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勘違いしたエリート?

時間潰しで入った喫茶店・・・
プレゼン資料について色々と若い部下にアドバイスをしている様子・・
「前回の〇〇のまとめた資料・・お粗末だったろう!(笑)」
「ちょっと分かりにくっかったですけど・・〇〇さんは頑張っていましたよ!」
「ふんっ、笑っちゃうよ・・途中から見る気にもならなかったよ・・」
そんな言葉に何も言えずに困惑した表情を浮かべる部下・・

ある事を思い出した・・・
心理学・カウンセリング・メンタルトレーニングを等を臨床とスポーツの観点から研究し実践していくある学会で色々学ばせていただいた時、ある研修会での事だった・・・
研究発表者はある大学の助手の先生だった・・
かなり緊張しており、手が小刻みに震えているような状態で声も上擦っている・・聞き取りにくい部分もあり、パワーポイントの操作もドタバタって感じだ。
でも、一生懸命さが伝わり、研究に協力してくれた学生やクライアントへの思いに人としての優しさ・暖かさを感じる・・確かにスピーチ・プレゼンは上手だとは言えない・・しかし、その日の発表の中で一番、魂と言うか、情熱というか、思いというものを感じた。
この人にカウンセリングしてもらったら、何か勇気とか、安心感とか、寄り添ってもらっているというものが得られるように思えた・・

