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第152話 外に限る


◆岡崎 かき氷街道

土曜日、お出かけの好きなゆかりちゃんが「じょーじ~、連れてって~」と言ったのが、岡崎市の【かき氷街道】なるものだ。

ゆかりちゃんは、『夏は絶対に美味しいかき氷を食べなければならない』という、強迫観念の持ち主だ。

ちょっとまえに、市内の新しいお店に、ふたりで出かけかき氷を食べた。地元では有名な名店の氷を使用していると知ったからだった。あと、ゆかりちゃんが『新しもの好き』という理由もある。

そのお店は変わっていて、らーめん屋さんの中に、テイクアウトのかき氷コーナーがあるのだ。

だが、ゆかりちゃんの意に反して、そこのかき氷はふあっふあっではなかった。ジャリジャリだったのだ。


* * *


ゆかりちゃんは数年前に、女友だち数人と大須商店街へ行って、かき氷を食べた。そのとき、TVの取材を受けたのだ。

ゆかりちゃんはバッチリ映っていて、

「すご~い、美味しい、ふあっふあっ~~!」

と言ったのだ。


以来ゆかりちゃんは、ふあっふあっじゃないかき氷は、かき氷と認めないのだ。

なのに、ジャリジャリのかき氷を食べてしまったのだ。それも、まあまあイイお値段の、しかも名店の氷だったのにだ。

だからゆかりちゃんは、この夏、なにがなんでも美味しい、ふあっふあっのかき氷を食べなければならないのだ。

かき氷リベンジだ!

なんなら倍返しだ! そういうことなのだ。


* * *


車を走らせ、高速道路に乗って、僕たちは岡崎市の【かき氷街道】へ向かった。1時間とちょっとのドライブだ。

岡崎市のかき氷街道には、8つの店舗がある。というか、その8店舗を結ぶ道を【かき氷街道】と名づけたのだ。おそらく。


ゆかりちゃんは、悩みに悩んで、NTSTYLE(えぬてぃーすたいる)を選んだ。写真から、ふあっふあっなかき氷と判断したのだ。僕の見立てでも、ふあっふあっに見える。きっとここなら大丈夫だ。NTSTYLEの住所をナビをセットした。

レッツゴーだ! 

スターダストレビューを聞きながら、車を走らせ、会話を楽しみ、少しはケンカをして、そうこうして、11時半ごろに到着。先客が4組の10名。うち5名が、まだ食べてない。

このお店は、テイクアウトのみ。お店の前にテントとベンチがある。僕たちは暑い中、5人分ができるのを待った。

ゆかりちゃんは、かき氷はアウトドア派。「暑い外で食べるから美味しいの」「店内だと、身体が冷えて、寒くなるの」というのが、ゆかりちゃんの主張。僕はそこは、店内でも外でも、どっちでもOK。

この日はメチャクチャ暑かった。こんだけ暑いと、普段の僕なら文句を言う。でも、この日はなぜか、不満に感じなかった。

いつの間にか、僕は、かき氷が楽しみになっていたのだと思う。


ゆかりちゃんはイチゴ、僕はブルーベリーを注文した。お値段は1つが、たしか700円。ミルクを追加するとプラス100円。

ゆかりちゃんは、かき氷にミルクをかけない。僕は、本当はミルクをかけたいけど、ゆかりちゃんの好みを優先した。そもそも、ミカンとブルーベリーと悩んで、「ミカンとブルーベリーなら、どっちが好き?」と、ゆかりちゃんの好みを確認している。それなのに、ゆかりちゃんがいらないと思っているミルクをオーダーするなんて、僕は、そんな変な男ではない。

僕は、理屈っぽい男なのだ。理屈が通っているって、大事なのだ。そして、ゆかりちゃんの好みも大事なのだ。

そして僕は、なかなかに、イイ男なのだ。


僕たちは、かき氷に限らず、たとえばラーメンでも、必ずシェアする。そっちはどう? どんな感じ? と気になるから、途中で交換して味見し、そして、また戻すというのが、いつものパターンだ。

