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【異国の地でALONE】友達の条件に「ワクチン」が加わった時

フランスには、一部の人達を対象に、移民局が無料で様々な講習を提供してくれます。

フランス語の講座や、フランスで生活していく上で必要なことを教えてくれる講座があります。

私は、配偶者ビザでフランスに滞在しているので、この講習を受講する対象者になります。

この講座を受けに行った時、「隣、座ってもいい?」と聞いてくれた子がいました。

その子と話していると、彼女は英語と韓国語、そして母国語が喋れるトリリンガルだと分かりました。年齢も近く、話が弾みました。

「やっと友達ができそうで、嬉しい…!」

めんどくさいと思っていた講習でしたが、来た甲斐がありました。

話の脈絡は覚えていませんが、「衛生パス」の話になりました。

フランスでは、大勢が集まる場所に行く、あるいはイベントに参加するには、この「衛生パス」を表示する必要があります。

衛生パスとは、ワクチンの接種が完了している人に発行される、QRコードのことです。コードのほかに、名前や、ワクチンを接種した日が書いてあり、これをレストランや病院などのエントランスで提示します。

ワクチンを打っていない人が外食などに出かける際には、あらかじめ抗体検査を受けなければならず、陰性の証明書を以て、衛生パスの代わりとみなされます。

この衛生パスが、フランス全土で大きな波紋を呼んでいます。毎週末のように、抗議デモが催されています。

「なぜ政府に強制されて、異物を体の中に入れなければいけないんだ!」そんな風に考える人が多いようです。

日本でも、ワクチンが普及する前は、ワクチンを打つか、打たないか、は話題になっていました。私の周りでも、「ワクチンは打ちたくない」という声が多数ありました。

フランスでは、その声がもっと大きい気がします。

ワクチンについての考え方は、人それぞれ。いろんな意見があって、フランスらしいと思います。

私の隣に座ったトリリンガルちゃんは、「私、衛生パス持ってないの」と話していました。

持病があるとか、いろいろ個人的な理由があるかもしれないので、あまり深くは聞かないでおこうと思いました。なので、「まぁ、今のご時世、あんまり外食とかもしないもんね」とだけ伝えることに。

すると彼女は、「外食する時は、友達の衛生パス借りてるから、大丈夫」と言っていました。

私はそこで、猛烈にざわざわしました。

私:「え?そんなことできるの?」

トリリンガルちゃん:「うん、だってID確認しないもん。友達のを使ってもバレないよ。ワクチン打ってても、打ってなくても関係ないと思う。」

えっと…そういう問題?!

確かに、この仕組みに抜け穴があるのは、わかります。

QRコードに名前が書いてあるからって、それが本人の名前なのかどうかを確認しなければ、意味がないのです。でも、衛生パスに加え、本人確認までするのは、レストランなどの忙しい場所では、実用的ではないのかもしれません。

今日の時点で、フランス国民の86%が、ワクチンの接種を完了しているそうです(TousAntiCovidの情報)。今は無料のワクチンを、今後有料化する話も出ていて、政府は公約通りの、接種率90%に早く到達したいのだろうと思います。

みんなが「早くコロナ収束しろ!」と心から願い、様々な策が打たれる中、他人の衛生パスを使い、人を欺くのはいかがなものか。

ワクチンに反対するのとは、また違う気がします。

トリリンガルちゃんは、小さなお子様もいらっしゃるので、ご自身で感染対策をばっちりされていることを願うばかり。

衛生パスを通して、彼女との価値観の大きな違いを感じました。

友達作りにも、コロナが絡んでくるご時世…。

皆様、どうぞご自愛ください。





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