見出し画像

3分間で人に話せる話|気持ちで通じる

パリに住んでいたことがある。

パリに行くのは日本初飛行機の1年前からわかっていたのにも関わらず、事前に覚えたフランス語は「バゲットとクロワッサンください」だけだった。

清々しいものである。


ちなみに英語も全く話せなかったが、行きの飛行機の中で周りの人の英語を聞いてたら現地に着く頃には話せるようになっていた。


とはいえ、実際のところパリに行ってからはいろんなところでフランス語が話せなくて困った。

・チーズ屋さんでおばあちゃんと意思疎通が取れない。
・楽器屋さんで試し弾きしたくても通じない。
・銀行に口座を作ったらカードを受け取れない。
・蚤の市でおばあちゃんと意思疎通が取れない。

などなど。とかくおばあちゃんとは意思疎通が取れない。


そんな中経験を重ねていくうちに気づいたことがある。
それは、「とりあえず日本語で話しても気持ちと表情でニュアンスが伝わる」ことである。


モンサンミッシェルに行った時。

モンサンミッシェルにはパリから列車で3~4時間くらい→バスで移動ができる。

列車とバスがセットでWebから(ここ大事)予約できるので、旅自体は簡単なものになるはずだった。

ところが列車の終着駅に着くとバスが来ない。
いや2台バスは来ているんだけど、先にバスに乗ろうとしたお客さんが乗車を断られている。

お客さんがQRコードのチケットをスマホに表示して運転手に見せてるが、運転手は渋い表情だ。
…いやそのQRコード俺と同じやつやん。

他にも同じQRコードチケットを表示させた人たちがまわりでうろうろしている。
これは困ったことになった。

推論
・うろうろしてるくらい人がいる時点でいまイレギュラーな状況だろう
・フランス語だからわからないけど、みんなきっとお互いに状況を確認しあってる
・もしかしたら別のバス会社のバスなのかな?


困ったな、と口では言いつつフランス語がわからなすぎるので実際開き直っていた。
ここにいるのは皆、使えないQRコードチケットをアホみたい手からぶら下げてるホモサピエンスである。


というわけで2台あるうちの1台の運転手にモンサンまで行きたいと伝えに行った。40代いかないくらいの中年男性だった。
なんと言っているかはわからないが、顔がめっちゃ嫌そうである。

こちらは諦めて2台目の方に行った。おじいちゃん運転手である。

僕「こっちのバスに乗せてくれ、あっちで断られたんだ。」
翁「おうよ、まかせろ」

という感じで絶対こっちの言葉わかっていない(フランス人の高齢の方は基本英語わからない気がする)けど、快諾してくれた。

まあ快諾したのかはこっちもわからない。
この時の僕はそれはそれは必死な顔してたと思う。


バスに揺られてモンサン到着。
バスを降りる時にも

僕「帰りも乗りたい」
翁「みなまで言うな。」

という表情とニュアンスの会話をした。
(元々予約したバス会社じゃないから帰りのバスが来るのか不安だった。)

結局この日は追加でバス代を払うこともなく、無事駅からモンサンミッシェルまでの往復をすることができた。

こんな感じで、結局コミュニケーションに必要なのは気持ちと表情なんだなという実体験をした。


*実は一緒に行った友達に頼めばコミュニケーションは問題なかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?