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迷える大学生。 エッセイを書いたり、翻訳をしたり。 世界中に行ってみたい。 今は、英語…

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迷える大学生。 エッセイを書いたり、翻訳をしたり。 世界中に行ってみたい。 今は、英語、北欧、韓国、日本が好き。

最近の記事

【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #9

…  レイチェル夫人は、マシューが孤児院の子を連れて帰ってくるまで居座りたかった。しかし、マシューが到着するまでは、2時間を優に超えそうだったので、ロバート・ベルの家へ寄って、このニュースを知らせることにした。こりゃあ、今までにないくらいの大騒ぎになるだろうね、とレイチェル夫人は思った。そして、夫人はその大騒ぎを煽り立てることをこよなく愛していた。  レイチェル夫人が帰ると、マリラは少しだけほっとした。レイチェル夫人のネガティブな話を長々と聞いているうちに、疑いや恐れが蘇っ

    • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #8

      … 「別にあなたの言い分を否定するつもりはありませんよ、レイチェル。私だって不安なところはありますからね。でもマシューがひどく乗り気なんですよ。それが見て取れたものだから、私が折れたんですよ。なにしろ兄さんが何かをしたいと決めることなんてそうありませんから。その時には、私が聞き入れないといけない気がしてね。それに、危険かどうかなんてことを言ったら、この世で人がすることなんてほとんど全部危険がつきものなんですからね。自分の子供を持つって言ったって、危険はあるでしょう。いざそう

      • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #7

        …  レイチェル夫人は、いつでも考えをきっぱりと話せる自分を誇りに思っていた。この驚くべき事件を飲み込むことができると、また自分の考えを喋り始めた。 「まあ、マリラ、率直に言わせてもらうがね、あんたとんでもないことをしちまってるよ。危険でもある…まったく。どんな子を引き取るのか分からないんだろう。あんたは今、見知らぬ子供を家の中に入れて、家族の一員にしようとしてるんだよ。その子供について分かっていることなんて一つもないんだろう。その子がどんな性分かも、どんな両親だったのか

        • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #6

          …  レイチェル夫人は深刻な精神的ショックを受けたような気がした。心の中でびっくりマークの連発だった。男の子を!よりによってカスバート家のマリラとマシューが男の子を引き取った!孤児院から!天と地がひっくり返ったのは間違いないみたいだね!これ以上驚くことはないね!なんにも! 「一体全体、どうしてそんな考えに至っちまったんだい?」  レイチェル夫人は、到底認められないというように問い詰めた。私に相談することもしないで、そんなことを決めちまうだなんて。したところで、大反対するに

        【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #9

        • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #8

        • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #7

        • 【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #6

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #5

          … 「うちは皆変わらずさ」  レイチェル夫人は言った。 「でもあなたのところはそうでもないんじゃないかって、心配なんだよ。今日マシューが出かけていったのを見かけたもんでね。お医者様のところにでも行っているのかい?」  マリラの唇は、思った通りだというようにピクッと動いた。マシューがどこかに出かけていくだなんていう奇妙な光景を見たら、このせんさく好きのご近所さんが黙っているはずがないと、マリラは見越していたのだ。 「あら、私も全く変わりなく元気よ。昨日はひどい頭痛だったが

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #5

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #4

          …  レイチェル夫人は、ドアを閉めるより先に、テーブルの上に置いてある全てのものを、心の中でメモを取った。皿が3枚置いてある。それはつまり、マシューと一緒に家に来て、夕食を食べる誰かを、マリラが待ち構えているということだ。しかし、テーブルの上の料理はどれも毎日だすような料理で、何も特別ではなかった。それに、野リンゴの砂糖漬けと、ケーキが一つあるだけだ。つまり、マリラが待っている客は、何も特別なお客様というわけではなさそうだった。しかしそれじゃあ、マシューの白えりと栗毛の馬は

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #4

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #3

          …  そうして、レイチェル夫人はティータイムを済ませると出発した。それほど遠い道のりではなかった。カスバート兄妹が住んでいる家は、だだっ広く、果樹園に囲まれていた。リンド家の窪地からは400メートルもない。まあでも、長い小道がずっと続いているので、もっと長く感じはする。  マシュー・カスバートの父親は、その息子と同じように、内気で無口な人だった。森の奥に引きこもったわけではないが、彼は自分の家を持つときに、できる限り近所から遠く離れた場所にした。そのため、グリーンゲイブルズ

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #3

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #2

          …  6月初め、とある午後。レイチェル夫人はいつものように窓辺に座っていた。ぽかぽかと光るお日様が窓に差しこんで、家の下の斜面にある果樹園では、まるで花嫁の頬の色付きのような薄桃色の花々がにおい、数え切れないほどのミツバチたちがブンブンと飛びまわっていた。  トーマス・リンドは小柄で大人しい人で、アヴォンリーの人々からは「レイチェル・リンドの旦那さん」と呼ばれていた。彼は納屋の向こうの丘の畑で、遅まきのカブの種を蒔いていた。  その向こう、「緑の切妻屋根の家」という名を持つ

