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友達と鍋をつつく

ついこの間、友達の家ですき焼きを食べた。ことの運びは、私の提案から。2年ほど前にした限りの集会をそろそろ再開すべきじゃないの?!と鶴の一声。

以前3人で出かけたのは渋谷の居酒屋だったから、またどこかに呑みに行くのもいいな、と思っていたけれどなんかもっといいアイデアが出る気がする!と頭を悩ませて出てきたのが、「友達の家で鍋をつつく」だった。

誰かの家でお酒を呑むことをしてこなかった私は、どこか「宅飲み」というものに憧れがあった。ただ、宅飲みは危険と隣り合わせ。今回遊んだ友達には絶対的信頼があったし、なにより女2:男1の3人での遊びなので、女と男というしがらみはひとつ忘れて遊ぶことに。

ただ、鍋にも種類がある。私が1番好きな鍋を提案した。すき焼き。

こんな時期に食べるようなものじゃないけれど、初回にふさわしい豪華さを!と思い、締めのうどんまで提案して気合十分。

お料理が上手くなりたい私は、一人暮らしの友達のため、家にあげてくれたお礼として作り置きのおかずを作ることに。リクエストでピーマンの肉詰め、1番好きなんだって。

買い出しから気合を入れて「俺リッチマンだから」とかいう謎の申告に「ヘイヘイ、」と半分呆れつつ、高い肉をカゴに入れる友達を見つめる。そのくせ無農薬の野菜は高いから見るなと言う。どこがリッチマン。

その後も久しぶりの再会に胸をときめかせながらトーク、トーク、トーク、ピーマンに肉を詰めながらトーク…

ピーマンの肉詰めが出来たらすき焼きの仕込みに入る。ひたすら具材を切って頑張っているところで、友達はピーマンの試食へ。美味い!!と叫びながら2個3個と食べ進めるヤツ…作り置きじゃないんかいな…

そこからもモグモグし続けるヤツを横目に、すき焼きの仕込み。ひとしきり食べたら寝転がり始めるヤツ。手伝うという概念はヤツにはない。

すき焼きの方も仕込み終わった頃にもう1人の友達が仕事を終えて到着…ケーキを買って来てくれた!

ところが、その遅刻友達の誕生日が近かったものだから既にケーキは用意していて…渡された瞬間、こっそり2人で目を見合わせた。気まずさ。

とにかく気づいてないことにして、すき焼き開始!!

皿が足りないだの箸がないだのワーワー騒ぎながらも鍋をつつき始める、ようやく。今回は友達2人とも料理はしなかったから、ひたすら私が作り進めた訳だけど、なんだか人にご飯を振る舞うというのは気持ちがいい。自分が必要とされているかのように錯覚してくる。

でも、鍋をつつくことよりも、久しぶりすぎる再会で話すことの方が多くって、全然食べるより喋ることで口が忙しい私たち…

なんか、こんなふうに毎日過ごしていられたらいいのに、なんてシェアハウス願望が高まりながら、ひたすら食べて飲んで…

思いのほか胃袋の小さかった私達は全然締めのうどんなんて食べられず、ケーキのため、胃袋に少し余裕を持たせたまま食事終了!

残ったご飯は全部友達の作り置きとなりましたとさ…だから、フードロスなんてこたぁしないよ!

ケーキのサプライズもして、沢山食べて呑んで話して、一息ついたところで家主の「帰るか」のひと言。

泊まりたくて仕方ないくらいのリラックスだったけど、さすがに泊まれないので重たすぎる腰を上げる。家主と合流してからその実6時間ほど、私は喋りこくっていたというのだ。

友達と鍋をつつく、鍋をつつくよりも話した記憶の方が多いこの予定、鍋をつついたことで生まれた絆なんかもあるんじゃないかしら、

友達と鍋をつつく、いつまでも友達と家での食事で季節を感じていたいと心の奥底から思った日、友達と鍋をつつく…食べて呑んで、つついて食べて…

ー#57 友達と鍋をつつく

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