壊れた女と壊れた男

  男が規則的に落ちる血痕を追いかけると血を含みすぎたタンポンを片手にぶら下げる女がビルとビルの隙間で壁にもたれかかっていた。男と女は目が合うと貪るようにキスをした。男が勃起したペニスを挿入するとにゅるりと音を立てて女の陰部から経血が溢れ出した。女はそれをずっと見て「綺麗」と言いながらスカートのポケットから取り出した噛みかけのガムを伸ばして、結合部に粘土のように貼り付けた。男は構わず粘ついたペニスを上下させる。女は乾いた呻き声の後に「殺して」と言う。男は血濡れのタンポンで女の口を塞ぎ、首を絞めた。女のくぐもった声は美しかった。男はどうして自分はこんなことをしているのだろうと考えたが、しばらくしてその疑問を抱くこと自体が間違っていると気づいた。女が力なく倒れてコンクリートを覆う苔に鼻先を埋めた。男は、それでは美しくないと思った。だから女の顔を上に向かせた。男は女の顔の角度をあちこち変えながら、やっと美しいと思った。見開かれたままの女の目に飛行機雲が映りこんだから。