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【天然】これが面白いって、僕だけかな? 僕にはめっちゃツボだったのですが…

21時。

僕は、ダイニングテーブルで、フォアローゼス-ブラックを飲んでいました。
妻のゆかりちゃんは、ソファーに座ってテレビを観ています。


「やっぱり、ブラックは旨い」

つい、言葉に出ました。
ジャックダニエルとフォアローゼスブラックが、僕は、特に好きなのです。

25歳のころ、40歳前後と思われる宇崎竜童さん似の渋いバーテンダーに、
「バーボンはストレートかロックで楽しむもの」
と言われて、初めてロックで飲んだバーボンの味を、今でも憶えています。

オンザロックのバーボンは甘く、美味しかった。


* * *

ソファーのゆかりちゃんが、微睡まどろんでいます。

すると、微睡んでいたことを恥じたのか、あるいは、気づかれてはいないと踏んだのか、

「う~~~ん、ねむた」
「眠~い」
「なんでだろう?」

と、不自然な、少し大きな声で言ったのです。


(なにがねむた」や)
(それは、眠りそうになった人のセリフやん)
(もしくは数秒、ウトっとしただけの人のセリフ)
(ゆかりちゃん、ガッツリ眠ってたでぇ)
「ああ~、よく寝た」が、正しいセリフ)
(なんで、眠っていないフリをする?)
(通用……、しないしないしない!)
(ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ~~~!)

こう思いました。

でも、その本音をグッと抑えて、
「お風呂、先に入ったら?」と、すごく優しく言ったのです。

「うん、そうだね……」
「ん?」
「……スルーした?」
「わたし今、なんか言ったよね?」
「わたし、なんって言った?」

ゆかりちゃんは少し怒っています。

ゆかりちゃんの怒りには気づかないフリをして、いたって呑気のんきな口調で、僕は答えました。

「ああ……」
『眠い~』って」
『なんでだろう?』って言ってたぁ~」
「かれこれ一緒に暮らすようになって、もう丸5年すぎたけど……」
「さっきのセリフは何十回って聞いてて……」
「もう、日常~」


「あはははー!」

ゆかりちゃんが、弾けるように笑います。
最高の笑顔で。


「春は『春眠、暁を覚えず』って言って」
「夏は『夏バテ』
「秋は『この時期が一番眠い』とか言って」
「冬は『最近寒いから』と」
「年中、『眠い』って言ってるよ~」

「にゃははは~~~!」


「21時のうたた寝は、もはやルーティーンだよ~」

「あははは……」
「……ん⁉」

「……はっ ‼」

ゆかりちゃんは表情で、(そうだ )と語っています。

クッションを2つ重ね、ソファーの端にセット。
横になります。

横になった姿は、(仮眠、しよう)と語っています。


僕は、名キャッチコピー、「そうだ 京都、行こう」を思い出し、フォアローゼス-ブラックを、危うく、吹き出すところでした。


ゆかりちゃんの動きは、完璧なまでに、「そうだ 仮眠、しよう」だったのです。





おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第983話です
※この記事は、2度目の書き直しです
※この記事は、僕のnote初投稿の記事が元です
※僕は、ゆかりちゃんが大好きです


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