ショートショート王様 #毎週ショートショートnote
あるとき本のあいだに小さな王さまが佇んでいるのを見つけた。
どうして王さまか分かったかというと、頭に小さな王冠をかぶっていたからである。
「どうして暗い顔をしているんですか?」と尋ねると、王さまは顔をあげて「どうやらぼくはショートショートの星に生まれた王さまらしいんだ」と言った。「中編や長編の星じゃあなくてね」
わたしはてっきり王さまがショートショートの星に生まれて、小さい体を与えられたことを嘆いていると思ったんだけど、どうやら違った。
王さまが語るところによると、王さまというものは生まれた星によって人生の長さが決められてしまうものらしい。つまりショートショートの星に生まれるということは、ほんの数ページ分の命しか分け与えてもらえないということ。「中編や長編、上下巻がうらやましいよ。少なくともぼくより長く生きられるからね」
最後に「さよならだよ」と小さな王さまは言った。「どうかぼくのことをたのしんでくれたら嬉しいな」
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
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