vol.4 クリームスープとオプティミスト
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vol.4 クリームスープとオプティミスト
「ああ、寒くなってきたなぁ。けど、食欲ないんだよなぁ。」「なんで?」いきなり鳥が現れた。いや、ずっと前から居たけれど気付かなかっただけかもしれない。というか、鳥がいつから居たのかとか、どうでもいい。そう、どうでもいいんだ。何が原因か分からない。原因はあったはずなんだけど、もう忘れてしまって、どうでもいい気分だけが残っている。そんな感じ。
鳥は、そんな気分を知ってか、こんなことを言った。「さっき、寒いって言ったよね。じゃ、これ飲んで。クリームスープだよ。とっても温まるよ。」確か、鳥には母性があったんだったな。けど、断る。「悪いけど、食欲ないんだ。」
鳥の顔が真っ赤になった。眉間に少しシワが寄っているようにも見えた。「このスープをチャンスと思うか、無意味なお節介と思うか、それは君が決めることだから、無理強いはしない。でも、こんな実験結果があるの知ってる?」
ポジティブ感情は、ネガティブ感情による生理的影響を解消する(バーバラ・フレドリクソンらの研究より)
「まぁ、いいや。一緒に遊ぼう。いいことを思いついたんだ。」そう言って鳥は食材を用意した。
「さぁ、この中で一番食べたい食べ物はどれだ!君が選んだものから、君の状態を当ててあげるよ。」ちょっと得意げに鳥は言った。
「食欲ないって言ってるじゃん。うーん、けど、まぁトマトかな。」
鳥はメガネをかけた。「はい、そうきましたか。トマトね。あなたは、ストレスや精神的な緊張がありますね。そして、体が疲れていますね。トマトは、ストレスなどで荒れがちな胃の粘膜を保護してくれるんですよ。そして、体の老化を救う役割があるんですよ。隠れ不調をあなたの身体は治したがっているんですよ。あなたの身体はトマトを求めている。良かったですね。何も考えずに、トマトを食べたら何とかなりますよ。」
極論過ぎやしないかと思ったけど、トマトを食べた。そうだ、確かに今日は疲れ過ぎていた。トマトを食べたら何とかなるかどうかは別として、ちょっとは頑張った自分を褒めてあげよう。
鳥はメガネをはずした。「どうだった?面白かった?前向きになれた?」
「なれた、、のか??」
鳥は、クリームスープに、トマトを入れて煮込んでくれた。トマトクリームスープになった。
「このクリームスープも飲んだら?」
「そうだね、なんだかお腹がすいてきたよ。せっかくなので、いただくよ。ありがとう。」
なぜか分からないけど、今日は鳥に素直になれた。
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