イチゴは、かなり甘かった。ひと口食べて「甘っ!」と言ってしまった。言ったというより、出てしまったのだ。


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ミルクなしで甘いのだ。そう、イチゴの苺たる甘さなのだ。フルーツの甘さ。これは、ゆかりちゃんの意見が正しいかも。ここにミルクをかけるのは、もったいないかも。

うん。もったいない。

僕の方のブルーベリーは、甘さ控えめだ。でも僕は、ブルーベリーの方が好きだ。僕にはイチゴは甘すぎた。

ここ、NTSTYLEは、かき氷を1つづつ作る。削り器が1個なのだ。先に、ゆかりちゃんのイチゴを味見させてもらったのだ。この時には「甘すぎる」なんて思っていなかった。ブルーベリーを食べたから、「あ! イチゴは、僕には甘すぎたんだなぁ」と思ったのだ。

僕には、ブルーベリーが美味しかった。

ゆかりちゃんは「イチゴの方が好き」とのことだった。

甘いイチゴが好きな方は、きっと大満足されるだろうと思う。



◆ぬかた、という町

ぬかた、は漢字で額田と書く。今は岡崎市だが、合併前は額田町。

今回のかき氷の、美味しさの原因の1つは、氷だ。ここはきっと、氷が旨いのだ。おそらくは、かなり上等な氷なのだろう。

そう思って、この【かき氷街道】のサイトを見てみると、やはり、あった。

超軟水「神水」 ぬかたの恵み 

自慢されている。その自慢に偽りなし!と、僕はそう思う。

だから、まだ行ってない残り7店のかき氷も、きっと美味しいだろう。


そして、技もある。

最近では、そう珍しくはなくなったが、超超薄いスライスでふあっふあっ仕上げ。ちゃんと技術もあるのだ。

このかき氷は、キーンとならないのだ。なんでかはわからないが、ガンガン食べても、頭が痛くなることがない。


さらに、外で食べると、めっちゃ旨いと思った。

僕は、普段なら700円を高いと思うはずなのだが、ここではそう思わなかった。ゆかりちゃんは「高速乗ってでも、これは来る価値アリだね!」と評していた。

まったくもって僕も同感だ。


僕の記事では、らしくないのだが、美味しかったので例外的にリンクを貼る。

https://okazaki-kanko.jp/course/3084

僕たちが行ったNTSTYLE(えぬてぃーすたいる)は、5番目のお店だ。

期間は9月30日まで、ということなので、またゆかりちゃんと、今度は別な店に行ってみるのもイイかな、と思っている。

場所は、新東名高速の岡崎東インター下りて、車で10分と少々。

おそらくは、ぬかた地域の、町興し企画だろう。クオリティの高いかき氷だった。



◆この記事の結論

この記事で、僕は、ゆかりちゃんに謝る。

ごめんなさい。


『かき氷は外がイイ』

この、ゆかりちゃんの意見を、僕はこれまで軽んじていた。

暑い中、まあまあ待って、そしてかき氷を食べて。それも絶品のを、いただいて、そして車に向かうとき、

「嗚呼~、気持ちイイ~~!」

僕は、そう言っていたのだ。


美味しかったし、なんせ、本当に気持ちよかったのだ。


外だからだ、と思った。

風や、日差しが、本当に心地良かった。


ゆかりちゃんの言う、「ミルクをかけない」も、「外がイイの」も、どっちも軽く聞き流してきた。

それどころか、(ミルクは、ふつうかけるだろ)って思っていた。内心。


深く反省だ。

謝ったのだし、これからは僕の持論にもしてしまおう!


かき氷を食べるなら、外だ!


* * *


楽しいドライブができて、僕は、ゆかりちゃんに感謝なのだ。

今、きっとこの記事を読んで、

「ふふ。やっとわかったの~。遅いで~、じょーじ!」

「わたし、だいぶまえから、言ってたやら~!」

「あと、ミルク!『かけるやろ、普通』って、思ってたんか~い!」

とか、そんな風に、ゆかりちゃんは思っているだろう。


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。




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