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まさか・・癌‥多くを感じ学んだ・・・

「町田さ〜ん、どうぞ!」
「失礼しま〜す!」
「こんにちは、この間の血液検査ね・・バッチリだね!文句なしだ!」
「そうですか、体調もすこぶる良いです!」
「血圧・血糖も安定しているし、何か気になることある?」
「特に無いですけど、歳も歳だし、人間ドックとかも考えようかとか・・・」
「人間ドックも良いけど・・高いからね!」
「そうなんですよね・・脳ドックとか入れたら、結構いくんですよね」
「胸部・前立腺・大腸・胃とか自治体のでもやってみる?比較的安いし!」
「そうですね・・とりあえず、やってみますか・・」
こんな会話から始まった・・
胸部・前立・大腸と「問題無し!」クリアー!
そして・・胃カメラ!
「胃は綺麗だね‥食道にポリープがあるね、これ念の為病理で調べようね」
細胞摂取!
「はいお疲れ!結果は次回定期検診でも良いかな?何かあったら電話するよ」
「はい、お願いします!」・・そして定期検診の日
「相変わらず血液検査の数値・血糖・血圧文句なし!それからこの間の・・」
「どうでした・・?」
「うん、あれね・・悪性だった!」
「今ここで言える事は食道癌であり、より精密な検査が必要であるという事・・」
「マジですか?」
「うん、それで、信頼できる大きな病院を紹介します。予約手続きもやってあげる‥その方が話も早いし…いいかな・・?」
「はい・・」
と早速、先生は電話をかける・・
紹介状が準備される
「いきなりバタバタで困惑しているかもしれないけど心配しないで!」
「あっ大丈夫です。状況は把握しているものの正直まだピンと来ないです」
「そうだよね、とにかく実績のある病院で経験豊富な先生がいるから安心して」
「はい、ありがとうございます。」
「大丈夫、頑張って」と優しい笑顔で背中を摩ってくれる・・
病院を出て、早速、家に電話を入れ・・親友にも・・
全くもって自覚症状もなく、体調もすこぶる良い日が続いている…
これもしかしたら精密検査受けたら、何でもなかったり?・・とか
薬で簡単に・・とか、そんなもんかな・と思う反面
心のどこかで最悪・・これで・・なんてちょっと「死」というものを意識したり
”とにかく検査を受けて・・なるようにしかならん、
「しゃ〜ない!”と腹を括った」                      予約日に紹介状を片手に・・・
外来は人・人・人でごった返している。
予約の時間はとうに過ぎているが一向に呼ばれる雰囲気すら無い・・・
ちょっとイラッとし出した頃‥
「町田さん○番にお入りください」
「失礼します!」
「ごめんなさいね、お待たせして・・早速ですが」
と画像データと検査結果を見ながら                    「何か体調に変化や気になることは?」
「全くありません・・今までも全く自覚症状みたいなものは・・」
何度か頷き‥「あくまでも現状、この送られてきたデータでしか言えない事ですが・・ 食道癌である事、その位置からして憤悶により近いところである事、治療としては食道の一部と胃の一部を切除する、同時に周囲のリンパ節も切除・・当然全身麻酔・場合によっては胃・食道の全摘出という事も視野に置かなくてはいけない・・」
「治療方法は他にはありませんか?・・全く自覚症状がないのでピンとこなくて・・」
「そうでしょうね、ただ食道がんで自覚症状が出ていたら、大変厳しい状態かと・・これから詳しい検査をし最善の方法でと考えています。早速C T・採血・レントゲン・造影と今日やれるだけの検査をと思いますがお時間は?」
「大丈夫です、お願いします。」
一通りの検査を終え、次回の外来の予約をしその日は終わった・・
検査結果・・
「まず、やはり食道癌ですね、ただ、胃癌と言ってもおかしくない位置なんです。胃で出来た癌が食道に上がってきたと言う可能性が高い状態だと思います。いずれにせよステージは1です。今回の検査で現状転移は認められません。治療法はやはり手術で切除以外はありません。腹腔鏡手術を考えていますが、場合によっては開腹手術に切り替える可能性もあります。・・・」
と現状・手術方法・術後の計画等の説明後、日程の話に・・
「最速で〇〇日に入院して〇〇日に手術という予定でどうですか?」
「ちょっと待ってください、仕事の調整をしないといけないので・・・」
「わかりました、では来週早々に外来に来て頂きそこで決定しましょう」
一番気掛かりなことが・・一年ほど前から依頼されていた七五三の撮影、準備の段階から自然な雰囲気、表情を撮影して欲しいと言う、こちらもワクワクする撮影!
