『信用de金庫』
あらすじ
1973(昭和43)年12月。
愛知県豊川市の信用金庫の小坂井支店で起こった取り付け騒ぎ事件。
その出来事を題材に信用とはなんだろうという視点からお子さんでもわかるように作劇しました。
少し難しい話ですが、わかりやすく楽しく書いてみたので読んでください。
これで創作劇シリーズは9作目となります。❤️✌️
登場人登物
高校生三人組
飯田ギンコ
桐杉トヨアキ
矢作ナルミ
古渡支店
牛田支店長
伊奈窓口係
古渡商店街
能見酒屋
桐杉理髪店(トヨアキ母)
飯田キンコ(ギンコ母)
福々服屋
桂林自転車店
インテリ・インテリア
日銀マン
日銀警備員(ふたり)
◉シーン1飯田線電車内(まん幕前)飯田線列車内
⚫︎列車座席に一列に座っている。
真ん中にギンコ、トヨアキ、ナルミの高校生仲良し3人組が座っている。
右隣に能美酒店のご主人居眠り、左隣に眼鏡をかけたインテリのインテリア屋の店主は難しそうな分厚い本を読んでいる。
⚫︎ガタンゴトンと動き出す。吊り革がゆれる。豊橋を発車のアナウンス。
アナウンス「発車いたしま〜す。」
トヨアキ「そっか、ナルミは名古屋まで通うのか、いいなぁ。メルサや松坂屋で遊べるじゃん。」
ナルミ「通勤片道1時間半だに。工場で9時間油まみれの労働者。帰りも1時間半。行き帰り満員電車でぎゅうぎゅう。」
ギンコ「で、トヨアキは就職先決まったの?」
トヨアキ「まだ。お袋が先生にせっついて豊橋のホテルを紹介してもらって面接したけど。合格待ちっていうか、不合格待ちっていうか、さ。」
ナルミ「(ぷっと吹き出して)トヨアキがホテルマン?」
ギンコ「(手を振りながら)向いて、ないない。」
トヨアキ「(むっとしながら)ギンコは決まったのかよ。」
ギンコ「(元気よく)うん、決まったよ。」
トヨアキ「お、やったじゃん。何屋さん?」
ギンコ「(少し考えて)何屋さんだろ?おかね屋さんかな?」
トヨアキ「おかねやさんって?お金を売るの?」
ナルミ「お金を売るって、十円は十円。千円は千円でしか売れないじゃん。儲けが出ないよ。」
トヨアキ「あ、金物やさんか?」
ギンコ「ううん、信用屋さんかな?あ、金庫屋さんかな?・・信用金庫。」
ナルミ「信用金庫、って、三河信用金庫?」
ギンコ「うん。」
トヨアキ「三河信金って、あちこちに支店あるよね。古渡商店街にも。」
ナルミ「すごいじゃん!金融機関じゃん。オフィスレディーじゃん。いいなあ~。」
ギンコ「信金て銀行なの?信用金庫なんだけど。違いがよくわかんない。」
ナルミ「信金は銀行と同じ貸し付けと預金をやってるけど、銀行は株式だから株主と社会の繁栄のための営利団体で、信金は会員と地域の繫栄のための非営利団体だよ。」
ギンコ「すごいナルミ。」
トヨアキ「うん、賢い。」
ナルミ「銀行法の授業でやったじゃん。」
トヨアキ「しらん。居眠りしてたわ。」
ギンコ「そんなの、やったっけ?」
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