【禍話リライト番外編】正しい人が報われた話
※怖い話ではありません
禍話のメインパーソナリティ・Fear飯の相槌担当加藤よしきさんの、Yeah!と叫びたくなる話。
世の中まだまだ捨てたもんじゃないな、そんな気持ちになる不思議な(?)体験談である。
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加藤さんがその日の仕事を終え家路を急いでいると、街中で必死に何かを探している集団に出くわした。
一人は厳つい見た目の、ピアスを付けて日焼けしたガタイの良い男性。
一人は大学入学したばかりの年齢に見える、大人しそうな見た目の男性。
残る二人はバックパッカー風の外国人女性。
そんな一見バラバラな四人が地面に這いつくばらんかの勢いで何かを探している。
いくら加藤さんでも、これが仮に統一感のある集団だったら、特に気にもせずに通り過ぎるのだが。
あまりにも彼らが不思議な取り合わせ過ぎて、加藤さんは思わず話しかけたそうだ。
「どうしました?何か探し物ですか?」
四人のうち、厳つい見た目の男性が答えた。
「さっき、この辺りで酔っ払いのナンパ集団に絡まれた女性を見かけたんスけど、
それがあまりにも酷い絡み方してたんで、見るに見かねて止めに入ったんスよ。
そしたらその酔っ払いが持ってた酒瓶で頭殴られちゃって…」
「頭大丈夫ですか!?」
加藤さんは純粋に心配して思わずそう聞いた。
口に出した瞬間に表現のまずさに気が付いて「そういう意味では…」と言い添えようとしたが、彼はそれがなくともちゃんと正しく意味をくみ取ってくれたらしい。
「頭は丈夫なほうなんで。ああちゃんと後で念のため病院にも行くつもりス。
ただ、殴られた拍子にピアスが一つポーンとどっかに行っちゃったんスよ。
バイトで金貯めて買った思い出のピアスなんで、困ったなーって探してたら…」
『あなたはとても勇敢な人だ、私たちにも探すのを手伝わせて欲しい』
一部始終を見ていたのだろう外国人バックパッカー二人組に(恐らく英語で)そのような意味の事を話しかけられて、皆でピアスを探しているのだという。
こんな話を聞かされて、「はいそうですか」と立ち去れるほど加藤さんは薄情な人ではない。一緒にピアスを探し始めた。
しばらく全員で探していると、厳つい男性も段々と心苦しくなってきたのだろう。
「やっぱ悪いっス。ピアスは運が悪かったって諦めるんで、皆さんどうもありがとうございました」
そんな事を言われたら却って帰りづらくなる。
探している間に変なテンションになっていた加藤さんは思わず反論した。
「違うんだよお兄さん、あなたは正しい行いをしたのに、その結果が殴られて終わりじゃあんまりじゃないか。正しい人が運も悪かったってなるのは許せないんだ」
それまで若干ふらつきながら黙々と探していた大学生も立ち上がって叫んだ。
「今お兄さん間違いねえよ!!」
外国人バックパッカー二人も、そうだそうだという表情をしている。
変なテンションになっていた四人は更に気合を入れた。
「探すぞ!絶対に見つけるぞ!」
「これはもうピアスが見つかる見つからないの話じゃねえんだ!!」
「「Yeah!!!!」」
そんな四人の勢いに流されて厳つい男性もまた探し始めたものの、やはりどんどん気まずそうな顔をしている。
「やっぱり皆さんもういいすよ…」
彼がそう言いかけた所で、バックパッカーの一人がピアスを片手に立ち上がり、腹の底から叫んだ。
「アイガッチャ!!!!」
それを聞いた瞬間残りの四人も一斉に叫んだ。
「「「「Yeeeaaah!!!!!!!!」」」」
出典
元祖!禍話 第二十二夜 43:27~
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