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10.日光東照宮へ

息子が7歳の5月のゴールデンウィークのこと。以前から気になっていた日光東照宮に行った。私がここを訪れるのは中学校の修学旅行以来。その時は、まさか、見えない世界が視える息子、そして、今回、初訪問となる主人と3人で来ることになるなんて思ってもみなかった。

初日は、息子がずっと乗りたがっていたSL大樹に乗る為に下今市駅へ向かった。下今市駅はSL大樹の転写台もあり、機関車トーマスが大好きだった息子にとっては、実物の転写台が見られる夢のような場所。

黒々とした存在感のあるSL大樹。モクモクと白い煙を出しながらゆっくりと近づいてくる。ものすごい迫力。大きな汽笛音に緊張が走る。子供よりも大人たちの感嘆の声の方が大きいくらいだった。

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下今市駅からSL大樹に乗り、次の目的地の東武ワールドスクエアに到着した。ここも、息子の以前から行きたいと言っていた場所。世界の名所がミニチュアになって集まっているところ。

日本地図パズルにハマった息子が次にハマったのが、世界地図パズルだった。カチっカチッとパズルのピースがはまる感覚が好きらしく、

完成しては崩し、完成しては崩しの繰り返しで、最後は形も覚え、どんな角度からみても、国名も言えるようになっていた。字が読めるようになり、日本都道府県図鑑や世界地図図鑑を眺めては、各地の特徴を自然と覚え、今度は、この路線のこの電車に乗ってここに行ってみたい!と言うようになってきた。


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「お母さん、飛行機に乗って世界中を旅してみたいね!」

「そうだね~本物を見たいね!いつ行けるかな~。」そんな会話をしながら、ほんの1時間程で世界中を旅した気分になり、お腹いっぱいになった。

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電車で日光駅に着くと時刻はまだお昼過ぎ。周遊バスパスを買い、竜頭の滝を目指すことにした。

途中、バスの窓から中禅寺湖付近で白鳥ボートを見た息子が、「あれに乗りたい!」という。乗りたい気持ちはわかるけど、帰り道に乗るとなだめて、日が暮れないように先を急いだ。

竜頭の滝へ着くと、入り口茶屋の近くに龍頭観音が祀られていた。静かに手を合わせると。息子がひそひそ「お母さん、白い玉がここから出てるよ。」

右手に水晶玉、左手に巻物をもっている菩薩さまが龍の上に乗っていた。水を支配される龍頭観音さま。お釈迦さまの誕生時にも、八大龍王が花をちらし慈雨甘露の雨を降らして祝福したことでも有名だそうだ。

階段を上がっていくと、

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しばらく、この水の流れを聞きながら、佇んでいたい。そう思ったが、

「お母さん、早く次へ行こう!」と、苦労して上ったきた階段をタッタッタッと駆け下りて行く。「待って~!そんなに急いで行くと転んじゃうよ~。」


戦場ヶ原方面からのバスに乗り、中禅寺湖方面へ引き返し、次の目的地の華厳の滝へ。

思いの他、このバスが込み合っていて、補助席も使用している程。家族3人バラバラに座ることになった。一度座席に座ると、途中で降りるのも、補助席の方に立ちあがってもらわなければいけないので、心苦しかったが、窓に中禅寺湖が見えてくると、降りよう降りよう!の合図をしてくる息子。本当にこの状態で降りるの?の目の合図をする私。白鳥のボートに乗りたくてたまらない息子。

どちらにしても、華厳の滝に行くにも、ここで下車しないともう行けなくなってしまう。そう思って、思い切って下車合図のボタンを押して、なんとか降りた。

バスから降りた途端、湖の方へ走っていく息子。ここで白鳥ボートに乗りたかったんだね。

乗れて満足できたみたいで良かった。

ボート乗り場から歩いてすぐのところに華厳の滝入り口がある。エレベーターに乗り、地下へ下がる。ドアが開くと、白いトンネルが見えた。

忘れていたけど、私はここにも中学校の修学旅行で来ている。閉ざされた白いトンネルを歩きながら記憶が蘇った。


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その日の夜は、日光東照宮近くの、以前は世界中からバックパッカーが訪れたという古民家に宿泊し、翌朝からの散策に備えることにした。

古民家のオーナーさんに、翌日は神社散策するという話をしたら、せっかく行くのなら、ここに行った方がいいと日光ウォーキングガイドブックを頂いた。地図を手にし、氣がしっかりしているからと、古道の散策をすすめてくれた。

