サカモト

日本古典文学を専攻している大学院生です。自分の考え方や感じ方を言語化するのが好きです。

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最近の記事

あの子が死んで、私は少し「可愛く」なった

妹が亡くなった頃、自分の服装やメイクに対する姿勢が変わったことを振り返った話です。 姉妹のファッションセンス私には3歳年下の妹がいた。学年は2つしか違わなかったけど、私は4月、妹は3月生まれだったので、生まれ年はほぼ丸3年開いていた。 私が中学生の頃まではしょっちゅう喧嘩をしていたけど、高校に入った頃からはそれなりに仲良く過ごしていた。時々上手くいかないこともあった。 顔と声は似ていたけど、性格も、得意なことも、苦手なことも全然違った。 もちろん服の好みも。 私はボ

    • 万葉集歌の解釈について覚え書き①~本文校訂~

      0.はじめに 私は大学院で『万葉集』の勉強をしています。 私がふだんやっていることを少し説明しますと、とりあえず歌の解釈をして、その中で見つかる課題や特徴やなんかを中心に論文を書くという感じです。解釈を行うために最低限必要な手順があります。ただ、私はそれがおろそかになってしまい、土台部分が中途半端のままで論を立てようとして躓くことが常です。 そこで、万葉集の歌を解釈するときに行うこと理由としては、作業として手順をなぞっているだけになっているのではないか、という反省が一つ。

      • 15年前の私へ

        どうも、29歳の君です。 学校は楽しいですか? あんまり楽しくないよね。 下校中、信号待ちをしながら「中学生活も折り返し…!」と気づいて拳をにぎった頃だと思います。 今、君がこうした方が楽にすごせたんちゃうかなーと思うことを伝えさせてください。 完全にお節介なのはわかってる。自己満足のためなのもわかってるけど、よかったら聞き流して。 まず1つ目。 ずっと言いたかったんやけど、前髪は自分が思うより少し短めにした方がいいよ。眉の形が気になるなら、下側の毛を剃ればだいぶ

        • 怖いもの:親知らずの抜歯

          こんばんは。明日、4本目の親知らずを抜きます。 私はかなりの怖がりです。痛いのも嫌い。 この3日ほど、ふとした瞬間に抜歯のことを思い出し、GoogleやTwitterの検索窓に「親知らず 抜歯」「親知らず 抜歯 怖くない」「親知らず 抜歯 痛くない」と打ち込んでは何か安心できる材料を探していました。 それでもめちゃくちゃ怖い。 何が起こるかわからないことへの怖さ、というのはありそうなものだと思います。 ただ、はじめに書いたように、明日の抜歯は4本目、つまり私はすでに3回

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          『アベンジャーズ/エンドゲーム』のソーについての感想~オロオロするヒーローの魅力~【ネタバレ】

          《この文章では、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の内容をもろにネタバレしています。》 『エンドゲーム』では、ヒーローたちがうろたえる場面がたくさん見られて新鮮でした。 アベンジャーズのヒーローたちは、時間を遡るという前代未聞の作戦を前に、なにもかも手探りで試行錯誤します。タイムマシン製作に失敗し、赤ちゃんになったりおじいちゃんになったりするスコットを見て慌てるナターシャ、タイムスリップした先で実の父親に出会って動揺するスターク…。スコットは割といつも慌てているけれど…。 そ

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          「幸せ」という言葉に対して私のもつ印象について――「別れ」というシチュエーションを具体例として――

          突然だけど、「あなたには幸せになってほしい」と恋人との関係の終わり頃に言われたことのある人は少なくないんじゃないだろうか。別れの言葉としてはまあまあ穏当というか、かなり優しい部類のフレーズだと思うけれど、言われて嬉しいものではない。嬉しくないというか、実際に言われてみるとかなりモヤモヤした(厳密にいうと本当の別れ際に言われたわけではない)。モヤモヤの正体についてしばらく考えていた。 たぶん、私自身が「幸せ」という言葉を特殊な文脈を背負った単語として受け取ったために違和感が生

          「幸せ」という言葉に対して私のもつ印象について――「別れ」というシチュエーションを具体例として――

          ドーナツの穴

          ある人のことを理解しようとするときに、きょうだいがいるかどうか、いるとすれば兄弟姉妹のうちのいずれか、というのはどれだけ意味のある情報なのでしょうか。 高校生くらいまで、まだよく知らない相手にきょうだいがいるかどうかを聞くことは、会話のきっかけとしてよくありました。そして、その相手が姉らしい、兄らしい、妹らしい、弟らしい性質を持っているかもしれない、ということを想像し、理解の手がかりにしようとしていました。 Twitterでも、長男はこう、長女はこう、末っ子は…などと、そ

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          好きなもの:映画館で観る映画

          映画を観るのが好きです。 映画館に行くのは年1回か2回、あとはDVDをたまにレンタルする、という感じですが、好きです。今回は、一人で映画館で観ることについて書きたいと思います。人と観ることの楽しさは今回はいったん横におくということで…。 映画館には一人で行くことが多いです。 元々人を誘ったり日程を合わせたりするのが苦手というのはありますが、「一人映画館」はそれ自体の楽しみがあるように感じています。 劇場に行って、座席を選んで、チケットを買って、売店をうろうろして…という一連

