14万円

みんな元気にしていますか？でたらめで楽しい夜を過ごしてるかな？

私ですか？私はそんなに元気じゃないです、なぜなら離婚したので。「離婚したくなかったのに離婚した人間はあまり元気がない」これだけは覚えておいてください。

「心療内科の並びにある調剤薬局がQRコード決済を導入したらしいのですが、しんどそうな顔した患者さんが多い中、PayPayの決済音が定期的に鳴り響いていて少しだけ景色がポップに見えました」

…というツイートをしようと思ってやめました。理由はそんなに面白くなかったからです。でもかなりシュールな光景で、様子を眺めながらマスクの中でにやにやしちゃった。お眠り薬やお気持ち元気薬をPayPayで購入して帰っていく人たちの背中を私は背後からずっと。

朝も昼も夜も、団地団地団地。

マクドナルドもセブンイレブンも日高屋も無い街で私はこれからも。

路上にT字剃刀が二個落ちている街で私はこれからも。

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』オフィシャルサイト｜絶賛公開中！

「８２年生まれ、キム・ジヨン」を観てきた。客は三人だった、全員女性。そのうちの一人はキャラメル風味のポップコーンを抱きしめて私のちょうど斜め前の席に座った。マスク越しにも伝わるキャラメルの美味しそうな香りがして空腹感が増した。

映画のキャッチコピーで「共感と絶望から希望が生まれた」と書いてあったが、私は希望は持てなかった。絶望と怒りと慈しみがブレンドされたような名前がない感情と、自分の姿を少し離れたところから見ている第三者的な、他人事のような感覚に「まいったな」と思ってしまった。

希望は持てなかったが、希望の種のようなものは手にできたような気もする。その「種のようなもの」をしっかりと握りしめていこうね。

半年、いやそれ以上、かなり久しぶりに会社の友人と飲みに行った。

私の勤める会社は雇用形態が様々だ。派遣社員・契約社員・正社員（転勤なし）・正社員（転勤あり）が居るんだけど、同じ役職で同じ仕事をしている中にもこの雇用形態が入り乱れており、このへんがかなり厄介です。

私は「正社員（転勤なし）」なのですが、通常この雇用形態の人間は「正社員（転勤あり）」への社内採用試験を受けるのが慣例となっています。ですが私は未だ一度も受けていません、理由は給料は大して上がらないし、地方転勤が嫌だからです。上野や北千住で週末に飲み歩きたいので、この生活を守るために今のままで良いんだ、でも仕事はちゃんとしますと上司に話したら（流石に飲み歩きたい〜とは言いません、大人なので…）「受けたくても受けられない人もいるのに…」みたいなことを言われたので、「は？」と思いました。

それぞれの人生があるだろうよ、放っておいてくれや。

コロナの影響で仕事が暇になり、残業を一切しなくなった私の収入は大きく減少し手取りは２０万円を切っています。

夏のボーナスも全額永久脱毛に使ってしまったし、私はお金との縁がありません。（これは自分が悪いだろ、貯金しなよ）

一緒に飲んだ友人は契約社員なのですが、同様に残業がなくなり収入が激減したと嘆いていました。

友人は、私と同様、実家で母親と二人で暮らしています。何度受けても正社員への試験が受からない、去年も一昨年も大して仕事の実績がない男性社員ばかり受かる、今年は何とか最終選考にまで残っているけど、今年ダメだったら来年頑張れる気がしない。彼女はそう言ってビールを飲んでいました。

ちょうど、キム・ジヨンを観た翌日だったこともあり、私は彼女の言葉を聞きながら、彼女の空っぽになったビールジョッキを見ながら今にも泣いてしまいそうだった。

ちなみに、彼女はとても優秀で人間性も申し分ない。人のために本気で怒り、一緒に考え、泣いて、喜んでくれる素晴らしい人物です。

「先月の手取り、残業ゼロで14万円だった」

私は言葉を失ってしまった。

雇用形態が様々なので給与についてはタブーなので（そうじゃなくてもタブーですよ、品がない）今までこういった話をしたことがなかったけれど、契約社員だと同じ仕事をしていても手取りが4万円ちかく違うらしい。そんなことがあっていいのか。おかしい。かなりショックだった。

「私が住んでいるのは田舎だから求人もないし今の仕事を続けるしかない、多分結婚もしないだろうし母親も高齢でいつ倒れるか分からない、実家が持ち家なのだけが救い、この先の人生に希望がない」

こんな良い子に、こんな事言わせないであげてよ。でたらめな社会だ、怒りと悔しさで黙ってしまった。

私たちはビールを何度もお代わりして、トマトハイに移行、最終的にお茶割り数杯でとどめを刺して、店の前で抱き合って解散した。

明日は彼女の最終面接の日だ。絶対に受かって欲しい。

どうか希望を。