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アラフォーの私たちにとって結婚とは

行きつけの美容師Sさんが電撃結婚&妊娠した。
Sさんとはもう5、6年くらいの付き合いで同じ独身でアラフォー。
Sさんは結婚どころか男の影もなかったのにある時LINEを見たら苗字が変わっていた。

なんとなく本人に聞きにくいこともあり、共通の知人に聞いたところ
昨年後半に出会った人と結婚して今妊娠しているという。

正直なところSさんだけは独身の向こう側には行かないと安心していたので、最初は妊娠までしていることを聞いてショックだった。
年末に会った時も全くそんな話題にもならなかったしまさかその時すでにお忍び愛の身籠もりだったなんて・・言ってくれないなんてちょっと水臭い思いもしたし、でも本人的にも色々と言いにくかったんだろうし。

色々な気持ちが巡り巡って、どんな表情で向き合えばいいのかわからないまま、予約当日の日を迎えた。
とにかく、私の気持ちは置いておいて、めでたいことなんだからちゃんとおめでとう、と言おう。これだけは決めた。

数ヶ月ぶりに会ったSさんは以前となんら変わりもなく、いつもの下らない話から会話は始まり、ホッとした。
とうとう、Sさんのこの半年のスピード妊娠婚の話になった。
話を聞いていくうちに、あ〜これってこの年齢だからできる結婚だったんだろうし、私としては理想かも、と思わされた。

まずアラフォーの年齢までくるともう好きだ嫌いだの駆け引きだの恋愛前線からはだいぶ遠ざかっていく。
相手からの返信が来ないとかこんなことを聞いたらウザがられるかな、、とヤキモキして夜も眠れないとか10年前ならその甘酸っぱさを楽しんでいたものがバッサリ根こそぎ切り取られている気がするのは私だけだろうか。

相手を知り、恋の切なさ、喜びを知り苦難を乗り越え、1つになる。
その過程がもううざったいのだ。
もう、30代も後半になると、そんなことをやっている時間も若さも体力もあまり残されていない。

女を武器にすることもなく、異性に特段求められず、他人より恋愛をあまり楽しんでこなかった私には殊更残念な気もするが、仕方ない。

というか、今の年齢の私やSさんが必要としてるのは、そんなプロセスすっ飛ばして、何かあった時に相談できる、残りの半世紀を一緒に乗り越えてくれる相棒探しと言った方がいいのかもしれない。
恋とか愛とかじゃなくて・・安らぎなのか。その安らぎの中に愛は含まれているかもしれないがそんなあまったるいもんでもない。

このご時世、離婚夫婦なんて世界中に溢れていることだし、離婚してもいいから、とりあえず結婚しちゃうのはアリ、だと思う。(手続きとか話し合いとは面倒というのは置いといて。)

Sさんが結婚を決めた理由は旦那というより、旦那さんの家族だったらしい。

旦那の家族がみんなさっぱり自立していて、(義父義母はお店経営で住まいは別)自分の家族にはない明るい雰囲気だった。会った時に、この家族なら、と思い結婚を決めたらしい。
そういう出会いって純粋にとっても素敵だし、相手の家族が良いってなかなかないことだと思う。

Sさん曰く旦那さんは全然タイプじゃないし、眉毛整えてるし、服装ダサいしおまけにスマホの待ち受け画面がギャル(旦那さんは若いギャル好き)だそうだ。
Sさんはおしゃれな美容師さんなので全く想像できない、というかもうネタじゃん!
旦那さんとは言い合いもするが、言いたいことは言える人だと言う。
言いたいことが言える相手、これ大事。

思うんだけど、好きな相手だとどうしても相手をガッカリさせたくなかったりいい様に見せたくて、相手の言ったことを飲み込んでしまったり、と言うことが起きてしまう。言い合える関係になるまで私は時間がかかってしまう。
でもSさんみたいに、別にタイプでもないけど、言いたいことが言いあえて相手に安心感があればそれでいい、と思う。

Sさんは言った。
「私は結婚するの20代じゃなくて今やったんやわ。20代で今の旦那さんに出会っても絶対結婚してないと思う。」

確かに20代で旦那さんのような人に出会っていたら、もっと自分にはいい人がいるはずとか、相手を無意識に値踏みしたり、好きな相手じゃないと嫌とかまだ時間があるし、色々と理由をつけただろう。だから本当にこれも不思議な縁というもので、その時の自分の年齢や経験、タイミングで本当にご縁というものが現れるもんなんだなぁ。


そして別に夫婦だからと言っていつも一緒にいなきゃいけないこともないし休みの日はそれぞれ好きなことをすればいい。
Sさんは家にいてもそれぞれ別部屋で好きなことをしているらしい。
新婚さんでしょ?大丈夫?とお客さんに心配されるらしいが、私にとってそれは全然ありだなと思う。
なんだったら出かけてお互い別のものを見たいなら別行動で後で集合でも全然いい。

少なくとも今の年齢での、私やSさんにとって"結婚"はそういうことじゃないんだと思う。
いいや、そんなの”夫婦”じゃない!と思う人もいるだろう。
結婚したこともないし夫婦とは、なんて、わからないけれど。
でも誰かと一緒に住んで生きていくという機会があるのだとしたならば、それくらいの距離感で、いい。



Sさんも私も20代は楽しいものでなく、「しんどかった」。

20代。自分が何を目指しているのかもわからず、どう人生を歩んでいっていいのか全くわからなかった。
一番若くて体力のある時に、結婚にもキャリアにもどっちの道にも行けず。
愛らしく、あざとく、愛される女性たちはみんな自分の道を計算できて、賢く結婚していく中、そもそも何が欲しいかもわからず、自分の価値がわからず、もがき苦しんでいた。

そんな時を経て、結婚してもしなくてもどっちでもいいし、1人で生きていくもんかな、と思っていた中での怒涛の変化。

人生何が起こるかわからない。

そんなSさんの話を聞いて、羨ましいとかそんな気持ちよりも分かり合えたことでなんだか安心したし、Sさんの人生の変化を心から嬉しいと思う自分がいた。

自分にはこんな変化が起きるのかわからない。
Sさんのように来るべきタイミングで訪れてくれればいいなと願うけれど。
その前に、やっぱり私にはまだやるべきことがあるようにも思うから、結婚は今のタイミングじゃないのかもしれない。

運命とか大恋愛とか劇的なものはなんもないけど、こんな結婚も全然アリだよな、というお話でした。







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