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『金子文子と朴烈』

『金子文子と朴烈』

1923年9月1日。
100年前の今日。
関東大震災が起こり10万人を超える被害者、まさに大震災。首都圏が壊滅しました。
被災者、亡くなられた方には本当に突然の悲劇でした。思いを寄せます。

この映画は、その時に起こった事件にまつわることが描かれています。
東京で暮らしていたアナーキストの朝鮮の若者たちが一斉検挙され、震災に乗じて暴動を起こそうとしていた嫌疑をかけられた。
映画ではその検挙の裏事情として、自警団などによる朝鮮人虐殺の正当化があったとしています。
さらにその背景として震災の4年前、朝鮮で起こった三一独立運動。その鎮圧に手を焼いたこと、その運動の再燃を懸念したことも描かれています。

その若者アナーキスト集団の首魁の朴烈と恋人の金子文子は皇太子暗殺を企てたとされるのですが、彼らは思ってはいたもののそこまでの事実がなかったのにも関わらず「それをすべて肯定」する。

なぜ彼は「肯定」したのか?
それは植民地とされた朝鮮の誇りと抵抗の狼煙を上げるため、あえて「そのつもりだった」と吠え、死を覚悟の上朝鮮の英雄になってゆく道を選びます。

恋人の金子文子は日本人。そうでありながら朝鮮に住む祖母の家で子どもの頃女中として働かされていた女。親に捨てられた子ども。朴烈と運命をともにする決意をした女でした。

朝鮮と日本の二人の若いアナーキストは日本の政治に利用され、英雄に祭り上げられながら、裁判を戦うことになってゆきます。

こう書くとすごく政治的な映画と思えますよね。でも、観てくださるとわかるのですが、ほぼ、金子文子の愛の物語です。

あらすじのような政治的な歴史劇とは裏腹に、日本公開の時には若い女性が劇場に詰めかけました。金子文子の激愛に惹かれた人たちが大勢。(もちろん主演イジェフン人気もあります)
私も公開後の、「好評に付き再演」の週に名古屋で観たのですが、満席でした。

私は映画はラブロマンス派なので、その面からこの映画が大好きです。

Amazon primeで現在配信中なので、関東大震災100年の今日ぜひご覧くださいませ。

#いながキネマ

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