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『らん乱ラン♬八重山大騒動』

  登場人物
    ノノコ (奥殿小学校児童)
    マコ (大浜小学校児童)
    コイッパ
    オヤケアカハチ
    オニトラ
    キミハユ
    ナカソネトユミヤ
    ナータウーシ
    老姥
    兵士①➁


シーン①ノノコの部屋

●奥殿小のホスト家庭のノノコの家にやってきた大浜小のマコ。お菓子とジュースで話がはずんでいる。声が聞こえだす。

ノノコ 「で、マコの好きな人って誰?」

●ノノコとマコのおしゃべりは止まらない。マコが推しメンの話を始める。

マコ  「へへへ、クラスの子じゃないのはノノコと一緒。昔の人っていうのもノノコと同じ。」
ノノコ 「誰?あ!琉球三山統一の英雄・尚巴志!」
マコ  「よく知っているね。」
ノノコ 「授業で学習したもの(胸を張る。)」
マコ  「今から五百年前にオヤケ・アカハチの乱というのが石垣島の大浜であっったの。」
ノノコ 「(顔を曇らせる)乱って、反乱のこと?怖い!」
マコ  「怖い、かあ。でもこんなことだったら怖くないかもよ。」

●舞台暗転。

シーン➁西表島の屋良部の洞窟

●オヤケ・赤蜂(アカハチ)によって石垣島を追われた長田大主(ナータウーシ)が海を眺めている。そこに飯椀を持った老姥が登場。

老姥  「ナータウーシよ、身体はどうかなあ。ま、これで温まるがいいさあ。」
ナータ 「(一口飲む)おばあよ、わしはおばあのように敬われ、尊敬されるお年寄りになりたかったが、いつの間にかウザがられ、敬遠される老害になってしまったさあ。」
老姥  「石垣で何があったか?」
ナータ 「アカハチは大した奴だ。」
老姥  「波照間から来た赤い髪の大男だな。もとは海から流れ着いた子どもだと聞いたが。」
ナータ 「(うなづく)見所のあるやつだと思って妹のコイッパを嫁に勧めた。しかし二人に、いつの間にか島を奪われてしまったよ。飼い犬に手をかまれるとはこのことだ。」
老姥  「アカハチは飼い犬ではないぞ。赤い髪と赤い肌とどこまでも大きくなってゆく体。それは炎。火そのもの。」 
ナータ 「火?」
老姥  「化身だ。」
ナータ 「(あっと驚愕)イリキヤアマリ。」
老姥  「(深く何度もうなずく)」
ナータ 「火の神、この八重山や人々を作った神様・イリキヤアマリの化身なら、わしがとてもかなう相手ではなかった。」
老姥  「しかも、ナータウーシよ、お主の妹コイッパは於茂登岳の神を宿して居る。」
ナータ 「そうだ、その二人。わしなどがとてもとてもかなう相手ではなかった。」

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