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あれだけ飲んで、禁酒ってどういう気?でも、残念ながら、禁酒が正解

 実は、ここ3年ほどアルコールを飲んでいない。いやー、お酒を飲まないって、ほんと、気分がいいよね。心も体も軽くなって。

 と、今では素直に感じるのだが、実は昔から酒は飲んでいて、特に一線で働いているときはたくさん飲んでいた。毎日毎日飽きもせず。

 富士通の仕事はハードだった。若いときは肉体的に、中年からは精神的に。おかげで多くのことを学んだ。今あるのも、あのころの修行が役に立っていると、言えなくもないかな。そんな生活をしていて、仕事のストレスは酒で解消するのが正解だと信じていた。禁酒なんてもってのほかだった。

 禁酒の直接のきっかけは、数年前、トライアスロンの練習にと、地元の競泳サークルに参加したことだ。初めて練習に出たとき、「あ、これ、二日酔いでやると溺死するな」と直感した。それくらいキツく感じたし、ドリルもむずかしかった。今ならどってことない内容なのだが。練習は日曜で、前日は休日なのだが酒を飲むのはやめた。練習で溺死だけは避けたかった。

 ちょうどそのころ、平日の仕事が忙しくなり、帰宅後のジョギングが時間的にむずかしくなり、早朝に行うしかなくなった。これも水泳と同じで、二日酔いだとつらい。なので前夜の酒を控えるようにした。

 こうして、ジョギングや水泳をやるために酒を控えた、つまり、禁酒によくあるパターンの「酒の否定」ー多くは健康問題ーからではなく、酒よりもトレーニングを優先させるために禁酒生活を始めた。

 毎日飲んでいれば、禁酒した直後はアルコールの禁断症状があらわれ、多かれ少なかれ気持ちが不安定になる。それをしのぐのに効果的なのが、汗をかいて体を動かすことだろう。このあたりは禁酒ハウツーにもよくある。

 汗をかくトレーニングをしながら禁酒生活を半年も続けていれば、気持ちの不安定さは払拭される。ウツは消え、シンプルでポジティブなマインドになる。軽やかで爽やかな毎日を過ごせるようになる。

 禁酒生活も2年を過ぎると、酒という存在を客観視できるようになる。依存関係がなくなる。未練が消える。飲まないでいることのメリットが大きく、それに比べれば、飲酒生活は魅力がなさすぎる。ごく自然にそう思えるようになる。

 ところで、私にがんを3回も発生させたのは、もしかしたら、50代までの飲酒によるアセトアルデヒドが原因か、と思うことがある。がんは発生から目に見える大きさに成長するまで、数年から10数年を要する。飲酒生活時期にがんが発生し、それが年数を経て大きくなったのではないか。

 禁酒のきっかけはトレーニングのためで、がん防止のためではなかったが、今後、がんと縁を切りたいと思うなら、禁酒を続けるに越したことはない。実際、禁酒しているし、今のところ、飲酒生活に戻るつもりはないし、戻るメリットを感じてないし。

 ただひとつ例外があって、旧友と楽しく飲むことには未練がある。しかし、それ以外であれば、正直言って飲みたいと思わないな。やはり、いろんな面で禁酒が正解だと言わざるを得ない、残念ながら。


 ここからは蛇足。3回の手術入院生活の経験で気がついたのだが、毎日酒を飲まないと不安に感じる方々は、手術を伴う入院生活を送る際は気をつけた方がいいかもしれないよ。

 入院するともちろん禁酒だし、手術直後はICUで1晩過ごすのが決まりだ。手術前に禁断症状が出たり、手術直後の安静必須状態で強い禁断症状が出た場合は、肉体的にも精神的にも辛い状況に置かれると思う。

 手術入院で治療するのであれは、治療に専念しないといけない。しかし、そこでアルコールの禁断症状が出ると、治療に支障が出る可能性が大きい。もっと問題なのは、それが恐くて手術入院を避けること。そうなると、本来治療すべき病気を治す機会を逸する。

 アルコール依存症を治療してから手術入院する時間的猶予があればいいのだが、例えばがんの場合、治療を遅らすと早期が末期になる、助かるがんも助からなくなる、無痛で済む手術ができず苦痛が残る手術になる、かもしれない。

 同じ意味で「虫歯」も治療を要するのだが、こちらは歯医者に通えば簡単に完治する。ところが、アルコール依存症となるとそうはいかない。

 このことを想定して、よく考えながらお酒を飲んでいただければ。余計なお世話で、ホント、ご免。元酒飲みからの蛇足ね。

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