見出し画像

店舗出店(3)

店舗出店(2)の続き。

田んぼを埋め立てるのに1年要するので、その横の土地を間借りすることになり、ようやくお店のオープン目処が付くことに・・・

しかし、問題は約一年後には、田んぼの造成が終わり引っ越さなければいけないこと。

いくら隣と言えども移設できないものは廃棄するしかないので、ここでもまたできる限り低コストでお店を作らなくてはいけません。

実際にお金も無かったので、お金掛けられないというのが本音。

まずは建物・・・

当然、一年後移転を踏まえ、移動可能なプレハブ。

所謂、工事現場などにあるようなスーパーハウスと呼ばれるプレハブで

クレーンで吊って移動できるものを選択。

と、言ってもあれ新品で何百万円ってするのですよ・・。

1フレームでは狭すぎるのですが、たくさん購入するお金もない。

中古で販売しているところを見つけ、2つで120万円を値切り倒して

2つで75万円でGET。

困ったのがトイレ。
移転前提なのでお金は掛けられない。

これも移動式の簡易トイレをレンタル。

これで何とか急場を凌ぐ考え。

でも、上水にも下水にも繋がってないので、流すのが循環式と言って
人間から出たものを消毒液を混ぜて、また流すのに使うすごい仕組み。

消毒液満タン時でも、なかなか凄い臭いなのに、どんどん薄まっていくととても出ないけど流すのが地獄絵図・・・。

足で踏むペダルなんですが、もう悪魔のペダルと命名するくらい。

バケツに水を汲んで置いておいて、それで流そう!
→すぐにタンク満タンで溢れてしまう地獄絵図・・・。

とにかく、トイレはできる限りお店ではしない!という方向で・・・。

次に苦労した雨の日に車を仕上げたり、整備をするPIT。

もちろん、そんなの建設するお金はありません。
ですが雨が降ると何もできない・・・

色々と解決策を模索し、閃きました!

建物改修などをするときに作業用の「足場」ってあるじゃないですか?

あれをコの字で組み立てて、天井は鉄パイプを這わしてそこにトタン屋根を付けたら何とかなるのではないか??

そう閃いた私は、まずは足場を中古で取り扱っている会社を調べます。

その会社に突撃して「足場売ってください!」と尋ねるも、まぁ建設足場取扱をしている会社って、まぁまぁ柄もよろしく無いところも当時は多くて・・・

いきなり「てめぇに商売道具売れるかボケェェ」と喧嘩口調です。

でも、私こういうの慣れていましたので、
あーだ、こーだと親方とお話をして

夜には「おぅ!お前、飯でも喰っていけ!」と
夕飯ご馳走になりお酒まで飲まされ

ヘロヘロになりながらも、
足場を売ってもらえる約束を取り付けた記憶があります。

その足場を翌日、キャリアカーで引取に行き、建設関係の友人などに手伝ってもらい、コの字にくみ上げ、鉄パイプとトタンをホームセンターで購入して、なんちゃってPITの出来上がり。

でも、足場って地面に打つ基礎って無いのですよ。
要は置いているだけ。

後日談で、
台風が来たときに置いているだけのなんちゃってPITは風で動きます。

なので、ロープや重しなどで固定するも、そもそも地面がアスファルトでなく砂利(お金無かったので)なので、アンカー(地面への固定する棒)のテンションが掛からずに危ない状態。

深夜に暴風圏突入でしたので、一度家に戻るも心配になりお店にPITを見に行くと、あるはずの場所にPITが無いのです(笑)

辺りを見渡すと、PITが敷地の一番端まで飛ばされており、こりゃ二次被害が起こると思い、慌ててロープを自分で持ち、これ以上動かないようにひとり真夜中、雨風に打たれながら数時間ロープを支えていたのも思い出です・・・(笑)

お陰でなんとかはなりましたが。。

あと電気などの照明。

これは移動可能なので、夜間でも展示場や作業が出来るように水銀灯設置。

設備で一番、悩ませたのが水道。

一般的に何もない土地に市の上水道を引き込む工事だけで40万くらいはします。

でも一年しか使えない。

勿体なくて、そんな工事できない。

かと言って、井戸を掘ると100万〜150万円は必要。

同様に無理。

でも、自動車業界って展示場洗車含めて、
まぁまぁ水道って使うじゃないですか。

でも無駄金はもう使えない。

悩んだ私の出した決断は「水道は無しでいく」でした。

災害用などに使う大きな水を入れるタンクを友人から譲り受け、そこに貰ってきた水を入れてバケツで車を洗う!と言う荒技で一年間過ごすということです。

商品仕上げなどでは、流石にそれではクルマが磨けないので、近くのガソリンスタンドに水道借りて端っこで洗車させてもらっていました。(そこでガソリンを入れる条件で)

