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【漫画感想】『鍵つきテラリウム』3巻

前回の記事からずいぶん時間が空いてしまいましたが感想記事再開します。
今日扱うのは平沢ゆうな先生の『鍵つきテラリウム』3巻。
発売前に予約して行きつけの書店には届いてたんですが、いろいろあって一昨日ようやく取りに行けました。


【あらすじ】

崩壊寸前の完全環境施設<アルコロジー>を旅する調査技官チコと弟ピノ。

旅の途中で謎の戦車ロボットに襲われた2人。チコが目を覚ました時にたどり着いていたのは、廃棄物のリサイクルを糧に成り立っているゴミ捨て山のコロニー<スバールカ>だった。


【登場人物】

チコ:クソガキ呼び・大人気ない系お姉さん。戦車ロボットとの戦闘のあと気を失い、夢の中でピノと過ごしたひとときを思い出していた。今巻ではスーツ以外にも体に改造を施しているような描写が垣間見える。

ピノ:チコの弟にしてロボット「P1No.」。戦車ロボットとの戦闘で機能停止寸前まで追い込まれたが、アレクセイの手で修理されVer3.2へと改修される。改修ボツ案ではキャタピラ戦車に改造されていた。

ユーリィ:<スバールカ>でチコとピノが出会った、口は悪いが根は素直ないい子系少年。家族同然のロボット「ソフィア」の初期化に失敗し、ソフィアと自分と同等に見ようとしない父親に反抗している。

アレクセイ:ユーリィの父親にして<スバールカ>の駐在兼発掘技官。負傷して倒れていたチコとピノを発見した。チコとピノの母ペティとは、彼女が<スバールカ>を訪れた際に面識がある。

ソフィア:アレクセイの診療所に拘束されているロボット。老朽化によってコアが完全に壊れており、何処かへ目指して頻繁に診療所を抜け出そうとする癖がある。ペティが滞在していた時はよく彼女の話し相手になっていた。


今巻の冒頭で全てではないですが、チコとピノの過去がある程度明かされましたね。

衰弱しつつある自分の人格をロボット「P1No.」に移し替えて、機械の体で生きることを選択したのは他の誰でもないピノ自身だった。

個人的には死に瀕したピノを生かしたい一心で、チコが独断で「PiNo.」に人格データを移し替えた可能性もあると考えていたんですけど、どうやらこの説は違ったみたい。

しかし気になるのは、ロボットに人間の人格を移すという行為。

ピノの「過去の大戦で当たり前に行われていたことをやるだけ」という台詞からも、人格データのインストールは一般的な技術だったように読み取れるんですが、

ロボットに移された人格の持ち主、つまり元になった人間はどうなるのか?
もっと言えば、「P1No.」に人格を移したピノの肉体はどうなっているのか?

そして更に気になるのが、細胞工場の存在。
中央コロニーから送られてきた卵細胞を女性の子宮ではなく、専用の培養器の中で育てることで赤子として世に送り出す。
その際に学習装置を使うことで、ロボットの人格データを赤子に移すことができ、チコの同世代の子供の一部はそのように生まれてきたという。

では赤子に移された人格データを持っていたロボットはどうなったのか?
そのロボットに移されていた人格データの持ち主の人間はどうなったのか?

個人的に「人格データのインストール」と「細胞工場」から考えられる予想としては、過去の大戦の原因は人口増加による食糧・資源不足なんじゃないでしょうか。
増えすぎた人類は限られた資源を巡って戦争を起こした、これが作中500~600年前に起きた出来事。
細胞工場は世界の総人口を常に一定に保つための出生数管理手段。
そして人間の人格をロボットに移し、ロボットに移した人格を人間の赤子に移し替えることで延々と「人格のリサイクル」を行っているのではないかな…と。


後書きで平沢先生は「アルコロジーで起きていることについての布石はほぼ置き終わった」と書いており、Twitterではカバー裏も伏線になっているみたいなことを呟いてらしたので、4巻が発売される前にもっといろいろ考察してみたいですね。上記の考察は我ながらまだまだ強引すぎる気がする。

それはそれとして、公式Twitter(@KagitsukiT)は1話の一挙公開、販促動画の作成など精力的に活動しているので、中の人には引き続き頑張ってほしいですね。

一ファンとして、陰ながら応援しています。

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