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #2

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #1

          赤毛のアン第一章 レイチェル・リンド夫人のおどろき  レイチェル・リンド夫人は、アヴォンリー街道が小さな窪地に下っていくところに住んでいた。そのまわりには、ハンノキという木々や、ルビーの耳飾りのように下を向いた花をつけるフクシアが、縁取るように茂っていた。  またそこには、カスバート家の古い屋敷のある、ずっと向こうの森から流れ出す小川が横切っていた。その小川は、森の上流の方では、どこが深く、どこが流れが早いかがわからないほど、入り組んでいて険しい川として知られていた。しかし

          【翻訳】 ANNE OF GREEN GABLES 『赤毛のアン』 #1

          【翻訳】『赤毛のアン』の翻訳を始めます

          こんにちは。 今回から、また新しい作品の翻訳に手を出したいと思います。 世界的な名作として知られているモンゴメリの『赤毛のアン』の翻訳に挑戦します。 初回である今回は、 ①作品の紹介(自分が翻訳をするための資料にもなります) ②翻訳の方針 この2点について、主に書いていきます。 毎日投稿 ノロノロでも一歩ずつこれまでは、英語の歌や詩を単発で翻訳し、アンデルセンの『人魚姫』を少しずつ翻訳していましたが、これからは、引き続きアンデルセンの『人魚姫』を翻訳し、それに加えて、『

          【翻訳】『赤毛のアン』の翻訳を始めます

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは⑤

          『リトル・マーメイド』の原作となったアンデルセンの"Den lille havfrue"を翻訳しています。 イメージと違う、本当の『人魚姫』とは? こんにちは。 アンデルセンの『人魚姫』の翻訳5回目です。 今日こそ進みたい。 第1回目の翻訳に、作者であるアンデルセンの説明などを載せています。 興味があれば、ぜひ。 人魚姫の翻訳⑤Ingen var så længselsfuld, som den yngste, just hun, som havde længst ti

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは⑤

          エッセイ8:私は別に成功したくない

          私は、別に成功したくありません。 なんで成功しなくちゃいけないんでしょうか。 成功しなきゃ、ここにいちゃいけないんでしょうか。 私たちは、成功しなければならない社会に生きていると思います。 そんな社会の中で生きていく私に、言いたいことは3つ。 ①誰かが切り拓いた「成功」ルートをそのまま辿らないで ②社会の決める「成功」の基準に無理に当てはまらないで ③「成功」に目が眩んで、自分が持っているものを見失わないで こんにちは。 8回目のエッセイです。 昨日、途中で息絶えた投稿

          エッセイ8:私は別に成功したくない

          エッセイ7:私は別に成功したくない【序文…】

          私たちは、自分自身の人生において、「成功」しなければならないのでしょうか。 大学生の私は、「成功」するために勉強しているのでしょうか。 そんな違和感から思ったこと。 成功強制社会私たちがいつどこにいようが、情報を飲み込ませてくるこの情報社会。 情報にもいろいろあるけれど、特に大学生、進路に頭を抱える私たちの年代が目にする情報の多くは、「成功」するためのもの。 「絶対に就職成功できる面接術」 「就職活動、失敗しないための7つの方法」 「これをやる就活生は絶対に失敗します」

          エッセイ7:私は別に成功したくない【序文…】

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは④

          『リトル・マーメイド』の原作となったアンデルセンの"Den lille havfrue"を翻訳しています。 イメージと違う、本当の『人魚姫』とは? こんにちは。 アンデルセンの『人魚姫』の翻訳4回目です。 第1回目の翻訳に、作者であるアンデルセンの説明などを載せています。 興味があれば、ぜひ。 『人魚姫』の翻訳④Ingen glæde var hende større, end at høre om menneskeverdenen der ovenfor; den g

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは④

          【翻訳】孤独に光を当てる SOLITITUDE ー E. W. Wilcox

          「貴方が笑えば、世界は貴方とともに笑う。」 という一文を、ネットでちらっと見たときに、「どういうこと?」と思いました。 その原文を見つけることができたので、自分なりに翻訳してみようと思います。 こんにちは。 6回目の翻訳です。 デンマークの童話作家アンデルセンの『人魚姫』の翻訳をしていましたが、今日は気分を変えて、アメリカの詩人エラ・ウィーラー・ウィルコックスの代表作である "Solititude" を翻訳してみます。 難しそう。 アメリカの詩人 Ella Wheeler

          【翻訳】孤独に光を当てる SOLITITUDE ー E. W. Wilcox

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは③

          『リトル・マーメイド』の原作となったアンデルセンの"Den lille havfrue"を翻訳しています。 イメージと違う、本当の『人魚姫』とは? こんにちは。 アンデルセン『人魚姫』の翻訳、3回目です。 今回こそは、ガッツリ進みたい、が…。 第1回目の翻訳に、作者であるアンデルセンの説明などを載せています。 よければどうぞ。 『人魚姫』の翻訳③Uden for slottet var en stor have med ildrøde og mørkeblå træer

          【翻訳】アンデルセンの名作 本当の『人魚姫』とは③