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「藤本さん、どうしてマジェルカをはじめたの?」~マジェルカカフェで代表藤本が語った、マジェルカ設立までのストーリー 《その①》

スタッフI:「そもそも、どうしてマジェルカをはじめたんですか?」

藤本:まず直接的なきっかけは、ある福祉施設で作った木工のおもちゃを見つけたことですね。そもそもなんで見つけたかというと、ある知り合いの会社さんから頼まれて、当時ロハスとか環境とかが世の中で流行っていた時期で「環境や人に優しい、国産の木のおもちゃ」という企画があり、その商品集めを手伝ったんです。

色々探している中で見つけたのがその作業所にある木のおもちゃだったんです。奥多摩の山で処分される間伐材を利用してる。で、地元の奥多摩で作っているというところも面白いなと。

それでちょっと興味を持ってアプローチをしたら、それが○○作業所という福祉施設だということを知りました。それまでの感覚として、福祉施設で商品価値のあるものを作っているとは思ってなかったんですよ。福祉施設で商品作りをしてるっていうのは、市役所に住民票取りに行った時に売店の片隅で見かける水に浮くキャンドルとか、押し花のしおりとか、ロビーで売ってるパンとかは見たことがあって、知ってはいたんですけれど。いわゆるその、「素敵だから欲しい」なみたいな、ちゃんと商品価値として対価を支払うものではないと思っていたんですよ。「かわいそうだから買ってもいいかな」とか「お釣り余ったから寄付する」…まあ言ってみると、赤い羽根募金の赤い羽根みたいな感覚。欲しいから買うというよりは、寄付するからその代わりに羽根もらうみたいな。

そういう感覚でいた自分が、「きちんとした商品を販売しよう、そのためのものを集めよう」っていう中で見つけたのが福祉施設の商品だったので、ちょっと意外でした。

それで興味を持ってあれこれと調べたら、今マジェルカにあるものとか、面白いものがいっぱい出てきたんです。とはいっても、当時はこうした情報を簡単に調べられるような時代じゃなかった。作業所さんも自分たちの活動をPRする時代じゃなかったから、結構いろいろと調べましたね。ホームページの片隅に写っている写真を見つけてコンタクトしてみたり、福祉イベントに行ってみたり。福祉イベントでも「障害者のために買ってあげよう」みたいな人たちの中で、買い付け的な、バイヤー的な目線で探しました。そうすると色々集まってきたんです。

「障害者ってちゃんとしたものを作ってない」って世の中で思われてるのに全然違うじゃんって。ほんとはこんなに素敵なものいっぱい作ってるのに。自分自身知らなかった。障害者はちゃんとしたもの作ってないって勝手に思ってたし、「作ってない=作れない」って思ってた。でもそれって全然間違ってたことだったんだなっていうところが、すごく自分の中でもカルチャーショックでした。

でも一方で、「まだ誰も見つけていないジャンルのものを見つけてしまった」という、宝物を掘り当てたみたいな感覚があって。「今自分がやらないと誰かが手を付けちゃう」っていう感覚でけっこう急いで、一年くらいの準備であちこち駆け回って始めました。

ただこの辺って今までもいろんなところで書いたり話したりしていて、まあ知ってるよねっていう話なんです。

ボランティアSさん:「宝物を見つけた」って話をブログの中で書いてて、へーって思ってたんですが、「確かに」と私も思います。マジェルカさん地下になった時に初めてボランティアとして働くことになったんですけれども、私も障害者の方々が作っているもののイメージが、それこそしおりやコースターとか、その、欲しいか欲しくないかと言われるとちょっと悩ましいな・・・っていう感じもあったんです。でも地下の店舗に入った時、色鮮やかでなんて素敵なところだろうって思いながら、「こんな素敵な物を作れるんだ」「すごい!」と思って、ますますお店自体好きになりました。

藤本:そうですよね。ただ正直な話を言うと、これは悪いこととは思ってないんですけれど、「商売のネタとしても有望なジャンルなんじゃないか」と思ってました。
また違う言い方をすると、「障害者のためにやってあげたい」というのは微塵もなかったかな。そもそものスタートが「障害者のために何か力になれればいいな、何かないかな」って探してたどり着いたのとは一切違う。世の中でまだ現れていない、たくさんの人の目についてない価値を発見したっていうところは間違いないですけど、障害者のために何かしてあげたいのではなかった。まあ今一般社団法人も立ちあげましたが、はなからNPOにするとか、そういうソーシャルな活動というよりは、ビジネスとして何か出せないかなという思いがあった。単にエモーショナルに「カワイイ!素敵なお店出したい!」というのとはちょっと違う部分もあったつもりです。

当時は2011年で東日本大震災がありました。あの頃からソーシャルな活動に対する人々の意識も変わってきていて、マーケティングでもソーシャルなことをマーケティングと結び付けるっていうのが主流になってきていました。それ以前から、前職を通じて、ロハスとかエコというものにお金を出す価値を感じる人がいるっていうのは実感としてもっていた。そして、それが商売になり得るかというのを考えるにあたり、作業所の成り立ちとか、色んなことを調べました。その時、生活白書のなかで「障害がある人と関わったことがありますか」という質問に対して「イエス」と答えたのが国民の二割くらい。で、残りの「ノー」っていう人たちに「障害を持つ人と関りを持ちたくないんですか」と聞くと、そうではなくて「機会がないだけ」だと。「機会があれば持ちたいんです」っていう人がたくさんいました。じゃあこういうことって商売になるかなって。
 
 
今日は、オフィシャルに話している以上に突っ込んだ、そもそものルーツ的な話をさせてもらおうと考えていたんです ・・・・(つづく)


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