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本当にあった怖い話します…

今から9年前、私が中学2年生の時のある日のこと。徒歩や母親の車での移動が主でまだあまり電車というものに慣れていなかった頃の話です。もう中学生だというのに電車に乗る時はいつも緊張しいになっていて、ずっとドア際に立ったまま降りる駅を間違えないようにと終始外の景色を確認し続けていました。

とある奇妙なことが起こったその日も、私は窓の外に意識を集中させたまま電車に揺られていました。さほど遠いところでもなく、通っている線も一つだけなので乗り間違えをすることはまずありません。目的地である自宅の最寄駅は乗り換えの必要もない所だったのである程度の安心感がありました。

あとは到着を待つのみとボーッとしていると、不意に電車が速度を落として駅に停車します。あれ…?こんな駅見たことあったっけ…?ソワソワしている間にドアが開きました。小さくて特に何の特徴もない、見たことのあるようなないような駅という感じ。同じ車両には誰もいなかったのでここがどこかを聞ける人もいません。自分の目的の駅でないことは明らかで、焦った私は駅名を確認しようと電車に乗ったまま辺りを見渡しました。見つけた看板にはどれも「はいじま」とだけ書いてあります。前後の駅名も漢字表記も無く、知らないうちに知らないところに来てしまったという不安がじわじわ押し寄せてきました。どうしようと思いつつも電車の中に一人佇んでいると、アナウンスが数分後に折り返し運転すると言うのでそのまま電車を降りずに待つことに。あたりは暗くなってきているものの真っ暗というほどではありません。風音ひとつしないシーンとした時間が続きます。

とりあえず座席に腰掛けて発車を待っていると、しばらくしてドアが閉まり電車は先程までの進行方向と同じ方へゆっくり走り出しました。そこから私はあまり外を見ませんでした。きっと私は自宅の最寄りに着いたことに気づかず乗り過ごしたんだ、だからこの電車で待ってれば必ずそこを通るし、万が一違っても最初に乗った駅には着くはず…そう信じるほかなかったからです。

しばらくすると聞き慣れた駅名のアナウンスが聞こえました。やっと帰れる…半ば駆け足で電車を降り、無事に帰宅することができました。腑に落ちないことは起こったものの、結果的に家に帰ることができたので寝ぼけていたんだろうくらいの気持ちであまり気にせず過ごしてきました。


しかしつい昨日、9年前のこの出来事を思い出さずにはいられない奇妙な情報を目にしてしまったのです……

昨日の正午頃、私は久々に気持ちをリフレッシュしようと大自然溢れる奥多摩に向かっていました。何駅も何駅も通り過ぎていく間、もう電車に慣れている今の私は外を気にすることもなく、車内の広告を眺めたりしながらのんびり過ごしていました。駅のアナウンスもずっと聞き流していたけれど、途中ふと聞こえてきた駅名に反射的に顔を上げてしまいます。電光掲示板には「拝島」の文字が。「(あれ?拝島ってここなんだ、というか漢字あるんだ…)」しかし、そこで一つ大きな疑問が浮かびました。

今停車している拝島駅は、数年前まで住んでいた自宅の最寄り駅から10分ちょっとで着くような距離ではない上、直通は一つも通っていないはずの路線です。9年前に何故かたどり着いたあの駅とは見た目も全く違うし、看板に書かれた駅名は平仮名ではないし…。しかし、おそらくこれは東京にはいじま駅と拝島駅の両方が存在するというだけの話だろうと思い、乗り換えの駅もまだ先なので私は暇つぶしも兼ねてはいじま駅についてググり始めました。

まず平仮名の方から調べて……ん?
なんと、検索ワードを途中まで入れたところで検索候補の中に「はいじま駅 異界」というものを見つけたのです。少しドキドキしつつもその文字をタップしてみると、いくつかの記事が出てきました。「本当にあった2chの怖い話」「怪奇駅一覧」…なんとも不吉なタイトルが並んでいます。いや、まさかそんなことが…?

見てみると、「はいじま駅」にまつわる記事がいくつかあったものの、どれも同じ人の体験談を元に書かれていました。「夜、うたた寝していたら知らない人に急に『降りろ』と言われ、降りた先がはいじま駅だった」「電車が行ってしまった後人気がなくて怖くなり、とにかく走って人や車のあるところまで行って無事に帰還した」「別日にそこの駅があったはずの場所に行ってみると公園のような施設しかなかった」…

気づいたら「はいじま駅」に着いてしまったこと以外あまり共通点が無いし、さらにこの人の話は鳥取県での出来事というのもあったので「なーんだ」という気持ちで検索ページを閉じました。

しかしそうは言ったもののスマホをしまった後も不安は消えません。「はいじま駅」の目撃情報はこれまでに鳥取県での1件しかないっぽいので、自分は東京ではいじまという異界駅に遭遇してしまった2件目なのではないか…?記憶では確かに看板に書かれた駅名が平仮名だけだったし、異界である以上日本のどこに現れても不思議ではないのでは…いや、異界の駅ってこと自体随分不思議だけど…
正直異界とか怪奇現象とかをそこまで信じていなかった自分としてはすぐにピンと来る話でもなく、「まあ無事に帰れてこうして普通に生きていられてるし、もう考えないことにしよう」と自分に言い聞かせて終わっておくことにしました。

それにしても、ネットにあった「はいじま駅」の存在がたとえ作り話だったとしても、その架空の駅に自分も思いがけず着いてしまった記憶があるというのは冷静に考えてしまうほど怖い…。はいじま駅について調べた時に出てきた「きさらぎ駅」「かたす駅」なども気になるけれど、異界の駅にはもう遭遇することないまま一生を過ごしたいものです…。

今までサポートしてくださった方、そして毎記事にしてくださってる方も…!本当にありがとうございます🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️ 演奏や作品でお返しできるように、もっともっと成長したいと思います。