「先生因みに、約1ヶ月先にどうしても自分でなければできない仕事で一年ほど前から予定している、変更ができないものがあるのですが・・その前に手術して間に合えば良いのですが・・・」
「う〜ん何とも、まぁ〜そのギリギリかな・・何といっても相手は『癌』ですからね」
週明けて、再び外来へ・・撮影を終え、ちょっとした編集を終えればいつでもと希望を伝えると・・
「じゃぁ〜二日空けて15日入院、16日手術としましょう!ちょっと15日は何かとバタバタするかも入れないけど・・とにかく頑張りましょう!」
約1ヶ月の猶予期間・・・この間も全く体調に変化もなく、絶好調!
ただ不思議なもので・・何となく見ていたインターネットなどから・・・
「〇〇さん食道がんで死去」・・とか
検索もしていないのに「癌で亡くなった芸能人」とか、そんな記事・投稿に遭遇する。
よく、何かを買うと決めると、やたらにそれを持っている、着ている、車などは走っている所に遭遇するようなものなのか?潜在意識の中で気にしているのかもしれない。
「おいおい!」と思いながらも意外と前向きな自分がいた!
全く変わる事なく、絶好調のまま撮影も無事終え、喜んでも頂け、
「よっしゃ〜!」とばかりに入院!
入院受付を済ませ、病棟に・・・可愛い看護婦さんが注意事項等の説明と病棟内を案内してくれ、病室へ・・
「これから、採血と歯科検査とレントゲンに行って欲しいのですけど・・」
「はいよ!」
「場所わかります?」
「わかるよ!、あっ歯科だけわからない」
と、丁寧に歯科の場所を説明し「ごめんね、ついて行ってあげられなくて・・」
「大丈夫、男の子だから」と笑いを誘う・・ケラケラっと可愛く笑う看護婦さん!
全てを終え病室に戻る・・
「お疲れ様でした、ハイ昼食です!ゆっくり食べてね」
昼食が終わると…麻酔科の医師・内科の医師・リハビリ担当者・薬剤師と次から次へと様々な確認にやってきた。
中でも驚いたのは・・「町田さんこんにちは、今日入院されたんですね、明日手術で」
「はい」
「少しお話きかせていただいていいですか?」
「えぇ」
「なぜ入院されているかわかります?」
「ハァ〜?・・わかりますよ、食道癌の手術です」
「普段はお食事とか一人でできています?」的なことから始まり
“一人で立ったり、座ったりできるか”“歩けるか”“耳はよく聞こえるか”“目は見えるか”“人の話が理解できるか”・・・どこかで聞いたことがある質問???
そうだ、認知症の親父の介護認定の時だ!・・おいおい、オイラもかい?
「ごめんなさいね、こんな質問ばかり、退院後の介護の必要性の有無で・・」
「あぁ〜大丈夫です!退院したら走って帰るくらいの気持ちでいますから」
「まぁ〜頼もしい!何か気になる事や、心配事があったら声かけてください」
「はい、ありがとうございます」
優しい笑顔を残し病室を後にする介護相談員さん・・・
入院初日、本当にバタバタした一日・・
それにしても緊張感・不安・恐怖心が微塵も無い・・良いのか?
