第287話 「変化球には興味がない」の意味が、少し分かったのかも
昨年末、ゆかりちゃんと、劇団四季のコーラスラインを観に行った。
結論は、めちゃくちゃ良かった!!
僕は、『コーラスライン』を初めて観たんだけど、ゆかりちゃんは何度も観ている。
だが今回は、僕から誘ったのだ。なんかのきっかけで知って、この『コーラスライン』に、興味がわいたのだ。
ゆかりちゃんは、「大好きなミュージカルの1つ!」と、もろ手を挙げて賛成してくれた。
◆僕は、芝居好き
僕は、最初の職場の先輩に、下北沢の【本多劇場】に連れてってもらい、そこで、初めて、生の演劇を観た。先輩の友だちが、役者さんだったのだ。
僕は、圧倒された。
スピーカーを使わない、生の音。真っ暗の中、足踏みの、「ドン! ドン!」という音から、その芝居は始まった。
生の声。
スクリーン越しではなく、目の前にいる、生の演者。
目の前で、男女が絡み合う。
18歳の僕は、ドキドキした。
口を、あんぐりと開けっ放しだった。
途中で、先輩が「口、開いてるよ」と教えてくれたのだが、しばらくすると、また、ポカンと開けていた。
ストーリーは忘れた。
でも、僕は、主演の俳優の演技に魅了されたことを、今でもハッキリと憶えている。
演じている方たちは、僕にとっては、別世界の人だった。
僕は、田舎者だ。
彼らの大半が、アルバイトをしながら演劇をしているとか、彼らも、普通の若者だとか、当時の僕には、そのようには思えなかった。
本来は、スクリーンやブラウン管の向こう側の人たちで、たまたま、こういう芝居もしているんだと、漠然と、『別世界のこと』と決めつけていた。
何かが1つでもズレていたなら、僕は、あの瞬間から、あの世界に飛び込んだかもしれない。
それほどに、あれは眩しい世界だった。夢中になれそうな予感がしていた。
羨ましかった。
役者になりたかった。
これがきっかけで、僕は、芝居を観るのが好きになった。
◆ミュージカル
ミュージカルを初めて観たのは、たしか、『オペラ座の怪人』だった。劇団四季の『オペラ座の怪人』だ。
観終わって、正直、良くわからないと思った。
ストーリーもわからずに観てたので、まず、ストーリーに納得がいかなかった。
要所要所で歌うから、その歌詞(ストーリーの内容)が、聞き取れず、そのシステムにも、納得できなかった。
(なぜ歌う?)と、思った。
笑っていいとも!で、タモリさんが「歌わなくていい」と言うのに、激しく同意した。
そのような先入観が形成されてから、僕は、ゆかりちゃんと出逢った。
ゆかりちゃんは、劇団四季のファンクラブ会員だ。
多くの人が、ミュージカルを愛しているという事実があり、ゆかりちゃんもその1人。ならば、ミュージカルにも良さがあるはずだ。
僕は、まだ、それに気づいていないだけだろう。そう思って、ゆかりちゃんと、劇団四季の『アイーダ』を観に行った。
ここで、僕の、ミュージカルが変わった。
濱田めぐみさんが、メインキャストだったのだ。
◆僕の、楽しみ方
演劇を観るときの、僕の楽しみは、
①役者さんの演技。その演技力。
②ストーリー。どんな脚本なのか。
となる。
これが、僕の、わくわくポイントだ。
ストーリーを全く知らない芝居なら、②ストーリーの方が、より楽しみになったりする。