発表が終わり質疑応答に入る・・・
ある助教授と言う先生から手が上がる・・
ニヤニヤと資料をパラパラっとめくりながら・・
「あのう・・まぁハッキリ言って何言ってのか分からないって感じだったんだけど(ふんっ、と笑う)・・△△のデータって・・これ、何に役立つの?意味あるの?」との質問
「△△ですか?・・どの部分でしょうか?」
「ハァ〜全部ですよ全部!」
そのデータに関して、細かく、丁寧に説明し出す・・
その時、質問した助教授は隣の席の先生とニヤニヤと耳打ちするように話をしていて聞いている様子はない・・説明が終わり「お分かりいただけましたか?」
「えぇ・・うん、よくわかんないけど、まぁいいや!後・・この・・」とさらに質問をするが、質問後は再び隣の先生に話しかけ、全く聞いていない・・この状態が繰り返された・・
失礼な奴だな・・と繰り返されるこの状況に腹が立ち、我慢できなくなり・・
説明の途中ではあったが・・
「あの〜すみません説明の途中ですけど、今質問された先生・・あなたの質問に対し、一生懸命答えているんだから、隣の先生と話してばかりいないでしっかり聞いた方がいいのでは?先ほどからずっとニヤニヤと話してばかりで聞いてないですよね!ちょっと失礼なのではないですか?・・」
「ハァ〜・・聞いていますよ!」
とちょっと太々しい態度・・暴言を吐きそうになる自分を必死に抑えながら・・
「そうですか?私にはそうは見えなかったけど・・質問直後から隣の先生と話して、説明が終わったことにすら気づかず、(よろしいですか)と言われて(何が?あっ・・)って・・あまりにも失礼だと感じたので、一生懸命発表しているんだから、一生懸命聞きましょうよ!」
「・・・・」俯き、資料に目をやりながら何度も小刻みに頷いていた・・・
その後、他の先生からのいくつかの質問とアドバイスがあり、発表は終わった・・
「この後、15分休憩して、事例研究に移ります!」と進行係の先生
「あっ、すみません、先程は発表の途中に・・すみませんでした」と謝罪・・
それに対して誰も反応しない・・
助教授は資料等を雑にまとめ・・「あぁ〜!」と伸びをして、こちらにチラッと視線を送り隣の先生を誘い外へ出ていった・・
正直、飛び蹴り喰らわしてやろうか・・何か言ってこねぇかなぁ・・暴れてぇ〜!と言う感情が溢れ帰ってくる・・・いかんいかん、一服するかぁ〜!とアンガーマネージメント!
「先生、先程は、ありがとうございました。すみません」と発表した先生が声をかけてきた
「いや、逆にすみませんでした・・なんだか、腹が立ち、つい・・」
「嬉しかったです・・ちゃんと聞いてくれている人がいるって言うか・・でも、先生に嫌な思いというか余計なことさせてしまったなぁと・・」
「いやいや、勝手に口挟むような事して・・すみません」
と二人で話をしている所に、大学教授でこの学会の中心的立場の先生(年配の女性)が・・・
「〇〇先生、発表ご苦労様・・初めてだったでしょ・・緊張した?」
「はい、ろくな発表が出来ずすみません・・」
「そんな事ないわよ、ちゃんと伝わっているわよ・・ねぇ?」と、こちらに降ってくる・・
「はい、自分は、今日の発表の中で一番気持ちがこもっているように思いました」
「だから、腹が立ったのよね!・・(発表した先生の方に手を置き)データをいくら羅列してもダメ・・あなたの発表はちゃんと人の心を動かせたのだから、自信を持ってもっと頑張りなさい・・」と微笑む。
ちゃんと見て・感じ取ってくれる人がいて良かった・・・と少し気分も晴れた・・・
すべてが終わり、懇親会へと・・・
発表以来、ずっと行動を共にしていた先生と、あれこれたわいのない会話を楽しんでいたが、チラチラと先程の助教授の視線を送ってくる・・・・
先生の話によると・・あの助教授はまだ若く、超エリートで成績優秀、異例のスピード出世、学会内でも大学でも超期待の人物だとのことだ・・・正直、「あれが?・・・??」って感想だった。
「先生、どうも先程は、貴重なご助言をありがとうございました。ところで先生はどちらで教鞭・ご研究を?」
先程から一緒に話している先生と共に話しかけて来た。
「自分は教員ではありません」
「えっ?何されているんですか?(もう一人の先生に)なんでここにいるの?」
「コーチ・フィジカルトレーナーみたいなことやっています。」
「そうですか、コーチねぇ・・出身大学はどちらですか?」
「〇〇体育大学です・・」
「なるほど・・・さすが、熱いですね!」と皮肉混じりに・・
その後、同じ体育大学でもどちらが上なのかとか、どこどこの体育学部のレベルはどうだとか・・
やたらと比べたがる、順位をつけたがるというより他を見下したく仕方がないようにさえ思えた。
「さぁ、どうでしょう?それぞれに皆、良いところがありますからね・・どっちが上とか下とかは・・」
「〇〇先生は、どこでしたっけ?」
「〇〇大学です」
「あぁその辺のレベルってよく分かんないんだよなぁ・・・」
「そんなの関係無いでしょ、どこの大学だとか、レベルだとか、ここでみなさんが研究したり実践したりしてることって・・人の心に寄り添うことですよね?違います?」
「いや、おっしゃる通りですよ!」
「だとしたら、一番大事なのは、その人の人となり、人間性・人柄じゃ無いんですかねぇ?」
「うん、まぁ大事ですけど・・最低限のレベルは必要ですからね・・それにしても先生は熱いですね!」
雰囲気を察したかのようにもう一人の先生が、割って入るように・・
「あのっ・・先生は何の競技をされていたんですか?」
「サッカーです!」
「えっ、私もサッカーですよ!と言っても高校までで、大学では何も、でも高校時代のサッカー部の先輩のチームでたまに、ボール蹴っています!全然動けませんけど・・・(笑)」
「そうなんですか・・・」
「今度、ゆっくりサッカー談義でもしましょう・・先生、〇〇先生のところへ・・失礼します。」と軽く会釈し助教授さんを連れてその場を離れようと・・
その時、助教授さんはこちらには目もくれず「珍しい人だな」とボソッと・・
「はぁ?」と言い返そうとした時、もう一人の先生がウインクをするようにこちらの動きを制し「では・・」と頭をちょこんと下げ・・
上手いこと、引き離したなぁ〜と思う反面・・まだ言いたい事がって気持ちも・・グッと耐えて・・
「また、カッとなってしまいました・・(笑)」
「研究とか上に行くことしか考えてないのでしょうね、現場に立ってという気持ちはない人だと思います」
「現場で生かされない研究なんて意味ないじゃないですかね・・」
「以前、あの先生といろいろ話した時に、えっ?って思ったんですけど、(バカを相手にしても仕方がない、心の悩みっていうのは実力もないのに高望みするから生まれるんだ、バカはバカなりに大人しくしてれば良いんだよ)って・・あの人はずっと成績優秀でもてはやされて来たらしいので・・僕は真逆でやっと3流大学に入れて、いろいろ悩んだりして、ちょっと鬱っぽくなった時期もあって、多くの友達や先生方、家族にお世話になって、支えられて来たので、同じような人の手助けがしたくてここで色々学ぼうと思って・・」
「先生のような経験や思いは必ず活きますよ・・人の為に必ず役立ちますよ・・」「ありがとうございます!」
「何になるためにここで学ぶのかと何をするためにここで学ぶのかの違いですよ!・・何になるのか、なりたいのかの理由によって全然違ってくると思うんですよね!」
「そうですよね!僕はあの先生みたいなエリートでは無いので、僕なりに出来ることを一生懸命やりますよ!」
「エリートってのは、良い学校をいい成績で卒業し、いい会社や大学の教授になるとか、官僚になるとかでは無くて・・自分の学んだ事や経験してきた事を、困っている人や弱い立場の人や社会に役立てられる人のことを言うんですよ!いくらお勉強ができて、有名大学をトップで卒業したとしても人の心がわからなかったり、人を傷つけたり、そんな間違いにも気づかない人のことはお勉強のできる馬鹿!って言うんです・・」
「確かに・・でも先生過激な発言ですね・・」
「勘違いしたエリート?程度にしときますか!」
「ハハっ!でも何だかスッキリしたと言うか気持ちいいです」とニコッとする!
この先生と会ってから初めて先生の笑顔を見た気がした・・いい笑顔だった!
その後もいろいろな話を二人で・・ざっくばらんにお互いの経験してきた事や、接してきた人たちの話を・・
学会での研修よりも楽しく、実になるものだったように思う。
畏まった話も大切だが、雑談の中にとても大切な事が沢山あると感じた・・
喫茶店でのプレゼンの会話から・・懐かしくも貴重な話を思い出させてくれた・・
その後、何年かは学会にも参加していたが・・最近はすっかり・・
あの先生はどうしているだろうか?
きっとあの笑顔と情熱で様々な人に寄り添っているのだろう!
本当に何が大切なのか、必要なのかを考えなきゃ行けない・・
帰るべきものはしっかり原点に帰って・・
見つめ直さないといけない時に来ているように・・思う今日この頃!


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