予定にはなかったものの、日光在住のオーナーさんのお勧めならばということで古道散策も予定に入れ、翌朝6時には古民家を出発した。先ずは、憾満ケ淵を目指した。


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憾満ケ淵は男体山から噴出した溶岩によってできた奇勝と大谷川の清流が織りなす自然美溢れる小渓谷で、南岸には数十体のお地蔵さまが祀られている場所だ。

そんな渓谷の朝一番の空気を味わいたかった。

「お母さん、どうしてお地蔵さまは赤い帽子を被ったり、赤いよだれかけみたいのをしているの?」

「え~?どうしてだろうね?!お地蔵さまも寒いんじゃない?」なんて、理由もわからない私は適当に答えていた。

後々、調べてみると、お地蔵さまは子供を守ってくれる仏さまとして、昔から信仰されていて、赤いよだれかけをかけるのも、冬には毛糸の帽子や頭巾を被せるのも、赤ちゃんがすくすくと丈夫に育ちますようというお母さんの願いが込められているという事だった。

中には、崩れて形をなさないお地蔵さまも祀られてあったが、それでも、一体とみなされ、赤い帽子とよだれかけは石の上においてあった。

「白い玉がお地蔵さまから出てるよ。」と息子。

「やっぱりそうなんだね。」祈りの場所に行くと必ずと言っていい程に白い玉が出ていることを息子から教えてもらい、その頃になると、私は実際には見えなくても、どういう場で白い玉が出ているのかがわかってきていた。

その後、散策しながらついに日光東照宮入り口まで辿りついた。まだ開門時間前だったので、先に、宿泊先のオーナーさんに教えて頂いた、古道へ行くことにした。日光二荒山神社を通り過ぎ、

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時の経過を感じさせる苔むした大木たち。

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だんだん坂道も急になり、途中、休みながらも、昔の修行場所だという行者堂に到着した。そこから今度は下るようにして次の目的地へ。

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上に丸い穴が開いているという珍しい鳥居。運試しの鳥居と言われ、小石を3つ投げ入れうまく通ると、願い事が叶うということで、鳥居の前にボールが用意されていた。残念ながら、家族全員、一つもうまく投げ入れることはできなかった。

そのまま道なりに散策しいくつかの神社を巡り、行き止まりまで行き引き返して、小雨の中、日光東照宮まで戻ってきた。

一体、朝からどれだけ歩いたのだろう?10キロ近くは歩いた。朝早くの出発だった為に、朝ごはんを食べるようなお店も開いておらず、かといってコンビニもないため、いい加減、お腹が空きすぎて家族3人共ヘトヘトだった。

日光東照宮に着くとすぐに、大福を販売している売店に走り込んで、ベンチに座ってひと休みした。

煌びやかな豪華絢爛の陽明門。

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「お城が重なって視えるよ。」と、息子が言う。

「え?!人じゃなくて建物が?!」

「うん、お城と石垣が重なって視えるよ。」

「着物を着てる男の人がいるよ、髪を上にあげているよ。刀を持ってる人が何人かいるよ。」

「え~!???ちょんまげのお侍さんのこと?」息子は時代劇は観たことはないはずだ。

「どうして、お城なんだろうね?」

日光東照宮は徳川家康のゆかりの地。ということは、それに関係あるお城というとどこかな?陽明門が建つ前はここは何だったのだろう?そんな疑問がわいた。

日光東照宮は、皇居の鬼門に当たる場所に建てられているということだから、息子が視えたお城は皇居・江戸城?調べても知る由もないけれど、なぞは深まるばかりだ。

そんな珍道中を経て、家路についた1泊2日の旅行だった。

今回、新たにわかったこと。それは、息子が、人だけではなく、そこにはない建物も視えているということ。以前、縄文時代の遺跡あとで、竪穴式住居は視えたが、それを建物に含まないとするとそういうことになる。

縄文時代の竪穴式住居と、徳川時代の江戸城。時代が違う建物が、2021年に息子の目に視えるって一体どういうこと?!人間は能力の5パーセントも満たない部分しか使って生活していないなどと、聞くけれど、人間の能力ってすごいとしかいいようがない。今、眠っている能力をみんなが開いたら一体どんな世界になるのだろう。息子を通してそんなことを考えた日だった。

Instagram makana.7



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