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ボールに魅せられて

今年は予定通りにシーズンは開幕、また心が揺さぶられる日々が始まっている。試合に勝ってみんなで喜び、負けたら落ち込んだり、頭を悩ませてみたり。側から見ればボールを蹴るだけのこの競技、なにが私たちの心を掴んで離さないのか、練習中のふとした瞬間たまに思うことがある。

こどものような笑顔で駆け寄る瞬間も、冷静に目の前の問題を解決しようとする時間も、90分のなかに同時に存在する。サッカーはこどもを紳士・淑女にするなんて言葉があるけれど、その逆もまた然りで、そんな矛盾がピッチ上では許される。そしてその矛盾は大きな心の動きを生み出し、それを感じ取る周りを巻き込み、より多くの心の動きをつくりだす。これがいわゆる感動の共有というもので、サッカーやスポーツの持つ魅力の一つなのだろう。

個人的にはこの心というものがキーワードで、人間の成長において、能力的な成長よりずっと大切にしたいと感じている部分にあたる。心の成長を望むのであれば、自分を表現することが必要不可欠で、自分を表現することは他者との関係を生み出し、それを俯瞰的に見つめながら自身をコントロールする術を身につける。これがいわゆる人としての器的な成長に繋がるのだと思う。

能力を伸ばすことにも継続のための努力が必要であり、決して簡単なことだとは言えない。しかし、心の成長を求めるのであれば、他者との関わりが必要になってくるので、ハードルとしての高さはより高みを増すように思う。周りがこわくて自分が出せない、自分は出せるが周りが見えていないなんてことはよくある話で、このバランスがとても難しい。

だけど、矛盾が許されるピッチ上では、そのバランスの舵取りが比較的やりやすいようにも感じている。感情を爆発させてぶつかり合うことがあっても、ピッチから一歩でも出れば互いに呆気らかんとしていたり、信頼関係がなければボールも回ってこないので、最終的にはピッチでの居場所を失い、嫌でも現実に向き合わされる。そんな場所だから、いままでも、ものすごい振れ幅で心は揺れ動いてきたし、そこから得た学びや繋がりは何物にも代え難い財産だ。

私が考えるスポーツの魅力とは、心に触れられるそのポテンシャルの高さでありながら、心というものはそう簡単に説明がつくものではない。魅力を伝えようとするといつも困ってしまうのだが、だからこそMake Your Own Ball Dayでの活動に惹かれたのだと思う。

元々はチャリティ活動に興味があったところから知り合ったのがきっかけだったが、関わっていくなかで、ボールをてづくりする体験を通じて自身の環境を振り返る心の成長の機会、それをこどもたちの笑顔と同時に実現させるイベントに興味が移っていった。言葉で説明するのが難しい魅力というやつを、心が感じ取って惹かれていったのだと思う。

単純に活動を広げていきたいのであれば、すぐにでも現役を引退することが近道であると自分でも理解は十分している。それでも現役でまだ挑戦したいと思うのは、私自身がまず誰かの心を動かせられる存在でありたいと願い、そのための手段がサッカーだと感じるから。だから、私にとってはピッチパフォーマンスも含めて、それもMYOBDでの活動のように捉えている。やりきった、次はこれからの人たちに繋いでいこうと、最後の瞬間に心から思えるよう、そのための日々を過ごしていきたい。

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Make Your Own Ball Day
ボールを手づくりして遊ぶ体験を通して、発展途上国でボールを買えないこどもたちの貧困を知ることで、新たな価値観や好奇心を育てることを目的としています。

活動目標
貧困を知る/創造力を持つ:
現代社会において、創造性という才能が人々から失われつつあります。私たちは創造性こそが、人々が抱える問題を解決したり、それによって互いに繋がるための鍵となることを信じています。
MYOBDというボールを手作りする体験において、どのようなボールを作るかという判断の一切は、こどもたちに委ねられます。発展途上国のこどもたちにとって、ボールを手作りするという行為は、ボールを買うお金がないという問題解決のための方法であり、同様の体験をしつつ、こどもたちが想像力を働かせる状況をつくりだします。

新しい価値観や視点を持つ:
物事を捉える視点を変えたり、新しい価値観に触れることで、日々繰り返される日常もまた新たな視点で見つめ直せるようになります。
ボールを手作りする体験を通じて、新たな人やアイデア、そして文化と繋がり、別の人の目から世界をみることができるようになることを目指します。

探究心や好奇心を育てる:
与えるという行為は、自分のためではなく別の誰かのために行動する気持ちを育みます。ボールなどの用具を寄付するということは、単にものを与えているのではなく、”プレーする喜び”そのものを与えているということを知ってもらいます。
遊びは、こどもたちの探究心や好奇心を刺激するのに最も適したものです。社会におけるよりよい関係性や健康な身体の作り方を学んでもらいます。

世界を変えられるこどもに:
活動を通して見えてきた世界に同情するのではなく、今あるものへの感謝の気持ちを持ち、そして、こども達の持つ、自身の情熱や才能を誰かのために活かすことで”世界は変えられる”という真実に気付くきっかけをつくります。



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