マック技報Products_001 ~連続フロー実験装置ラインナップ~
リニューアルしたマック技報 Products の第1号では弊社の精密機械加工を活かして製作してきた主力装置3種類と現在開発中案件の紹介になります。これから連続フロー実験を始める方や、今までのアプローチとは異なるフロー実験の展開を考えている方々の参考になれば幸いです。バッチ式から連続フロー式への実験を具体化できる装置が様々ありますのでどうぞご覧ください。
1.連続フローシステムの概略
1-1. 管型フローリアクター マイクロリアクター
①2相流 Y字、90°、180°衝突型流路方式
②3相流 8パターンの流路方式を標準化
③集積型 少量(数mL/min.)~ 数百倍(1~1.5L/min.)のスケールアップ
2x2、4x4、8x8、16x16 タイプ等
④高圧型 1MPa以上の高圧仕様マイクロリアクター
1-2. 槽型フローリアクター マイクロスケールCSTR
1-2-1. 常圧(Open)型CSTR
①GR(溝 Groove)タイプ 触媒等粒子がらみの反応
②HB(複合 Hybrid)タイプ 溝と穴の複合で逆流防止
③HO(穴 Hole)タイプ 短絡(ショートパス)防止
1-2-2. 密閉(Close)型CSTR
0.5MPa程度の圧力下で反応実施(例:水添反応、晶析)
1-2-3. 高圧(High Pressure)型CSTR
1MPa以上で5MPa程度まで使用。それ以上の高圧にも別途対応。
1-3. ミキサー・セトラー(Mixer Settler)
反応後の抽出/洗浄、分離を連続化
①内蔵されたY字ミキサーにてスラグ流生成
②チューブ内スラグ流循環により抽出
③抽出後セトラー層にて分離
④分離後、後段にてさらに抽出/分離、洗浄を展開
1-4. マイクロ波照射フローリアクター(MW-FR)
①マイクロ波照射CSTR(MW-CSTR)
マイクロ波をとり込んだキャビティ内へCSTRを組み込み、連続フローを行う
②マイクロ波照射管型リアクター(MW-PFR)
キャビティ内 or 外にマイクロリアクターやチューブリアクターを組み込み連続フロー反応を行う
1-5. 光フローリアクター(Photo Flow Reactor)
①マイクロリアクターの流路を光用にデザインしたもので、窓より光を照射。お好みの光源を各自で選択可。
②CSTRと光源をコンパクトに組み合わせた装置を開発中。
2.マイクロリアクター(管型反応器:PFR)
2-1.標準型マイクロリアクター
・混合・熱移動・反応の精密制御と迅速化 ⇒ 高性能・高機能
・過酷条件反応を操作可能に(爆発回避) ⇒ 安全性の向上
・装置やシステムの小型化 ⇒ 省資源・省エネルギー
・SUS316を標準とし、ハステロイ、ニオブ、タンタル、ガラス等各種材質に対応可能
2-2.集積型マイクロリアクター
Y字、T字のマイクロリアクターのナンバリングアップが可能なリアクター。ポンプの台数を変えずに量産検討が可能。(左下:4流路、右下8流路)
さらに、実験から生産へのスケールアップに最適で、通常マイクロリアクターの数百倍のスケールアップが可能となり、毎分1L~をクリアしています。タイプは2液混合で1液当り4流路、16流路、64流路、256流路の4種類の微細流路パターンがあります。コンパクトで実験室で十分量産検討実験が可能となります。(下写真:青水と黄水をそれぞれ1L/min.で高速混合すると瞬時に緑色に変化)
3.マイクロスケールCSTR(連続撹拌槽型反応器)
3-1.常圧型CSTR
・実験用にマイクロスケール化した完全混合型の連続槽型反応器
・バッチ合成から連続フロー合成への移行が極めてスムーズ
・加熱・冷却・高圧・マイクロ波・光反応・晶析等も可能
・本体材質は SUS316L、PTFE、トーカベイトの3種
(ハステロイ等他の材質もオプション可)
・ひとつの反応槽の内容積は約3mL、6槽液張り量としては約15mL
下の写真は常圧型・溝タイプのCSTRの写真です。
マイクロバイアルと同じ機能を6槽にして連結。効率的な連続撹拌を実現しました。下の写真では黄色い水が順々に緑に代わっていく様子が見えます。
下はCSTRにて食塩の連続晶析した際の抜き出しチューブの写真になります。詰まることなく連続運転が可能です。
4.ミキサーセトラー
反応の後処理(抽出/洗浄、分離など)の連続化に好適です。Y字ミキサーと分離槽(セトラー)をコンパクトに集約した装置となります。多段階プロセスの実験では重要になってくる後処理を連続的に行えます。
①ポンプにより内蔵されたY字ミキサーへ送液
②Y字ミキサーによりスラグ流生成
③接続チューブ内での循環流を利用して抽出
(チューブの長さ、太さで条件の調整)
④抽出後、同一プレート内のセトラー槽にて分離
⑤ミキサーセトラーを2~3段と連結し抽出効率の向上が可能
5.開発中装置
5-1.マイクロ波照射フローリアクター
・高速加熱で反応速度の大幅スピードアップ
・分子レベルの内部加熱で均一加熱
・連続装置との組合せで反応の効率化・省エネルギー化
・新規反応の創出や既存工程のシンプル化
①マイクロ波照射CSTR
下の写真はキャビティ―内にCSTRを組み込んだ構造になり、連続運転が可能となります。マグネットスターラーで各槽を攪拌しながら液を送りマイクロ波を照射することができます。
「マイクロ波照射CSTRシステム」はCSTR、マイクロ波発振装置、チューナー、キャビティ、マグネットスターラーとポンプで構成されています。
②マイクロ波照射管型リアクター(PFR)
このリアクターはキャビティ内外にマイクロリアクターやチューブリアクターを組み込み連続フロー反応を行うものです。
5-2.光反応マイクロリアクター
①マイクロリアクターの流路を光用にデザインしたもので、窓より光を照射。お好みの光源を各自で選択可。流路幅を太くし、蛇行させることで表面積と滞留時間を稼ぎ、光の照射時間を確保できる構造です。標準タイプのマイクロリアクターセットの流路プレートを交換し、透過率の良い石英ガラスでサンドウィッチすれば光反応マイクロリアクターとして実験できます。
②CSTRと光源をコンパクトに組み合わせた装置を開発中。
5-3.チューブリアクター
SUS管などに対し、曲げ、溶接、接続などの加工を行い、より実践的な実験を行うリアクターにすることができます。ステンレスだけではなく、耐食性の高い素材であるハステロイなどの装置開発も可能です。
最後に
連続フロー式の実験では様々なプロセスがあり、用途に合わせた装置の開発が求められています。我々はそれらの多様なニーズに応えるため設計、加工、組立、検証実験などを一貫して社内で行っております。革新的技術である連続フロー生産の今後の発展をものづくりからサポートできるよう進んでいきたいと考えております。
今後、マック技報では、Talk、Products、Applicationsにて、フロー関連の記事をシェアしてきますので、どうぞよろしくお願い致します。
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