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サダオちゃん

オイラの住んでいた町内に小学生になると入れる野球チームがあった。
各町内に少年野球チーム1つ2つあった時代だ!
オイラも当たり前のように小学校入学と同時に野球チームに入った。
近所の兄ちゃん達から・・・「すげぇ〜厳しいぞ!」「怖えぇ〜ぞ〜!」
とか脅されながらもなんだかとても楽しみで・・・
巨人の星の星飛雄馬の言葉を借りれば・・・
「父ちゃん、俺は今猛烈に燃えている・・・・」って気分だった。
監督は近所の洗濯屋のお兄さんサダオちゃんだ!
このサダオちゃんが・・やばい!
今だったらコンプライアンスがどうの、体罰だ!とか大変なことに?
半端ないケツバット!(翌日椅子に座れなくなるレベルかな?)
もみあげ(もみあげを摘んでビッ!と上に引き上げる)
グリグリ(こめかみあたりをゲンコツでグリグリしかも中指が少し浮いていて
食い込んで超痛い)などなど様々なペナルティーがあった!
いつもタバコを吸っていて、三振したり、アウトになってベンチに帰ってくると
タバコが飛んでくる!
野球以外でもサダオちゃんの店の前を通ると・・
「オイっ!」とタバコが飛んでくる!
「こんにちわ!」と挨拶すると
「馬鹿野郎!もっとしっかり挨拶しろよ!・・誰にでもだぞ!」
もう店の前を通るのも怖いくらいだった・・・・でも
オイラ達はみんなサダオちゃんが好きだった
何発ケツバットされても、ぐりぐりやもみあげされても、タバコ飛ばされても!
怖いのに、痛いのに、熱いのに、なんだか嬉しくて・・・
練習終えて帰宅し親に・・・
「今日、サダオちゃんにケツバットとタバコ飛ばされた!」
「ははは!じゃあ明日は座れないね!」
「うん!明日学校休もうかな」
「あんた、そんなんで休んだらサダオちゃんにぶっ飛ばされるよ!」
って感じの会話が良く交わされた!
サダオちゃんはミスしても然程怒らない、諦めた時、チャレンジしなかった時、
仲間を応援していない、助け合っていない時は本当に怖かった!
罵声と共に鉄拳が飛んできた!
今、スポーツ界でも教育界でも体罰だとかパワハラだとか・・・
昔の指導はどうのこうの言う人がいる!
オイラは決して体罰を推奨するわけでもない、でも「あったって良いじゃん」と
正直思っている。
大事なことはその行為ではなくその時の心の問題、愛情があるのかどうかだ!
中学に入ってもう野球とは離れていたがサダオちゃんと昔話をしたことがる。
当時ちょっとヤンチャしてたオイラに・・・
「オイっ!元気か?生きがってんじゃねぇぞ!」
「はい!」
「俺は野球なんかちゃんと教えてなかったけどよ、人が感じる痛みは教えたつもりだよ!肌で感じる痛みも心で感じる痛みもな…生きがって、ヤンチャしても良いからよ人の痛みはちゃんと感じて仲間と弱い奴らは守ってやれよ!」
「はい!」やっぱりオイラはこの人が好きだ!この人からすごい沢山のことを教わってたんだと強く思った・・・
一緒に野球をやっていた幼馴染から聞いた話、そいつのお母さんが亡くなった時
お通夜に来たサダオちゃんが「チョット来い」と連れ出しずっと裏で肩を抱いて腕を摩りながら「負けるな、頑張れ、母ちゃんに笑われんぞ、頑張れ!」と何度も何度も言ってくれた。初めてサダオちゃんの悲しそうな辛そうな顔見た。
タバコ吸いながらだからめちゃくちゃタバコ臭くてな、でもあの時の匂いとか寒さとかいまだに覚えてるよ!って、その話聞いた時思わず泣けた!
オイラの婆ちゃんが死んだ時も・・・
数日してばったりサダオちゃんにあった
「おぉ〜!お前、婆ちゃん亡くなったって?
粋な婆ちゃんだったよな俺好きだったんだよ!
通夜葬儀にも行かれず悪かったな、お前婆ちゃん子だったからな・・・大丈夫か」
相変わらず怖いさはあるんだけど暖かいんだ!心があるんだ!
人の痛みがわかる人間にってちゃんと教育してくれてる、洗濯屋の柄の悪い凶暴な兄ちゃんが心ある教育をしてくれた。
心ある指導者、愛情ある指導者、情熱ある指導者が下町の商店街にはいたんだ!
専門に指導者としての教育を受けた人は沢山いる。でも人としての心を磨いた人や
心で真正面からぶつかろうとしてる人はどれくらいいるんだろう!
サダオちゃんの愛を受けたオイラは幸せだな!
これからそういう心の教育が心から出来る人間が必要なんだ!
綺麗事だけじゃなく、真実が見れる、それに正面から立ち向かえる、そんな人間が
この辺の話はきりが無くなるなぁ〜また第二弾・第三弾と頑張ってみるかな?!





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