ドローンの課長

先日うちの課長がドローンになった。
ドローンになったと言ったら驚かれるかもしれないが、もちろん人間がドローンになるわけじゃない。そうじゃなくて、我らが課長は家からリモートで僕たち下っ端を管理することにしたのだ。
平和だった職場はいまではドローンが頭上をぶんぶん飛び回る居心地の悪いものになった。コンピュータでエロサイトでも覗こうものなら背後にドローンの課長がぬっと現れるのである。油断も隙もあったものではない。これではこっそりお菓子を食べることもできやしない。
である日、頭に来た僕らは罠を張ってドローンの課長を壊すことにした。課長は自宅にいるし、ドローンが動かせなければ監視もできないからだ。
大捕物の末、飛び回るドローンを退治してオフィスに平穏を取り戻したかに見えたのも束の間、同僚の平井さんが窓の外を指さしてぎゃあああと叫ぶのが聞こえた。
なんだと思って目を向けた先には、ドローンの社長と専務と部長が待ち構えていたのだった。