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紫式部日記第127話斎院に、中将の君といふ人はべるなり(2)斎院と中宮御所の女房の違いについて

(原文)
げにことわりなれど、わが方ざまのことをさしも言はば、斎院より出できたる歌の、すぐれてよしと見ゆるもことにはんべらず。ただいとをかしう、よしよししうはおはすべかめる所のやうなり。さぶらふ人を比べて挑まむには、この見たまふるわたりの人に、かならずしもかれはまさらじを。

(舞夢訳)
確かに、斎院選子様は、ご立派なお方ではありますが、自分たちの斎院の女房たちばかりを、それほどに自慢するのであれば、斎院方から発表された歌を拝見しても(私が見るならば)、特にそれほど優れていると思われるものも見つからないのです。
そうはいっても、賀茂の斎院とあれば、とても素敵で由緒深き場所と、思われます。
ただし、仕えている女房たちを比べて競うなどにおいては。私は中宮彰子様にお仕えしている女房たちを見ているのですが、その方々に斎院の女房たちが勝っているとは、必ずしも思えないのです。

中宮付き女房集団と、賀茂斎院女房集団と比較して、「あちらは勝っていると思っているようだけど、私紫式部は、そうは思わない」との、ライバル意識だろうか。
もともと、組織としての性格は異なるが、女房たちには、ライバル意識が存在したようだ。

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