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5.縄文遺跡へ③

縄文遺跡に興味をもった息子。次に向かった先は、千葉県千葉市にある加曾利貝塚遺跡。夏休みは始まったばかり、夏も本番といった暑さ。電車を降りてトコトコ歩き、細い路地を入っていくと、加曾利貝塚遺跡の入り口に近づいてきたことが伺えた。

「お母さん、そろそろ入り口だね。さっきから白い玉が沢山飛んでる。」

「どんな形なの?」こういう形と両手で形づくって見せてくれた。ドロップ型の白い玉。地面から数十センチ上を雲のようにふわふわ浮いているそう。

中へ入ると、加曾利貝塚と書かれた大きな石碑。

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「お母さん、この石からも白い玉が沢山出てるよ。」と、石碑を指さして言う。どうしてこの石碑からも白い玉が出ているのだろうと思いながらも、

右手の方をみると、盛り土にブルーシートがかけられていた。遺跡が痛まないようにカバーしてるのだろうか?

左手の方を見ると、屋根のかかった白い建物があった。

「あれはなんだろうね?中に行ってみようよ!。」と、その建物の入り口まで行くと、何やら嗅いだことのない匂いと、何とも言えない、その先から一歩も足が出ない感覚というのだろうか?私はなかなか中に入れずにいた。

そこは、縄文時代の貝塚の層がそのままの状態で屋内に展示されている建物だった。左右両側に貝塚の層がむき出しに平行に並んでいる。入り口の説明には、やはり、臭いのことも記載されており、無理をして入らないでくださいというようなことも書かれていた。

そんな場所に、息子はいとも簡単に走って入っていって

「ちょっと待ってよ~お母さんは入れないから、出口で待ってるよ。」

「なんで入れないの?」

「なんでって言われても、足を踏み入れられないっていうかなんていうかその。」

「白い服を着た人が10人くらいいるよ。」

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「え?!どういうこと?どこにいるのさ~?」

「犬もいるし。」

「お母さんには視えないんだけれど、みんな何をやっているの?」

「僕にもよくわからないけど、みんな歩きまわってるよ。」

「どこにどういるの?」

「こっち側に5人、あっち側にも5人」と、左右の貝塚を指さして言うのだ。

「そんなこと言ったって入れないよ、お母さんは。なんか恐いよ。」

「大丈夫だよ~。」と言いながら、ときどき貝塚の層を見ながらも、奥の出口に向かって歩いていってしまった。

「わかった。お母さんもそっちに行くから、お願いだからそこで止まって待っててくれる?」とても、その場所には一人で居られない程の感覚。息子がいてくれるのならば行ける。そう思って息子に、貝塚の中間くらいの位置で待っていてもらった。

早く走り抜けてそこから出たい。その一心で息子のところまで辿りついた。

「犬はあの辺にいるよ~。」と指さしていう息子。

「そかそかわかったよ。もう行こうよ。」

「嫌だよ~出たところに虫がいっぱいいそうで出たくないよ。」そう、出口付近は森のように木々が生い茂っていて、確かに虫がいそうな雰囲気。息子は虫が苦手なのだ。私は、虫より何より、ここから早く抜け出したいそんな気持ちでやっと出口まで辿り着いた。

「ギャー!」一足先に外に出た息子が悲鳴をあげていた。

「どうしたの~?」

「クモがいるんだよ!!」

「大丈夫だよ。Rよりクモは小さいし襲ってくることはないよ。クモの方がRを怖がってるよきっと。」

「ヤダヤダ気持ち悪いよ。早くあっちの方へ行こうよ。」と言いながら歩いていくと、入り口付近の石碑の方へ舞い戻った。

「今度はどっちの方へ行ってみる?」

「あっちへ!」と走っていった先は、肥沃な土がみえる場所。建物もあり、自然とその中へ入っていった。

今度は、縄文時代でも、先ほどの貝塚層とは違う時代の層が両側に平行に並んだいた。その間を私たちはまっすぐ通り抜け歩いていく。先ほどの貝塚の展示と違うところは、ガラス張りになっていることだ。最初に見た貝塚がある建物よりも、狭い空間だが、ガラス1枚あるだけで、匂いも抑えられ、ただならぬ気配も感じられず、スイスイ前に進んで行った。

「何か視える?」

「う~ん、白い玉はガラスの向こうに視えるけど。。。」

「さっきみたいに、人はいる?」

「人はいない。」

「どうしてだろうね?」

「わからないけど。。。」

その建物を出ると肥沃な土が足元に広がり、よく見ると白い貝のようなものが、土の中から見え隠れしている。

「これなんだろうね?」

「どうみてもこれ貝だよね?」なんて会話をしていると、いつの間にか私たちの近くまで一人のおじさんがやってきた。服装から、こちらの施設の方らしく、色々と説明をし始めてくれた。

「この白いのは貝ですよね?」聞いてみると、私たちが今立っているところの下にも貝塚の層が眠っていて、貝もその当時のもの。土器もあるよと、土器の破片を柔らかな土の中から簡単に掘り起こして手に取り見せてくれた。

「え!?それも本物ですか?!」もちろん本物で、沢山の破片がいたるところに落ちていて、簡単に掘り起こせると教えてくれた。

そうやって言われてみると、沢山の土器の破片や、白い貝が落ちていることに気づいた。灯台下暗し。掘り起こした小さな貝を手に取ろうとした瞬間、ほんの少し触れただけで、すぐに崩れて粉状になってしまった。今まで、何千年もの間、形を保ち続け、地下に眠っていた貝を粉々にしてしまい、ちょっとした罪悪感。

土器も拾ってみると、学生の時に教科書でみたあの縄文式土器の模様のようなものも残っていて、何とも言えない気持ちになった。

「こんな簡単に本物の土器を掘り起こして手に取れるなんて!すごい体験!」なんて話をしていると、おじさんが、今、縄文時代の子供向け紙芝居を作ったばかりで、感想を聞きたいのでぜひ紙芝居を見てほしいというので、青空紙芝居の場所へと行ってみた。

足元に虫が寄ってくるのではと不安で紙芝居に集中できない息子。母の私の方が話にのめり込んで観ていた。中でも印象的だったことは、貝塚自体が祈りの場であったという話。それまでは、貝塚というと、食べたものの残りや、実をとって食べた貝殻を捨てる場所という認識だったのが、祈りの場所と予想できるような何かを焼いた形跡が残っているとのことだった。

息子がいつも白い玉が視える場所は、決まって神社だったり、寺院だ。どちらも、何を祈るのか内容は違えど祈る場所には違いない。それもあり、貝塚から白い玉が視えるという息子にも納得できた。

Instagram makana.7





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