紫式部日記第120話このついでに、人の容貌を語りきこえさせば、(4)
(原文)
式部のおもとはおとうとなり。いとふくらけさ過ぎて肥えたる人の、色いと白くにほひて、顔ぞいとこまかによくはべる。髪もいみじくうるはしくて、長くはあらざるべし、つくろひたるわざして、宮には参る。ふとりたるやうだいの、いとをかしげにもはべりしかな。まみ、額つきなど、まことにきよげなる、うち笑みたる、愛敬も多かり。
※式部のおもと:橘忠範の妻との説あり。「おもと」は女性の敬称。
※おとうと:男女に関係なく、年下のきょうだいを言う。
(舞夢訳)
式部さんは、妹さんのほうになります。かなり、ふくよか過ぎるくらいに肥った人で、肌の色は大変に白く、ほんのりと赤く染まって、お顔は整っておられます。髪の毛も実に麗しくて、長くはないようなので、付け毛をして中宮様の御前に参上されています。その肥られたご容姿が、なかなか素敵でした。目元や髪の生え際が実に美しくて、微笑まれると、実に魅力的なのです。
式部のおもとには、特に性格について書いた部分はない。
笑顔を気に入っているようなので、紫式部と悪い関係ではない、と思われる。
肥っていることを、現代と異なり、マイナスの評価としていない。
むしろ、その福々しさを評価するような、感じもある。
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