さらには、③演出、なども楽しみではあるが、楽しみのメインではない。この演出などは、例えるならば、ステーキの横にあるニンジン程度なのだ。
僕は、この、ステーキの横のニンジンがかなりスキだ。好物でもある。でも、だからといって、これがニンジンじゃなかったとしても、ステーキ店に苦情を言ったりはしない。
一方、ミュージカル。
それまでは、演劇と同じわくわくポイントで観覧に臨んでいたのだが、メグメグを知ってからは、パラダイムシフトした。
メグメグとは、濱田めぐみさんの愛称らしく、僕は図々しく「メグメグ」と呼んでいる。
メグメグ以降の、僕の、ミュージカルの楽しみは、
①歌。歌い手の歌唱力。
②がなくて、
③ダンス。
となった。
④に、演技力や演出などがあるが、こちらも「ステーキ横のニンジン」だ。
『アイーダ』を観に行ったときは、事前にストーリーをインターネットで調べた。これまでのミュージカル観劇で、歌われると、歌詞(内容)が聞き取れないことがあると、そう学習したからだ。
ゆかりちゃんからも、ストーリーを教えてもらった。
予習の成果もあって、ストーリーをあまり気にすることなく、僕は、ミュージカル『アイーダ』の世界に入った。
そこに、とんでもないミュージカルシンガーがいた。
メグメグこと、濱田めぐみさんだ。
その声に、その歌に、僕は、完全に魅了された。
歌が終わると、観客が拍手をする意味が、そのとき初めて分かった。
ストーリーなんて、どうでもイイという感じになっていた。
歌だ。
ミュージカルとは歌だ。歌なんだ。
1に歌。2にも歌だ。
以降、僕は、コンサート会場へ行く感覚で、ミュージカル劇場へ行くようになった。
観に行くのではなく、聴きに行くのだ。
◆何度も観に行きたくなるエンターテイメントとは
ストーリーが売りの芝居。
演劇やミュージカルでもいい。映画でもいい。
「ストーリーが売り」ということは、例えば、ミステリーのように『謎解き』があって、「え~⁉ まさか、彼が犯人とは~~~!!!」という内容だったり、映画『シックス・センス』のように、最後に、ドンデン返しがあるとか、そういうストーリーになるだろう。
この場合、リピーターの獲得は、極めて困難になる。
1度、そのサプライズを味わったなら、どうしたって、2度目はそこまで驚かない。
リピーターを獲得しようとするのなら、ストーリーにサプライズを仕組んじゃダメなんだ。
そう考えると、落語家って、凄い。
【落ち】という、サプライズがあるのだ。
それなのに、【落ち】がバレているのに、その上で爆笑を獲る話術が必要なのだ。
落語家って、凄いなぁ。
話しをミュージカルに戻す。
ミュージカルは、ストーリーで勝負するつもりがない。
だから、リピーターが生まれている。
ストーリーは「お決まり」なのだ。それは周知の事実なのだ。周知だから、みんなガッカリなんてしないのだ。
それどころか、「来た来た~!」とか、「ここ、ここ! ココが好きなの~!」とかになる。
そうなっている。ゆかりちゃんも、「どこどこが超スキなの~」と、良く言っている。
あっ!
コンサートだって同じだ。
僕なら、さだまさしのコンサートの最後の曲は、『遥かなるクリスマス』か『まほろば』がイイ!
