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十七歳の地図/尾崎豊(1983)(2021/2/7)


【レビュー】

CMで、杏が、「僕が僕であるために」を歌っておりまして。 最初に聴いたときは、久々のメロディーにビクッときてしまいました。

*YouTube削除済み。

その原曲が10で含まれているのが本作。
尾崎豊デビュー作、当時18歳。私は12歳。

よく、下の世代から、尾崎豊はめんどくさかったり暑苦しかったりしなかったのか、的な話を聞くことがあります。
10なんかも、改めて歌詞を読み返すと、うわっ、という感じがしなくもありません。

思い返すに、確かに暑苦しい面はあったのだけど、曲本体の出来が素晴らしかったので、そこまでイヤな感じはしなかったというのが一つ。
もう一つ、暑苦しかったのは尾崎豊本人というよりは、その後人気が爆発するにつれて増えていった信者たちの振る舞いであり、それを全部本人に帰責するのはちとかわいそうかな、と思うのです。

インターネットのなかった当時は、あるアーチストや作品に対して、反対の意見に触れたり、ツッコミの視点に触れる機会が非常に少なかった。
なので、尾崎に対しても、「やり過ぎ」「バイク盗むな」みたいな、軽い批判の言説にはなかなか出会えず、肯定的な意見が暴走していった行く末が「尾崎はめんどくさい」だったのではないかな、と思うのです。
要は、ガス抜きがなくて、神話だけが成立していっちゃった、ということかと。

そんなわけで、本作、素晴らしいです。 先入観抜きで、一度、通しで聴いていただきたいと思います。


【結論】

★4.5。
あと一つ、当時は、今からは考えられないくらい子ども・学生の地位が低くて、本当に学校には押さえつけられていて。
そういうフラストレーションの中で生まれたのが本作なのですが、体感として、背景事情が分からん、というのもあるかもしれませんね。
あと、杏のヴァージョンもいい感じで力が抜けてて、曲の良さが前面に出ていていいな、と思います。

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