セフレの彼女に浮気をバラしに行った話(1)


「僕、彼女できました」

ずっとずっと大好きで片想いをし続けていたセフレに唐突に告げられた一言。

あー、ついに来たか。という気持ちだった。覚悟はしていた。だってずっと見てたもん、わかるよ。なんとなく。私としばらく会ってない間にきっとなにかあったんだろうなって予想はしてた。本当にただなんとなくだけどそんな気はしてた。してたよ。でも、ああーーーーーーーーー。嫌な予感が的中してた。そうか、そうなんだね。いつかはこうなるってわかってた、こうなる未来を選んだのも自分だし。でもいざその場面になると、そっか、こんな気分なんだ………………





彼は、バイト先の1つ年下の男の子。

当時は金髪マッシュで今どき流行りの韓国系大学生って感じ。私がバイト先に入った時に前から居た人で、第一印象は苦手なタイプだなと思った。

実際こちらから話しかけてみても反応が薄い。なんだこの人。バイト先のみんなで話してる時もほとんど喋らない。無口な人なんだなぁ。まぁ仲良くなることないだろうし必要最低限喋ることないでしょ。そんな感じで思ってた。

バイト先に入って数ヶ月、シフト被ることは何度かあってもほとんど喋ってないし、覚えてるのは髪が金髪から黒髪マッシュになってるのをいいじゃん!って言ったことくらいかなぁ。

バイトメンバーで話してる時に聞いた、彼女がいるということと、彼女が大好きで大事にしたいってみんなの前で笑顔で言ってたのはなんとなく、覚えてたけど。



バイト先のメンバーで飲み会があった。ほぼ全員が参加していて、もちろん彼も参加していた。私は本当は行くつもり無かったけどみんな行くなら行こうかな…という気持ちでなんとなく行った。

そこで彼と隣の席になり、初めてちゃんとまともに話した。何度かシフト被ることはあったので大体の人柄や雰囲気はわかってたけど、なんだろう、なんか、距離近めで話すと、やけに意識してしまう気がする。

普段無口で落ち着いている彼から積極的に話しかけてくれることが珍しく感じたからかもしれない。わからん。でもなんか、なんとなくもっと近づきたいなって思った。あー、お酒入ってるからか。

そんな感じでその日の飲み会は少し彼と話し、あとはほかの人と話したりで解散した。家に着くと彼からLINEの友達追加されていて、LINEが来ていた。

「もっと飲みたかったです」って。なんで?って思った。確かに私もなんかちょっといいなって思ってたけどお酒入ってたからだし別に彼に興味ないしなぁ、適当に返事しとくかぁって。

そしたら、今度飲みに行きましょってLINEきて。

え?なんで??謎すぎるんだけど、、、私全然興味ないしそもそもこの人ほとんど喋らないじゃん…今男に興味ないし全然行く気にならんな…どうしよう、やんわり断るかなぁ。って思ってたけど色々考えて今後シフト被ることもあるだろうし断るの可哀想だから1回くらいならいいか……と思って結局飲みに行くことに。

普段無口なのに2人だと意外としゃべる人じゃん。って思った。それになんか、落ち着くというか。あ、この声、好きだな。心地いいなぁ…なんかずっと聞いてたい。表情、笑顔かわいい。くしゃって笑うんだ。シワできるの可愛い。そんなことを考えながらお酒を飲んでいると、普段全然酔わないはずなのに珍しく酔ってしまっていた。

店を出た後並んで歩いてる時の距離感がやけに近い。腕が触れる。胸に腕が当たる。あ、なんか、まだ帰りたくないかも。そんなことを思いながら、

「これからどうしよっか、もう帰ろっか?」と聞いてみた。

「僕はまだ帰りたくないです。まだ一緒に居たいです。」

めちゃくちゃサラッと言うじゃん……あれ?というか彼女いるっていってなかったっけ?

「○○くん、そういえば彼女は?」

「もう別れましたよ。自然消滅的な感じで。」

ふーん、そっか。彼女いないのか。まぁ、じゃないと誘わないか。そっか。さっきの一言、なんか不覚にもキュンとしちゃったじゃん。

「じゃあどこ行こっか…ゆっくりできるとこがいいよね」

「○○さんの家、行きたいです。」

まぁやっぱ、そうなるよねぇ。うーーーん。どうしよう…まぁなんか酔ってて気分いいしなぁ…

「じゃあ絶対何もしないならいいよ!私の家で飲もう!」

結局そのままコンビニでお酒を買って家に連れ帰ってしまった…2人きりの空間。微妙な距離感。お酒だけどんどん進んでいく。やばい、酔った。フラフラする。

「眠いけど歩けない。ベッド連れてって。」

この後からはよく覚えてない。でも普段無口な彼が、可愛いって言ってくれたのと、好きだから付き合いたいみたいなことを言われたような気がするけどはっきり覚えてない。

久しぶりのセックスは結構痛かったのは覚えてる。


それ以降、何度か会うようになった。

外に飲みに行ったり、家で出前取ってテレビ見ながら飲んで泊まったり。

バイト先でもたまにシフト被るけど、もちろん周りには内緒。でも二人になった時、次はいつ会える、みたいな話をこっそりしたりしてね。なんかこういうの楽しいなぁ。あれ?この人こんなにかっこよかったっけ?とか思ったりしてね。