毎回、この、どちらかの曲でイイ。
オープニングで『案山子』は良いけど、ラストは嫌だ。
前半か中盤で、『修二会』も歌って欲しい。
大好きな、定番の、良く知っている曲でイイ。新曲は、少しでイイ。
newアルバムを出したのなら、なんなら、先にCDを買って、予習してからコンサートに行きたい。
コンサートって、死語か? いつからライヴって言うようになった? ウに濁点って、なに? まあ、若者ぶって使っちゃうけど。
お決まりで良いのだ。
お決まりでイイ。お決まりが良い。そういうエンターテイメントがある。
サプライズに頼らない。
つまり・・・。
クオリティかぁ。
作品のクオリティ。そして演者のクオリティだ。
こういうエンターテイメントは、クオリティの勝負になるんだ。
そして、僕たち観客は、そのクオリティを楽しむために、劇場まで、ワクワクしながら足を運ぶのだ。
◆藤川球児の直球
元阪神タイガースの守護神。
藤川球児。
直球を投げてくる。
打者は、そうわかっている。
そして、直球がくる。
なのに打者は空振りする。
もの凄いピッチャーだった。
スライダーやフォークが決め球じゃないのだ。
スライダーかも、とか、フォークかもと、そんな懸念が打者に浮かぶことはなかった。
直球勝負が、見え見えのピッチャーだった。
凄いピッチャーだった。
◆西野さんの口ぐせ
西野さんは、映画えんとつ町のプペルについて語るとき、良く、こう言う。
「変化球には興味がない」
「直球勝負」
「ストレートしか投げない」
これを僕は、勿論なんとなくは、理解していた。
小技に頼らないとか、小手先のテクニックでごまかさないとか、そんな意味と思っていた。
今日は、劇団四季のミュージカル『コーラスライン』を観た感想を、記事として書き始めた。
だが、話がズレた。感想は、たぶん、明日か明後日の記事になる。
ミュージカルと演劇の違いを書いていたら、まるで、モーニングページのように、僕の中から、思いもよらぬ思考が溢れ出たのだ。
この記事を書いている途中で、西野さんの言う「変化球には興味がない」が、僕の思っていた意味と、違うと気づいた。
これは、僕の想像になるが、おそらく西野さんは、『映画えんとつ町のプペル』を、まるでミュージカルのように、そして、落語のように、超ロングセラーにしようと計画している。
何十年経っても、廃れることのない、超超、超ロングセラーだ。
だから、『映画えんとつ町のプペル』のストーリーには、ひねりなど加えなかったのだ。
本心から、ネタバレ上等だったのだ。
1人のファンが、2~3回観るんじゃなく、何十回も観る、そういう映画にと設計したのだろう。
確かに!
20代の娘はムリでも、将来、僕に孫ができたなら。孫が、4歳か5歳か、そのくらいになったら、丞持(じょーじ)ジジイは、喜んで、孫を映画館に連れて行く。
西野さんは、「えんとつ町のプペル専用の、ミニシアターを作りたい」と言ってた。「劇団四季のキャッツシアターみたいな」って、そういえば、言ってた!
本気なんだ。
きっと、何度も何度も繰り返し観た方が、面白くなる、そういう設計がされている。西野さんの、コアファンには「今ごろ気づいたの?」と、あきれられるのだろうか?
まーちゃん、「ストレート」って、何十回も観たくなる、ってことだよ。
VRなら、何十回もやりたくなる、っていう、そういう意味だよ!
ドリフのコントのように、分かり切ったオチが良いんだよ。「そこでタライが落ちる」って、みんなが分かっていて、そして、その通りになる。
まーちゃんに、ドリフを例えに出したら、わかんないか~。
世代がちゃうからなぁ~。
まーちゃん ↓ のnote
◆結論&〆
ミュージカル俳優って、大変だ~。
お客さんは、わかってて来場するんだ。何を歌うか。どんな歌なのか。そして、僕のように、メグメグと比較するヤツがいるんだ。それを自覚して舞台に上がるんだ。
変化球を投げたくても投げれない。同じ歌を歌うしかない。
凄いプレッシャーだろう。
そして思う。
メグメグは、ミュージカル界の藤川球児だと。
ん?
逆か?
藤川球児は、ピッチャー界のメグメグだ! かな?
今日は、劇団四季の『コーラスライン』を観た感想を、書き始めた。だが、話がズレた。『コーラスライン』の感想記事は、たぶん、明日か明後日になる。
演劇とミュージカルの違いを書いていたら、まるでモーニングページのように、僕の中から、思いもよらぬ思考が溢れ出たのだ。だから、致し方ない。
この記事を読むゆかりちゃんは、途中で睡魔に襲われるだろう。
劇団四季の『コーラスライン』の記事と思って読み始め、途中で、
「また西野さんかい!」
と、きっと、そんなツッコミを入れるだろう。
そして睡魔に屈するのだろう。
昨日の記事も、まだ、読んでもらっていないのだ。「寝落ちした」と、昨夜、LINEがあった。
僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。
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