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85mmが人を撮りやすい理由/#268

85mmと言えば一般的にポートレンズとして知られている。人を撮るならコレ!と言った感じに必ず耳にする。僕自身も人を撮りたくて、初めて買った中望遠レンズが85mmだった。その後は紆余曲折あって135mmがお気に入りになったわけだが、最近85mmだけで1週間写真を撮ってみた。

そこで改めて気づいた85mmという画角について。そして今も昔もポートレートレンズとして、人を撮る時に選ばれる理由について考えたいと思う。

85mmは中望遠領域になる。始めて構えると写る範囲が近くて窮屈に感じる。加えて単焦点であるため背景がとにかくボケる。むしろボケすぎて何がなんだか分からないことさえある。いつもの感覚で撮ろうと思うと、想像以上に下がらなければ普段の画角にはならない。その画角まで下がると撮りたいものからの距離が数メートルも離れてしまうのだ。

いったい何を撮るのが正解なのか?どれくらいの距離感で何をどう収めればポテンシャルを発揮できるのかと苦悩は続く。先日、友人を撮影した際にその答えがなんとなく分かった気がする。

それは、コミュニケーション距離感が心地よいということ。85mmは2-3mの距離ならばバストアップ、5-6mならば全身カットが撮影できる。これらの距離は一般会話をしながらコミュニケーションするのに支障ない範囲。

ポートレートにおいてコミュニケーションは最も重要。相手と意思疎通できているからこそ、表情の変化や細かな意図が伝わりゆくもの。また、近すぎず遠すぎない距離感がちょうど良い。近すぎると圧迫感があり緊張するし遠すぎると不安が生まれソワソワする。そう感じさせない距離感が85mmだと言える。

さらに85mmは写る範囲が狭まり情報を整理しやすい。そのため目立たせたいものをより目立たせる。だからこそ、主題である人が目立ち、心地よい距離感でコミュニケーションを撮れるから良いものが仕上がってゆく。そういった好循環が生まれる。それが85mm。

だから人を撮りやすくて、ポートレートと言えば85mmと言われ続けているのだろうと考えている。今回使ってみてそれを強く感じた。これからも定期的に使い続けていきたい。


 SUBARU(マカベ スバル)
鳥取県在住 / なにげない日常をテーマに写真を撮っている / 出張撮影 / 写真イベント企画  / 鳥取のPR活動も行なっている。

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