不治 著:張 文經
死にたくなかったのだろう
水のようなひざしの、いちにち
わたし、は運動をやめた
十五、で
かんぜんに癒える、ことができたから
わたしの口はまだ
顔の中央に刻まれた切り傷ではなかった
くうきがいききして
風になでられる草花ににて音が声、
やがて言葉
に なっていた、から
わたしのうちに流れる血の河
忘れようとしてよかった
不死は図書室の本と本のあいだから
くろい風としてよかんされ
運動をやめさえすれば
海としてそれに
溺れられると思っていた
それから永く
けれど剥がれつづける年の環のなか
ふしは
こっぷの一杯にもみたず
呑むこと
むしろ淡い破滅、健康、だった
じてんしゃでころび
ひふえんをあっかさせ
ゆびをおり
呪う
たび、口は傷になった
し
はしんたいに少しずつ刻まれていった
水のようなひざしのいちにち
に、似た日に
わたしは運動をゆるした
走りボールを蹴りやがて突き指をし
あしくびを捻った
伸びてしまった靭帯は
もう戻らないと
かぎりなくやわらかく、
しる、夜
ときに不死のような
雨のような、降りそそいで
街の灯、せいかつ、の、光、
虹として散った
別れのような水びたし
で
古くなりはじめた傷に黒々としみた
まだ眠ってはいなかった
思い出す
図書室には本棚があり、本棚には木目があり
木目は傷で、もう森のようであり、触れるとほとんど
せかい にも、似ていたことを
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