そのガソリンスタンドで働いていたのが自社の前田専務。

私、前田専務のお兄さんと中学の同級生で、顔がそっくりでしたので、前田の弟ということで多少はお話をする間柄になりました。

前田専務の話では私が口説いて入社させたようです
(あまり記憶無し・笑)

なので、もし水道を引き込む工事をしていたら、前田専務はうちには来なかったのかも知れませんね・・・

ちなみに、そこのガソリンスタンドには田中工場長もその後、勤めており、数年後に同様に口説いて入社した経緯でございます。

そして肝心な在庫・・・。

もともとお金なんて無かったですし、上記のヤブレ車屋さんを作るのにも、それなりにはお金は出ていってしまいました。

残されたお金は僅か。

そのお金で在庫を揃えようとすると必然的に、安い、とっても安いクルマしか買えません。

当時(今でも?)車屋さんって儲かったら、良い在庫置きたがる傾向ありますよね?

もちろん気持ちは理解は出来ます。

でも、私のなかで腑に落ちないことがありました。

一般的に車両販売時の利益って100万円単価であれば20%前後なんです。

つまり100万円で20万円の利益ってこと。

だったら200万なら40万、300万円なら60万円ってなるのか?となると、ならないのです。

逆に利益率は下がる一方。

なのに在庫差損リスクと言って、仕入時からすぐに在庫が販売できれば良いのでしょうが、売れずに仮に半年間売れ残ってAA売却などしたら半年後の相場って落ちている可能性大。

そうしたら、在庫を損して処分するって事もよくある話。

にも関わらず差損リスクが高い高額車両を在庫にするって、その観点でみれば得策ではないのです。

屁理屈並べましたが、上記のようなことを

「しなかった」訳では無く

「出来なかった」が正解です。お金が無いのです。

でも低価格帯は5万で仕入れたクルマが30万で売れたり

15万で仕入れたクルマが50万で売れたり。

上記の利益率から考えればぜっていにこちらがいいですよね?キャッシュフロー的にも。

でも、みんなやらないのです。

理由は「格好が悪いから」

でも、私は格好を付ける余裕も余力もありません。

なので、安いクルマをかき集めて、なんとか在庫を揃えました。

なので、オープン後はまわりの同業社から「お前のところは解体屋か!」と揶揄されていました。

でも、私はそんな体裁とかどうでもよく、
どう生き延びるか??しか頭にありませんでした。

昨今では、そのような低価格専門店も田舎ではよく見かけます。

「なんか生命力感じるなぁ〜」って、
なんかワクワクして見てしまう自分がいます。

でも、当時はそんな格好の悪い車屋さんはありませんでした。

なので、1994年にお店を開業した際に、
本当にこんな在庫買いに来る人居るのか??

不安でした。

でも、私の知らないところで時代は動いていたのです。

何度か出てきた「バブル景気」は徐々に崩壊をしていき、以前のような羽振りの良い時代から、厳しい時代へと変わって行っていたのです。

私自身は、そんな景気の話は違う世界のような感じでしたし、何より自分のことに一生懸命で、そんな時流変化など気にも留めていなかったのが実情です。

しかし、バブル崩壊は地方都市まで徐々に浸食していたようで、経済的に高額車両を購入できない層は確実に増えていたようです。

そして、いよいよお店のオープン!

私と、社員になった友人H、で迎えた初日。

ポツポツではありますがお客様は来て頂けます。

「安いね」「こんな店、ある意味無いよね」

確かにこんな格好悪いお店は無かったでしょう。

でも、低価格の車両を「専門」で取り扱っているお店も無かったのでしょう。

解体事業をされている業者さん以外で、そのような安価な車両をしっかり商品化して販売しておるお店も、まだ無かったのも事実。

そしてオープン初月。在庫20台も満たない小さなプレハブの、砂利敷の水道も無い車屋さんは30台近くの販売をすることが出来たのでした・・・。

創業2年目で、よくわけわからず法人化はしておりましたので

有限会社メーカーズプロジェクトとして、初めて小売店舗を作り、上々の船出が出来た創業4年目。

キャリアカーローン完済まで残り一年という時点で自ら、幕を引けない状況を作った年でもありました。

時代が違うと言えど、よくあんなロケーションで、
販売していたものだな・・・

と今でも自分たちを感心するほど劣悪な環境ではありました。

私が24歳の歳(オープン時は23歳だったと思います)のお話。

続きは次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?