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          『驚異と怪異展 想像界の生きものたち』をみて

          先日、国立民俗学博物館の特別展、「驚異と怪異展」に行ってきました。どんな展示だったかというと、ちょっと横着をして山中由里子氏による図録の「はじめに」を見てみましょう。「世界各地の人々の想像の中に息づく生きものを展示した特別展」とあります。 内容についての解釈や紹介をする力が足りないので、いつものように、自分が何を楽しく感じたのかを書いていきたいと思います。 ひとつ言葉をピックアップするなら、「わからない」という気持ちを存分に味わいました。 見たことがない形や色合い。 タ

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          結婚式と「社会」と「私」

          先日、友人の結婚式に招待してもらったので参列してきました。お料理は美味しかったし、「人生の節目だ」って顔をしている友人を見られて嬉しかったし、着飾って仲間と過ごすのは楽しかったです。でもすごく疲れました。 一般的な結婚式によくある演出であんまり好きじゃないものはいくつかあるのですがそれはおいて、披露宴の「お祝いムード」のようなものに気圧されたことについて書きたいと思います。読んでくださる方には不愉快な思いをさせてしまうかもしれません。そのうえ何も解決しません。ご了承ください

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          「死んだ人」ともう一度会ったら

          死んだ人ともう一度会う、というモチーフのお話はたくさんあると思いますが、ギリシャ神話で、死んだ妻を取り戻すために冥府に行ったオルフェウスの物語は有名ですね。私がエウリュディケの立場だったとして、愛する人に迎えにきてほしいと思うか質問されたことがあります。 その質問に対しては「死んだことがないからわからない」というのが正直なところです。なので、逆に「愛する人を迎えに行きたいと思うか」を具体例でもって考えてみようかな、と思いました。というよりも、そのお題をほりさげたときにどんなこ

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          『シャーマンキング』の「正義」と、中学生の私

          『シャーマンキング』という少年漫画から私が受けた影響について考えてみました。特に「正義」という言葉についての、この作品に出てくるX-LAWSという集団に属するキャラクターの言動や立ち位置をもとにした理解について振り返ってみました。 あくまで中学生当時の自分の受け取り方を、ほぼ15年たった今振り返るという文章なので、作品への理解が正しくないかもしれません。(と思って終盤の巻を読み始めたら止まらなくなりました)また、謝った記憶に基づいて書いている箇所があったら申し訳ありません。

          『シャーマンキング』の「正義」と、中学生の私

          物語と現実の体験について【エンドゲームネタバレ】

          !『アベンジャーズ:エンドゲーム』に関しての重大なネタバレが含まれます! 映画の感想というより、映画について考えているうちに別のことに繋がっていった、という感じです。現実に体験したことと、物語などの創作物に触れて体験したように感じたこととが交流することについて書いています。 アベンジャーズシリーズには大好きなキャラクターが何人かいますが、中でも思い入れのあるのはナターシャ・ロマノフです。 ブラック・ウィドウとして名高い暗殺者で、シールドのスパイ、そしてアベンジャーズ初期メ

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          !ネタバレ!『スパイダーマン:ファーフロムホーム』を観ました

          観る前の心境を書いたので、観た後の心境も書きたいと思います。ストーリーの肝と思われる箇所も含めてがっっっつりネタバレをしていますのでご注意ください。 まず、『スパイダーマン:ファーフロムホーム』の世界がどんな状況なのか、少し説明したいと思います。 アベンジャーズの世界では、『アベンジャーズ:インフィニティウォー』でサノスの指パッチンによって世界中の人の半分が消え去ってしまいました。その5年後、ヒーロー達の戦いによって、人々の命が帰ってきます。この戦いが、直前の作品『アベン

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          明日『スパイダーマン』を観ます

          観る前の心境を言語化してみたくなったので、書きます。大げさな言葉を色々使いますが、自分のヒーロー映画の好みについてウダウダと考えているだけです。 『キャプテンアメリカ シビルウォー』で初めて登場し、『アベンジャーズ』3作目、4作目ではアベンジャーズとして戦ったトム・ホランド演じるスパイダーマン。ビジュアルも戦闘シーンもかっこよくて、その正体であるところの、少年ピーター・パーカーもとても魅力的なキャラクターです。 私は格好良いヒーローが活躍する『アベンジャーズ』シリーズが好き

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          好きなもの:本

          本の思い出について書きたいと思います。本というか、本を読むという体験の思い出についてです。 私は本が好きな子どもでした。 親も本好きだったので、環境にもとても恵まれていました。 母が子どものころに読んだ古い児童小説が本棚にみっちり詰まっていて、さらに新しい本もたくさん買ってもらえました。テレビゲームを買ってもらえなかったこと、テレビはなぜかNHKとアニメしか観られなかったことは不満でしたが。 ただ、一冊の本を何度も読むということはあまりしなかったので、内容についての記憶

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