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"Hold on Just a Little While Longer"

2020年。去年までと同じように、新しい出会いがあったり、飛び跳ねるくらい嬉しいことがあったり、ひたすらに楽器を弾き続ける日があったり。でも今年だけ大きく違うのは、コロナという高い塀の中で日常生活を送らなくちゃいけないことです。
今までと同じように家にこもって練習するにしても、「家を出ない」のと「家を出ちゃいけない」のとではこんなにも気持ちが違うんだと知りました。
「不要不急」のことがタブーになった時は、自分達にとっての大事なライブや別々に暮らす家族の誕生日会も今の世の中では「不要不急」に入ってしまうことがとても残念でした。
仕方ないという言葉で済ますのもなんかなぁと思いつつ、それ以外の言葉が見つかりません。全員が同じ状況なんだ、きっともうちょっとで終わるから、みんなで辛抱しよう。そう自分に言い聞かせ続けて何ヶ月も経ちました。

控えたり耐えたりするばかりの毎日にいよいよ我慢できなくなってきた、そんな時に出会った歌があります。それが先日我sでの演奏動画を投稿した"Hold on Just a Little While Longer"です。

この歌を初めて知ったのは今年の6月。
普段からプロゲーマーのゲーム配信を見るのが日課だった私はある日「DETROIT BECOME HUMAN」というアドベンチャーゲームをプレイしている人の配信を眺めていました。(ここから少しゲームのネタバレを含みます⚠️)
それは科学技術の発展により開発された人間そっくりのアンドロイド達が主人公のゲームで、キャラクターのセリフや行動をプレイヤーが選択して物語を進行していくオープンシナリオ(プレイヤーの選択次第で展開やエンディングが変わる)タイプのものでした。
人間が過酷な労働を代わりに担わせるためにハイスペックなアンドロイドを大量に開発したものの、次第に原因不明の意思や感情を持つ個体が現れはじめ、自分達をただの道具として扱う人類に耐えきれなくなったアンドロイドが増えていきます。しまいにはアンドロイド達が自由や人権を求めるデモを起こして人間と対立。
アンドロイドのデモ隊が銃を構える人間の警察に囲まれるシーンでプレイヤーが「歌う」という選択肢を選ぶと、アンドロイド達は警察の目の前で静かに歌い始めます。その時歌われるのが"Hold on Just a Little While Longer"です。1人のアンドロイドが歌い始め、それに次々とアンドロイド達が加わっていって最後には彼らの祈りが込もった大合唱になります。
歌詞は以下の通りです。

Hold on just a little while longer
(もう少しだけ辛抱しよう)
Hold on just a little while longer
Hold on just a little while longer
Everything will be alright
(すべてうまくいくよ)
Everything will be alright

Fight on just a little while longer
(もう少しだけ闘おう)
Fight on just a little while longer
Pray on just a little while longer
(もう少しだけ祈っていよう)
Everything will be alright
(大丈夫、きっと全てうまくいくよ)
Everything will be alright

Sing on just a little while longer
(もう少しだけ歌ってみよう)
Sing on just a little while longer
Sing on just a little while longer
Everything will be alright
(全てはちゃんとうまくいくから)
Everything will be alright

このシーンを初めて見た時、この歌がとても気になってその場でネットで調べました。作者不詳の霊歌だということが分かり、短い歌詞に込められた先人達の思いを知りました。その日からこの歌のシンプルながらも美しいメロディをよく口ずさむようになりました。

自粛期間を無事に生き延びていまは少しずつ学校や演奏活動が復活しています。しかし自分やまわりの誰かが感染しているかもしれないという緊張感の中、この数ヶ月で出来上がったたくさんの「NG」を避けて生活するのは正直辛いものです。我慢と不安が積み重なって「しんどすぎる!もうやってられん!」ってなった時、私は必ずこの歌を歌います。歌えば歌うほど心に響いてきて、一度だけ歌いながら泣いてしまったこともありました。
気づけば私は、この歌を歌うばかりでは済まなくなってきてバイオリンの練習の合間に弾くようになりました。何度も弾いては歌って、いろんな気持ちをこの歌に流し込みました。そのうちに自分を支えてくれたこの歌をきちんとバイオリンで演奏して記録に残しておきたいと思うようになり、自粛期間中に習得した多重録音を使ってこの歌を独りで合唱しました。

有名な楽しい曲ばかりを演奏していた我sですが、今回はこのような個人的な思いで自分のタイムラインに残しておきたかった作品を演奏させていただきました。
しんどい時期はまだそう簡単には終わらないかもしれませんが、この歌や周りの人たちの支えのおかげでもう少し辛抱できそうです。そして、自分に世界を救えるような偉大な力はないけど、せめて自身や周りの誰かの支えに少しでもなれたらと願っています。

今までサポートしてくださった方、そして毎記事にしてくださってる方も…!本当にありがとうございます🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️ 演奏や作品でお返しできるように、もっともっと成長したいと思います。