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友だちのうちはどこ?

キアロスタミ監督の全ての始まりの一作。キアロスタミ作品は初めて見たのでどきどき。

勧められて見た。街を行ったり来たりに効率悪いなと終始イライラしてしまって、嫌な大人になってしまったなと思った。途中で案内してくれるおじいさんがいちばんいらいらした。こういうおじいさんいるなーって。祖父が晩年こんな感じだった。走るわたしを足を引き摺りながら追いかけてくれてた。おそいよ、はやくしてよって思って前を歩いてた。人は歳をとるにつれ、昔の自分のことしか語れなくなる、今の自分を保存できなくなっていくから。どんどん更新が鈍くなっていくから。ハードディスクが忘れられないものでいっぱいになっていくから。

お母さんにもいらいらした、母親もこんなふうに人の話を聞かない。自分が普通と思う手順の踏襲だけが正義で、こちらの事情とかには耳を貸さない。同じことを繰り返すだけで自分の思う通りにいかないと怒る。

おじいちゃんにもいらいらした。自分が子供の時は殴られたからって子供を殴るものだと思っている。話にならない。一番腹が立ったのは悪いことをしたら殴ると言ったことに対して「じゃあ何も悪いことをしなかったら?」と聞かれて「何か理由をつけて週に一回は殴る」と言ったことだった。もうそれは殴りたいから殴っているからだ。ただの暴力だ。こんな大人には絶対なりたくない。

こんなに街って冷たかったっけ。東京と同じくらい冷たい。でもこんなもんなんだろうな。私はなぜかこういう(田舎の)街はみんな仲が良くて近所付き合いが密でお互いの家を知り合っているものだと思っていた。そんなのは偏見だってことに気づいた。偏見はゴキブリと一緒だ。一つ気づいたらその他にあと20個はある。少しずつ気づいて直していきたい。

全体に子供の表情がすごく魅力的だ。全てを飲み込んでどうしたらいいのか必死に考え続ける。これをずっとやるとブラック企業の社員みたいに疲れて潰れるか何にも考えずただ労働をこなすだけのロボットになるような気がする(これも偏見か)。なんにせよ、疲れないように休みながら生きたいよね。

フェイクドキュメンタリーのようなタッチも魅力的だった。

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