのは分かった。助けられなくても、全力を尽くした結果が「残念」ということになるだろう。そういう意味では安心した。

学校から帰った息子に聞くと「自分はできるよ」とのこと。
なんでも保健体育の授業で習ったそうで、しかも私の受けた訓練よりしっかりしたものだった。3~4人で1体の人形を使ってみっちり練習をしたらしい。

もしコントロールできるなら、夫には息子のいる時間に倒れてもらいたい。


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