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グエムル


監督ポンジュノ
主演ソンガンホ、ペドゥナ、パクヘイル

『パラサイト』『殺人の追憶』のポンジュノが、2006年に世に問うた怪獣映画。
涙と笑いのコメディホラーだけど、映画の底には米軍の支配やそれに屈している軍官警の問題、そして漢江沿いに暮らしている貧しい人たちの暮らしが横たわっている。

怪物は米軍の環境破壊によって生み出され、退治するために用意された薬の名はなんと「エージェントイエロー」。ベトナム戦争の枯葉剤「エージェントオレンジ」を明示。それをソウルのど真ん中で使おうとする米軍に学生たちが抗議集会を開いている。
漢江といえば朝鮮戦争勃発当時、ソウル撤退の韓国軍は漢江にかかる橋を爆破して民衆を置き去りにした。
河原売店の家族は目上の者にはペコペコする家族主義者の父親と、頭の弱い頼りない長男と大学で韓国の民主化のため学生運動に没頭して民主化に貢献したものの就職できず派遣仕事をしている次男と、トップ級のアーチェリーのアスリートながら優柔不断で大事な時に矢を放てずにいる長女。
その家族に愛されている長男の娘ヒョンソが、突然川から上陸してきたグエムル(怪物)に攫われてしまう。

これは戦争や貧困など、さまざまな社会問題を包含した優れたエンターテイメント。
「助けを呼んでくる。お医者や救急車や警察や軍隊。」とヒョンソが言う組織はそれまでの描写でとんでもない醜態を晒し続けている。
それを知らぬヒョンソは助けを求めるために行動を起こすのだが。

#いながキネマ

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