手術当日・・
 6時00分・・起床、目覚めよし!
 7時30分・・主治医(執刀医)並びにチームの医師・看護師が来る
「町田さん、おはようございます。今日頑張りましょうね!」
「はい、よろしくお願いします!」
 8時00分・・看護婦が手術着を持って来る
「これに着替えて、待っててね・・」
「はいよ!」
8時15分・・いざ出陣!
「町田さん、足取りも軽く余裕だね!」
「もう、チビってるけどね!(笑)」
「頑張ってね!」
「うん、でもさ、麻酔で寝かされているから、頑張りようがないよね!」
「確かに!」(笑)
手術室へ・・本人確認から簡単な説明後、背中から麻酔の管を入れる・・
マスクをかけられ・・「ゆっくり深呼吸をしてください自然と眠くなりますからね・・」
記憶があるのはここまで・・・
「町田さん!町田さん!・・終わったよ!」の声が・・・
腹部に激痛!ここからの記憶は断片的!
後から聞いた話では、かなり痛がり急遽個室が準備され看護師さんたちにも緊張が走ったとか・・・・
手術翌日・・・
「おはよう、町田さん、大丈夫?痛みとか、気持ち悪さとかないですか?」
「おはよう、うん、大丈夫!」
「昨日のこと覚えている?」
「う〜ん、所々??何となく?」
「今日から早速、痛みもあると思うし、歩くからね!頑張ろうね!」
「うん!」
点滴・左鼻から胃へ胃管・酸素吸入の管が両鼻の穴を塞ぎ・尿道カテーテル?
腹部からは廃液を出すための管が4本とその先に廃液を貯めるパック!
心電図・・管とコードに包まれた体でその先に繋がられた機械を引きずりながらのリハビリの日々、最初は10mも歩けなかった、手術で潰れた肺の回復がまだ出来てないこともあり、息は切れるは、気持ち悪くなるは、苦しいは・・正直ショックだった!
「全く、自覚症状もなく、体調は絶好調だったのが、こんなになっちまったのか、冗談じゃねぇ〜こんなの!」1日も早く・・・そう強く思った!
開き直って、素の自分で、この生活、楽しく前向きに送ろうとも思った!
その日から・・看護婦さんへの親父ギャグの連発も始まる・・・
二週間を超えても水分すら取れない状態が続いた・・点滴のみ!
凄いな点滴!・・10mも歩けなかったのが、1日10000万歩を目標に歩けるようにもなった・・・(病棟内では有名な散歩親父だったらしい)
管も1本ずつ抜け、身軽になってきた!
当初の予定では術後二週間程度の入院では・・と言われていたが、合併症・感染症リスクが高いと言うことでかなり慎重に治療が進められた・・・
約1ヶ月を超える入院生活となったが・・様々な人間模様・人間の強さ・弱さ・優しさ・醜さ・冷たさ・暖かさを感じ取れた・・なんでもない当たり前のことの大切さやありがたさも本当に多くを感じ学んだ!
11月15日入院・・12月20日退院・・・とても貴重なありがたい時間だった!
未だ・・五分粥を100g程度の3回に軽食少量の2回の五回食(病院と同じ)を1ヶ月続け、徐々に普通食にと言う状態ではあるが・・気分は前向き、希望に満ちている!
昨日、退院後初の外来で・・・
『先生、まだまだとは思いますが、わかっていますが・・アルコール関係・・・』
『(笑)3ヶ月は最低でも我慢だな!でも胃は小さく食道も短くなってるし、めちゃくちゃ弱くなっていると思うから徐々にゆっくりだね・・炭酸系は厳しいと思うよ逆流しやすくなっているから・・頑張ってゆっくり、美味しく、そこそこに・・』
『はい』
『一番良い返事ですね』・・・・大爆笑!
この入院で学んだこと・・少しづつ小出しに・・・書いていこう!

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