彼は会う度に好きですって言ってくる。でもそれはベッドの上でしか言ってくれない。から本気にしてなかった。ベッド上での好きなんて誰でも言うでしょ。それに私はこの人の事好きかどうかわからない。だって好きなとこ浮かばないしなぁ…ただなんとなく寂しさ埋めるために一緒にいるだけ。でも、もし本当に私のこと好きでちゃんと告白してくれたら付き合いたいかもなぁ…とか考えてた。

でも結局ちゃんと告白されることも無く、関係性は変わらず。

夏休みになった。彼は留学へ行き、その間会わない期間が1ヶ月続いた。連絡も一切なかった。まぁ私は自分から連絡とかしないし。でも何してるんだろう、楽しんでるかなぁ、会いたいなぁ。結局毎日そんなことばっかり考えてた。留学から帰ってきたらまた会えるのかなぁ、向こうから連絡くるかな。自分から誘わないから、このまま連絡来なかったら関係終わり?え、それなんか嫌だ…

1ヶ月間毎日彼のことばっかり考えていた。ずっとLINEこないかなぁって待ってた。

バイト先の女の子の後輩から、○○くん留学から帰ってきたみたいですよ、って聞いた。そっか、帰ってきたんだ。私には帰ってきた連絡してくれないんだぁ。

とか思っててスマホ見たら、彼からのLINE通知。あ、ずっと待ってた名前からの通知だ。好きな人の名前からのLINE通知ってさ、なんかめちゃくちゃ高鳴るよね。

帰ったよ、お土産渡しに家行きたいってLINE来てた。

あ、やばい、めちゃくちゃ嬉しい。もう連絡来ないと思ってた。良かった、また2人で会える…………嬉しい………

この辺りからもう完全に好きだったって気づいてた。でも、久しぶりに家で会った時、いつもみたいに好きって言ってくれなかった。

その日を最後に、彼とふたりで会うことはなくなった。彼から連絡がこない。でも、バイト先では何回も会ってる。その時ふたりで話したりもしたけど、一切これまでの事には触れず、なんでもない話をするだけ。

え、なんで?このままなかったことになるの?もう関係終わり?何にもはっきりさせないまま?私はやっと好きだって自覚したのに?次会うときは伝えれたらなぁとか思ってたのに?やだ。会いたい。また泊まりに来て欲しい。また抱いて欲しい。このまま終わりとかいやだよ。

ずっとそう思っていた。でも自分から誘えない性格の私はどうにかして勇気を出そうとしていた。

そんな時、バイト先で、彼と他の女の子が仲良くしてるとの話を耳にした。

あー、そうなんだ。ほかの女の子と仲良いんだ。そっかぁ。てことはもう私と付き合う気はないのかな。私はやっと好きって伝えようと思ってたのに……

バイトの子達で彼と仲良い女の子の話をしている。みんな楽しそ。私ももちろんその場にいるから、笑顔保たなきゃ。聞きたくもないけど気になってしまうし。この場から居なくなるのも不自然だし。はぁ、キッツイな……

その後もシフト被る度にみんなでその話してる、その度に私は必死に作り笑顔でその場を乗り切る。これいつまで続くん?キツいわ。むり。

やっぱ、ちゃんと自分の気持ち伝えよう。告白しよう。伝えれないまま終わらせたくないし。どっかにまたふたりで会えるかもって期待してるところもあるし。

と思って、「話したいことがあるから時間作って欲しい」とLINEした。

バイト終わったあとそのまま私の家に来てもらった。

「私達の関係性をハッキリさせたい。私は○○くんのことが好きだよ。もし同じ気持ちでいてくれるなら付き合って欲しいし、その気がないならこの曖昧な関係性ももう完全に終わらせて前みたいにバイト仲間に戻ろう。」

数分の沈黙の後の彼の答えは、

「前は本当に好きでしたよ。でもその気がなさそうだったので今はもう完全に諦めた後でした。なのでもう付き合う気はないです。」

って。

「でももう2人で会わなくなるのは嫌なので、付き合わないけどまた家には来たいです」


は?つまりそれって付き合う気はないけどセフレでいて欲しいってことだよな??なにそれ……私の気持ちを伝えたにも関わらずセフレならいいよってこと?酷すぎん??

って思うのが普通。いや、もちろん思ったよ。思ったけど。それよりも身体だけでも求められてまだ一緒に居れるんだ、って気持ちが勝ってしまった。本当に馬鹿だわ。自分から関係切りたいとか言っておいて、向こうから求められれば結局断れないんじゃん。意志弱すぎ自分。やだ。馬鹿。でもやっぱりまだ切りたくなくて、結局セフレ関係続行を承諾してしまった。

お互いに彼氏彼女ができるまではこのままでっていう約束で。私もどこかで関係続けてたら割り切れるかもって思ったりしてた。そんなわけなかったけどね。

その日、振られた直後なのに彼はそのまま私のことを抱いた。クソ野郎。結局目前の性欲でしか行動出来ねえのかよ。

その時私がやっと絞り出した言葉が、「前家に来た時キスマークつけたじゃん。あれ、めちゃくちゃ嬉しかったんだよね」なんでこのタイミングでそんなこと言うん私(笑)

「そんなこと言うとまた付けますよ」

こいつは振った直後にキスマークつける男か、なるほどね。クズキモ。

私がこの関係を許したことでどんどんクズに拍車が掛かって行った。私と関係持つ前は彼女を大事にする好青年だったのにね。まぁなんかもう、いいや…とりあえずまだふたりで会えるなら、もうしばらくこれでいいや。


こんな感じで、告白したにも関わらずズルズル関係は続けてしまい、セフレ沼というものにハマった。





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